14 防具屋でお買い物
キースやアリサと別れて冒険者ギルドにきた。
受付で冒険者カードを見せて昨日の報酬をもらう。
「魔物も素材を鑑定した結果、報酬は合計で銀貨17枚、銅貨4、鉄貨2枚となります。」
日本円で17万4200円か。
結構稼いだな。
まー、100匹以上狩ったしね。
お金を貰って俺はギルドを出た。
さて、今日はなにをしようか?
本格的に冒険しに行くんだし、ちゃんとした防具でも買っておこうかな。
冒険者ギルドの近くは武器屋や防具屋が多く建っているので良さそうな防具屋を探す。
俺は表通りの大きな建物の防具屋を避け、裏道にあった小さ目で少し汚いが古くからありそうな防具屋を見つけたのでそこに入る。
こういう店の方が掘り出し物とかあって良いと異世界物の小説で読んだことがあったのだ。
所詮は小説の情報で当てにできないのだが、この防具屋の店の名前が{防具屋 ふにゃまにゃ店}と防具屋なのに柔らかそうな面白い名前だったのでここに決めた。
店の中には立派な金属鎧や、軽そうな皮の胸当て、小手やヘルムなどいろいろあった。
防具はどれが自分に合っているのかまったくわからないので店の人に聞く。
「すいません~」
「はいよ、いらっしゃい」
防具屋の店主である気の良さそうなおっちゃんが出てきた。
「防具が欲しいんですけど、どれが良いのかわからないので見繕ってくれませんか?」
「あんちゃんは冒険者見習いか?」
「いえ、召喚士なんで丈夫で動きやすさ重視の装備をお願いします。後お金もそれなりに持ってるんで質の良いものをお願いします。」
「召喚士とは珍しいな。わかったぜ、どの部位の防具が欲しい?」
「胴体と膝に足、それから手と腕ですかね」
「そうか、それじゃあ胴の防具はこれなんかどうだ?」
そう言っておっちゃんが出してきた防具は、胸と背中の部分が鉄で覆われた胸当てで試着してみたが思っていたより軽くて少し驚いた。
「これはなめした魔物の皮と鉄を加工して作った胸当てだ。頑丈にできてるから壊れにくいぜ。内側には毛皮を張っているから夏にはちょっと暑いが着心地は最高だぜ。衝撃も多少吸収してくれる。」
「いいですね、気に入りました。」
「だろ?次は足の防具だな、こんなのはどうだ?」
おっちゃんが次に取り出したのは、鉄と皮で作られた動きを阻害しにくいレギンスと爪先と脛の部分に鉄が取り付けられたブーツだった。
「レギンスは少し重いが間接部分は皮で作られてるから動きやすい。ブーツは鉄で補強されていて、この取り付けられた鉄は尖がっているから蹴りの威力も上がる。」
ふむ、いいね。頑丈そうだしカッコいい装備だ。これも買いだな。
「その二つも買います。」
「毎度、次は腕だな。これなんかどうだ?」
今度は薄い鉄板で作られた軽めのガントレットに黒皮の手袋を取り出した。
これも気に入り買い。特に黒皮の手袋とかロマン防具過ぎる。
この手袋の甲の部分には薄い黒鉄が貼り付けられており、指の部分も鉄でメリケンサックみたいな突起があってカッコいい。
「これなら希望通りだろう。」
「ええ、最高です。」
「だろ?俺の店の品はいい物だけしか扱ってねえからな!ついでにこれなんかどうだ?」
なんか気を良くしたおっちゃんがそう言って出してきたのは黒色のフード付きの半袖の服だった。
「これはチェインメイルを服に縫い合わせたもので、鎧や胸当ての内側に着る防具だ。そのまま普段着として着ても軽い防具を常に着ているもんだがら、いざって時にはいいぞ。相手からは普通の服にしか見えないしな。」
つまり鎧の下に着るインナーのようなものだろうか?
見た目は普通の服だが、外側の黒い服と内側の毛皮に挟まれてチェインメイルが縫い付けられている。
「普通のチェインメイルよりは脆いがそれでも着心地はいいし防御力も上がる。それにフードにもチェインメイルが縫い付けてあるし、フードの先は鉄のフェイスガードが取り付けられているからヘルムの代わりにもなる。」
おお、ホントだ。フードの先に騎士が付けるようなヘルムに付いているフェイスガードの部分が付いていてカッコいい。
「かっこいいですね!それも買います。」
「毎度ありっ!」
結局薦められたもの全部買ってしまった。
合計で銀貨21枚に銅貨9枚。
日本円で21万9千円だ。
いや~、良い物が買えた。ありがとう、ふにゃまにゃ店!
防具を買ったあとは、明日森まで歩いていくのはめんどくさいなと思い、あることを思いついたのでそのための道具として道具屋で丈夫なロープを4つと半径10センチくらいの用途不明の鉄の輪っかがあったのでこれも4個買う。
次に大きさ1メートルくらいの正四角形の加工された丈夫な皮を防具屋ふにゃまにゃ店で買い、先ほど買ったロープを四隅にその場で取り付けてもらう。おっちゃんに何に使うのか聞かれたから魔物の実験に使うと答えておいた。
経費で銀貨4枚銅貨5枚の出費。
ギルドで貰った報酬を今日中に使ってしまった。お財布が痛いと泣いてる気がする・・・・
宿に帰り皮に取り付けた4つのロープの端に鉄の輪っかを取り付けてこれは完成。
この謎の物体は{飛行ブランコ}と名付けよう。
これを使えば明日は自分で歩かないで済む。
暇になったので俺は今日買った防具を装備してみた。
おお、帯剣すれば見た目は完全に冒険者だ。
かっこいい!
俺は防具に満足しつつ、明日に備えて眠るのだった。