SIDE1 病み化していくあの女の子
私は今日もモンスターギルドでクレハさんの召喚術の指導を受けていた。
「もっと集中しな。対人戦では魔物への命令は頭の中で直接送らないと大きな弱点になる。口に出して命令していいのは魔物戦だけだよ。」
「はい!」
今日もクレハさんの指導は厳しい。
クレハさんは召喚術の基礎から応用まで厳しいが分かり易く教えてくれるので、私はどんどん上達していけた。
「そういや今日は坊やはいないんだね。」
「レンならラウドに呼ばれて冒険者ギルドに行っていますよ。」
「坊やはまた何かやらかしたのかい?」
「いえ、たしか恋愛相談だってレンは言ってましたけど。」
「・・・・大丈夫かね、その恋愛は。坊やに良いアドバイスができるようにはあたしは思えんけど。」
「さあ?でもラウドは助かってるみたいですし・・・・」
「坊やの恋愛相談か・・・・。人の恋愛よりもまず自分の恋愛が先だろうに。」
そう言ってクレハさんは私を見てきた。
「まー恋も訓練もゆっくりやってきゃいいさね。それじゃあ今日の訓練はここまでだ。」
「ありがとうございました。」
「ああ、それじゃあまた明日来な。」
「はい、明日もよろしくお願いします。」
私は午前の訓練を終えてレンと昼ご飯を食べるために冒険者ギルドにレンを迎えに来た。
するとレンは頬に真っ赤に張れた痣を作っていた。
私はそれを見た時、私の中でドス黒い感情が生まれるのを感じた。
「レン!その痣はどうしたの!」
「ん?アリサか、訓練終わったの?」
「そんなことはいいからどうしたの!?」
「えーと、殴られた。」
「そんなこと見れば分かるわよ!どうして殴られたの!?」
「気にしないでいいよ。俺も全然気にしてないし。」
「良くないわよ!ちゃんと説明しなさい!」
「えー、別にいいじゃん。」
「ダメよ!早く言いなさい!」
「わかったよ・・・・えーと、ガラの悪い冒険者にいきなり調子乗ってんじゃねーぞ!って殴られた。」
「どうしてレンが殴られるのよ?レンなら魔物を召喚して余裕で返り討ちにできたでしょ!」
「目立つし、めんどかったから素直に殴られた。おかげで3発だけで済んだぜ。」
「バカっ!ちゃんと抵抗しなさいよ!」
「だってメンドイじゃん。冒険者ギルドで召喚士が冒険者をボコボコにするってどう考えても後々の火種になるでしょ。」
「そうなってもその時に解決すればいいじゃない!そんなこと気にせずに返り討ちにすればよかったのに!」
「いやー、実際俺に絡んできた奴以外にもギルドの冒険者は何故か俺を睨んで見てたから、あそこで返り討ちにしたら今度はそいつらが絡んできそうだったし。いやー、なんで俺嫌われてるのかね?特に身に覚えがないんだけど。」
「そのレンに絡んできた冒険者はどんな奴だったの?」
「そんなの聞いてどうすんの?」
「いいから教えなさい!」
「はいはい、えっと30歳くらいの人相の悪い鈍い赤い短髪をした男だったよ。」
「そう・・・・。わかったわ。」
「アリサ?」
「さて、お昼にしましょう。その時に顔の痣の手当をしてあげるわ。その後はやることができたから私はギルドに戻るわ。」
「え、うん、わかった。」
赤髪短髪の男ね・・・・わかったわ・・・・
夜、私は宿を出て町の冒険者が集まる酒場へ行った。
そこには酔っぱらった冒険者が毎夜ドンチャン騒ぎをしており、今夜も変わらずうるさかった。
その酒場の真ん中のテーブルにレンが言ってた特徴の男を含めたパーティーを見つけた。
「ねえ、あなた、昼に召喚士を殴った男?」
「ああ?誰だテメーは?ってあのクソガキの女じゃねーか!なんだ?彼氏の仕返しにでも来たのか?」
男共は下品な笑い声をあげて答えた。
「ええ、そんなところよ。ねえ、なんでレンを殴ったの?あいつはあんた達に何かしたの?」
「あん?何もしてねーぜ。」
「ならなんで?」
「最近現れたガキの癖に召喚士だからって俺達よりたんまり金稼いでるしテメーみたいな女といつも一緒にいりゃー殴られて当然ってもんだぜ!なー、おめーら!」
今度は酒場中の男共が下品に笑いながら「そうだぜ!」などと抜かした。
「わかったろ?テメーの彼氏が皆に嫌われてんのが悪いんだ。」
「そ・・・・う。理由はわかったわ。それじゃあ町の外に出なさい。こんなところで暴れたら迷惑だしね。」
「ぎゃっはっは、いいぜ、だが後悔すんなよ!」
