33 王都での午前
俺達はモンスターギルドから逃げ出し、王都の大通りを歩いている。
脇に挟んでいたエメはいつの間にか肩の上に移っていて絶賛肩車中だ。
「レン、逃げてきちゃったけどあの穴どうするのよ?」
「さあ?ギルドの職員さんがなんとかするんじゃないの?」
「つまり知らんぷりするわけね。」
「おうよ!」
「・・・・元々は私のせいだし・・・・もういっか。」
「諦めがこの世を上手く生きるコツなのだよ。俺が現在進行形で身をもって知っている。」
「・・・・つまり私といることが諦めの境地だって言うの?」
「いえ、滅相もありません。僕はアリサ嬢とご一緒に王都を歩いていると思うだけで涙が出てきますぞ。」
「その涙は嬉し涙であって悲しみの涙じゃないわよね?」
「勿論ですとも。」
「・・・・とにかく今から何所にいくの?」
「まだ朝食食べてないし、どっかで食べよ。」
「おなかすいた。」
「と、エメも言っているしね。」
「それじゃあ、あの喫茶店は?」
アリサの指さした喫茶店はオシャレなカフェテラスのある喫茶店だった。
「んじゃあの喫茶店にいこーか。」
俺達は喫茶店に入りカフェテラスの一角に座る。
奥からウェイトレスさんが出てくる。
「いらっしゃいませ。ご注文はいかがなさいますか?」
「モーニングセットを3つください。飲み物は紅茶2つにミルク1つでお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
「あー、朝から疲れたなー。」
「ねえ、レン。あの穴エメちゃんに頼んで塞いでもらえなかったの?」
「塞いでいる間に見つかったらどうするのさ、それに仮に塞いだとしてもその部分だけ違和感ができて結局バレそうだし。」
「どうしても逃げ切る気なのね・・・・」
「入学前に問題起こして学校入学取り消しなんてことになったらアリサだって嫌でしょ?」
「それは・・・・そうだけど。でもなんかこう罪悪感が・・・・」
「気にし過ぎでしょ?バレなきゃ問題ない!」
「レン・・・・結構ダメな考え方してるわね・・・・。やっぱり早めに調教した方がいいかしら。」
「調教って・・・・アリサさんマジ怖いっす・・・・」
「ますたー、あれなに?」
そういってエメは王城を指さした。
「あれは城だね。あそこにこの国の王様が住んでるんだよ。」
「おうさまってだれ?」
「さあ?髭の生えた偉そうなおっさんを想像すれば大体それで合ってると思うよ。」
「失礼ね・・・・王様にでも聞かれたら即処刑よ。」
「ますたーしょけいされるの?」
「されそうになったら全力で逃げる。」
G-ショップで自動車でも買って逃げれば追いつかれないだろう。
まー、免許持ってないからスリル満点の運転になるだろーけど。
「ますたーがしょけいされそうになったらえめがまもってあげる。」
「マジ可愛いぜ、マイプリティーエンジェル!」
でもエメが守るってあの精霊魔法でですか?あれ使えば王城とか1発で半壊しそうなんですけど・・・・
巨大な植物に崩壊させられるラグニス城・・・・
どんなパニック映画だよ・・・・
お、注文が来たみたいだ。
「お待たせしました、モーニングセットです。」
モーニングセットはパンにベーコンにサラダに目玉焼き、小さいケーキにドリンクがセットとなったものだった。
パンは焼きたてでアツアツフワフワでおいしい。
「うまいな。」
「そうね。」
「おかわり。」
「「え?」」
俺とアリサが味わって食べてる横でエメが素晴らしいスピードで完食していた。
「あまいのたべたい。」
「・・・・すいませーん!」
ウェイトレスを呼ぶ。
「はい、なんでしょうか?」
「追加お願いします。ケーキを・・・・1個?」
「たくさん!」