男は笑いながら席を立った。
「それじゃあ、行きましょう。」
私は町の入り口に向かって歩いた。
後ろからはレンを殴った男だけじゃなく、そいつのパーティーメンバーや関係ない男が合わせて15人くらい付いてきている。
「私が用があるのは赤髪の男だけなんだけど?」
「観客だぜ、観客!俺が返り討ちにした後の報酬のおこぼれをもらいたいんだとよ!」
「報酬?」
「ああ、明日にはあのクソガキに壊れた女を送ってやるぜ!」
「・・・・あっそ。」
私達は町の外に出て入り口付近で止まった。
「それじゃあ始めましょうか。どうせならその観客達も一緒にやってあげるわよ。」
「はぁ?そりゃー、随分と自信がありそうだな。聞いたぜ。テメーも召喚士なんだってな。」
「ええ、そうよ。」
「召喚士なんざ魔物が召喚できなきゃ役立たずだ!詠唱なんかさせねーぜ!」
そう言って男は私に襲い掛かってきた。
「何をいってるのかしら?もう魔物ならいるじゃない?」
私がそう言うと地面からビックミミズが6体出てきた。
冒険者共の後ろからもリザードマンやダートオーク、トロルなどが現れて冒険者共を囲む。
さらには空にもトルバードやキルバットが飛び回る。
昼にモンスターギルドから強い魔物は全部連れ出して配置しておいたのだ。
召喚士になってからは自分の空間にはまだ少ししか入れれないけど一気に使役できる数は増えたのだ。
私の前ではビックミミズが私を守り、後ろから私の魔物達がジリジリと距離を詰める。
「なんだテメー!クソが!舐めんじゃねー!こっちは15人もいんだ!こんくらい殺してやる!」
そう言って冒険者達は魔物に斬りかかるが魔物は躱し、あるいは持っていた剣や盾で弾いた。
「その子達はレンの戦術訓練を受けてきたから強いわよ。」
「クソが!おい!女を狙え!」
考え方が単純ね。
私はすぐに集中する。
詠唱は最初のころはゆっくりとしか言えなかったけど、最近は魔力の送り方に慣れて早口で言えるようになってきている。
「飛び回る乙女よ。主たるアリサの名の元に命じる。我に刃を向ける者に汝らの剣を向けろ。翻弄しなさい、ハーピィー!」
ハーピィーはレンと森で訓練していた時に現れて、レンが倒したのを私に契約させてくれたのだ。
「な、ハーピィーだと!クソが!」
「ハーピィ!切り刻みなさい!」
ハーピィーは空からスキルの風刃で冒険者達を鎧ごと切り刻んでいく。
魔物達もそれぞれ近くの冒険者を襲い始めて殺していく。
「や、や、やめギャー!」
「くるなくるなくるグフッ!」
「た、助けてくれ・・・・ガハっ!」
魔物達は容赦なく冒険者達を殺していく。
「殺した奴は食べていいわ!ご褒美よ!」
私は魔物に冒険者共の捕食を許可する。
「テ、テメー!ふざけんじゃねーぞ!なんで俺がこんな目に合わなきゃいけねーんだ!」
レンを殴った赤髪の男が恐怖からか半泣きで言ってくる。
「ふふふ、当然じゃない!私のレンの綺麗な顔を傷つけたのよ?死んで当然、喰われて当然!」
「く、狂ってやがる!」
「あんた、もし私に勝ったら私を犯す気だったんじゃないの?」
「それがなんだ!当たりめーだろーが!」
「この身体もレンだけの物なのっ!レンの身体も私だけの物よ!それをあんたは私のレンの顔を殴りレンの物である私も傷つけようとしたんだから!許さないわ!特別にこの子に食べられてもらいなさい!」
私はレットスライムを召喚し、男を捕食させる。
「うわー!か、身体が!身体が溶ける!」
レットスライムは少しづつ味わうかのように男を身体に取り込んでいった。
男の肌は溶けきり、真っ赤な身体になっていく。
「イギャー!痛てー!やめろー!」
「あははははははははっははっははっはは。」
レンを傷つける奴はみんな死んで償わないといけないのよっ!
レンを傷つけていいのは私だけ。私を傷つけていいのはレンだけ。
レンは私が死んだ先でも守ってあげなきゃいけない!
レンは私だけのレンなのよっ!
翌日、町の入り口には魔物にやられたと思われる無残な冒険者の死体が転がっており、町は冒険者を15人も殺した強力な魔物が町の近くにいるのかと怯え、あの時酒場にいた冒険者達は死んだ冒険者が女と一緒に外に出た奴らだと知ると二度とあのガキには関わらないと恐怖と共に心に誓うのであった。
ヤンデレアリサ・・・・
キャラ変わりすぎですね・・・・