「・・・・10個お願いします。」
「かしこまりました。」
「そんなに頼むの!?」
「・・・・これは俺の直感だがエメは食べる。沢山食べる。無限に食べる。そんな予感がするんだ。」
「だからってケーキを朝から10個も頼むなんて食べきれるわけないでしょ!エメちゃんはまだこんなに小さいのに!」
で、ウェイトレスがケーキを10個テーブルに置いて行って5分後のエメさんのセリフは、
「おかわり!」
であった。
「・・・・ね。言っただろ?」
「・・・・ホント精霊って・・・・」
俺は眠そうな目をしつつもニコニコ顔という器用な表情のエメにケーキを追加で10個と、ついでに俺とアリサの分の2個追加で注文し、それから飲み物も全員分追加で頼んだ。
俺達はエレガントな朝食(俺達のテーブルにはケーキの皿が高く積み上がっていた。)を終えて、今日は王都の店を見て回ることにした。
「さすが王都ね、品揃えが豊富だわ。」
俺は現在服屋でアリサのショッピングに付き合わされている。
俺は武器屋に行って、この武器かっけー!ヒャッホー!したかったのに無理やり連行されたのだ。
ちなみにエメはお腹一杯になって「ねむたい・・・・」と言って俺の空間に戻ってしまった。
俺の癒しが・・・・
「レン、この服どう?似合う?」
アリサは白色のワンピースを試着して見せてくる。
「似合うんじゃない?」
黒髪美人のアリサが白のワンピースを着るとあら不思議。強気なお嬢様がお淑やか美人に大変身。
「その姿でお淑やかな性格だったら貴族にでもなれるよ。」
「どういう意味よ!」
「むしろ我が儘の方が貴族向き?ぐふっ!!」
アリサは無言で乙女の涙を俺の腹に突き刺した。
技名:乙女の涙
説明:手加減なしの全力の正拳突き、腰を低くして放つのがポイント 最近熟練度が上がってる!
泣きそっ。
「なにか言うことは?」
「ぐ、ふ・・・・大変・・・・うっ、お美しいです。ぐはっ・・・・」
「あら、ありがと。」
アリサさん・・・・最近技の威力が上がって来てるのは気のせいですか?
もしかして隠れて技の練習とかしてないですよね?
俺はこの身をもってアリサの(戦闘力の)成長を実感するのだった。
「これはどう?」
今度は青のシャツにゆったりとした黒の上着を羽織い、下は白のロングスカート姿で出てきた。
ぶっちゃけスタイル良いから何着てもそれなりに似合うだうから適当に服なんて買えばいいのに何故似合うかどうかなど聞いてくる?
聞かれるこちらとしては返答をミスれば鉄拳制裁が待ってるのでできれば聞かないでほしい。
「似合ってるよ。大人の女性って感じだ。」
「そう?それじゃあこれも買おうかしら。」
買うなら早く済ませてくれ。
俺は武器屋でヒャッホーした後は、防具屋で全身鎧を試着してみてキャッハーしなきゃいけないんだから。
「レン、これはどう?」
まだ選ぶんですか?
次に試着してきたのは胸元が大きく開いた赤の肩出しトップスに白のショートパンツ姿だった。
「どうかな?」
「エロい。」
「エ、エロいって!どんな感想よ!」
ぶっちゃけ大胆な赤のトップスのせいで胸がかなり強調されてるし、足も太ももまでだしているため今のアリサの格好はかなりエロかった。
あれだ、女性のエロカッコいい服装的な感じだ。
「しかしこの世界ではそんなファッションまだないはずだし・・・・もしかしてアリサって痴女なのか!?」
「んなわけないでしょ!」
「ぐはっ!!」
俺はアリサに殴られ朝食べたケーキが地上に出たそうにしているのを察知し、素早く外に出てケーキを太陽の下に出してあげた。
ちなみにアリサは試着した服を全部買ったようだった。
全部買うんだったら俺にいちいち聞かなくてもよかったんじゃ・・・・




