11 西の森で
西の森へ着いた俺はさっそく森へと足を踏み入れた。
森の入り口辺りは、他の冒険者が多く見られた。
冒険者の近くで召喚していると、間違われて魔物が殺されてしまうかもしれないので、なるべく奥へと踏み込んだ。
ある程度進むと人の気配はなくなったが、魔物の気配が強くなった。
俺はキラーウルフを24体召喚し、8体を手元に残して、残り16を8体2組に分けて、森へ狩に行かせた。
さらに俺はベビーデビルを6体とドラゴンニュートを召喚して空の上から木の上から魔物がいないか確かめさせる。
ベビーデビルは空は飛べるが、あまり早く飛べず、また高くは飛べない。せいぜい10メートルくらいの高さで、時速15キロ程度の速さが限界だ。
ベビーデビル達には魔物を見つけ次第、魔法で仕留めるように命令して、俺はスマホでゲームをする。
とあるパズルゲームで地獄級のステージをやる。
あ、死んだ。
石使って復活する。
よし、ボス倒した。ドロップGET!
やったね。
そんな感じで遊んでいると、たまに野生のスライムやゴブリン、オークやコボルトが襲ってきたが、手元に残しておいたキラーウルフ8体に処理させる。
スマホで遊んでいると、ちょくちょく魔物達が帰って来て狩った獲物を置いていく。
ある程度狩らせたらゲームを中断する。
俺は森に来る前に冒険者ギルドで銀貨5枚で買った、{魔物の図鑑}という魔物の種類とどの部分が売れるのかが載っている本を読む。
この世界の本は高い。
印刷技術がないからこの本も手書きだ。
置かれていく魔物は知っているもので、スライム、ゴブリン、オーク、コボルド、デビルアップル、トルバード。
知らないものが2種類。本で探すと
魔物名:アーマーキャタピラ
スキル:硬化
ランク:D+
説明 :固い鱗に覆われた芋虫の魔物。
魔物名:トレイン
スキル:なし
ランク:D
説明 :木の姿をした魔物。森で木に擬態し、獲物に奇襲する。
大量大量~。
とりあえずこんなに持って帰れないので、高く売れる部分のみ持ち帰ることにする。
しかし自分で解体するのは嫌なので、ブラックマンティスを召喚して、鋭い鎌で解体させる。
細かい部分はしょうがないので自分でやる。
ナイフを持って解体された魔物の身体から売れる部分だけ剥ぎ取る。
あ〜、グロいな。
スライムや、ゴブリンなどの低級の魔物では買い取り部分はない。
低級の魔物は素材になる部分がないが、依頼で受けた場合、スライムなら核、ゴブリンなら右耳などを持ち帰れば証拠となり、報酬がもらえる。
俺の場合は、依頼を受けてないので、なんの価値にもならない。
なので魔物達のエサにする。
召喚士が契約した魔物は食事が必要なくなるが、食べることはできるので食べさせる。
オークは心臓、トルバードはクチバシ、アーマーキャタピラは鱗と、売れる部分を持つ魔物の部位を剥ぎ取って、他の余った部分は捨たりエサにした。
そして剥ぎ取った素材を袋にいれたところで重大な事に気が付いた。
「あ!そういえば俺、アイテムボックスがあるじゃん!」
すっかり忘れてた。
アイテムボックスがあれば魔物をわざわざ解体処理しなくても、そのままギルドに持ってって売ればよかった・・・・
少しテンションが下がったものの、大量の素材を運ばなくて済むので良しとする。
素材をアイテムボックスに入れて町へ戻ることにした。
まー、その大量の素材も自分で運ばずキラーウルフの背中に乗せて運んでもらうつもりだったんだけどね。
町に戻り、そのままギルドに向かう。
ギルドで素材を取り出そうと思ったとき、アイテムボックスの存在は知られてもいいのかどうかわからないので、ギルドを一度出て路地の誰も見ていないところで取り出す。
ギルドの買い取り専用のカウンターに行き、
「すいません。買い取りお願いします。」
「はい、かしこまりました。」
俺は袋を渡す。
「ギルドカードをお見せください。」
ギルドカードを受付嬢に渡す。
「!!、ランクGですか!?」
「ええ、はい」
「ランクGでは討伐系は受注できないはずですよ!」
「ええ、依頼は受けてませんよ。その魔物の素材は僕が森で狩ってきたんです。」
「なっ、ホントですか?」
「ええ、召喚士ですからね。」
「な、なるほど・・・召喚士なら自分が戦わなくてもいいですからね・・・・でも危険なのには変わりませんので、こちらもやめろとは言えませんがお気を付けください。」
「はい、わかっています。」
「それでは素材の鑑定をしますので、4時間ほどお待ちください。受け取りはギルドカードを提示してくださればできますので、明日受け取りに来ても構いません。」
「わかりました。明日受け取りに来ます。」
俺はギルドを出て商店街を歩く。
この世界の標準服が今着てる服しかないので、買い足しにいく。
魔物の素材を剥ぎ取った時に汚れてしまったのだ。
適当な店に入り、上着とズボンを3着づつ、マントを2着、靴を1足、下着を5着買った。
合計銅貨3枚だ。
町を歩いていると、ラウドが歩いているのを見つけた。
「お~い、ラウ「ふざけてんじゃねーぞ!ゴラッ!」なんだ!?」
声のした方を見ると人だかりができていて、その中10歳くらいの女の子に3人の冒険者風の男が怒鳴り散らしていた。
「テメー人様の鎧汚しておいて謝るだけで済むわきゃねーだろーが!!」
「ご、ごめんなさい・・・・」
見ると男の鎧は確かに汚れているが・・・男の足元にはパワーラビットの串肉があった。
どうやら串肉を鎧に落として汚れたらしい。
「どーすんだよ!この鎧はな~、とても高価なものなんだぞ!」
その高価な鎧とはおっさんの着ている傷だらけの鎧のことを言ってますか?絶対安物の鎧だろ・・・
表面は綺麗にして見栄え良くしてるみたいだが、よく見れば安物なのは一目瞭然だった。
ていうか風呂にもう何か月も入ってなさそうな油顔のおっさんの着ている鎧なんざオリハルコンの鎧だろーが価値はダダ下がりだろう
「だって・・・おじさんたちがぶつかってきたんじゃ・・・」
「テメーが小さくて見えねーのが悪いんだろーがよ!」
うっわ、無茶苦茶だな。
「弁償できねーなら、その身体で払ってもらわねーとな?」
ロリコン発言キマシタ!
同志か!?あっ、違う間違えた。変態か!?・・・・・俺はノーマルだよ?
「奴隷になって金は払ってもらうぜ。こっちこい!」
なんだそういう意味ね。仲間じゃないのね・・・・今のなし。
つまりこの子を奴隷として売るための自作自演って訳か。
なんつーか、異世界怖ーな・・・・
犯罪が大通りで行われるって・・・・
さて、どうしようか・・・・
帰るか。
え?お前が助けないのかだって?
あはは、やだよ怖いもん。
しかし幼女の危機・・・じゃなかった女の子の危機を見逃すのは人(〇〇紳士)としてダメだろう。
仕方ない。
俺はこっそりと、野次馬に先頭で眉を曲げているラウドの後ろに移動して、その尻を思いっきり蹴っ飛ばした。
「痛って!」
ラウドは蹴られた勢いで、女の子と冒険者の間に飛び出した。
俺には無理だ。だからあんたが頑張れ。
ラウドは俺の方を見て睨んできたが、俺は最高の笑顔で親指を立てる。
「頑張れラウド!」
「後で絶対覚えてろよ!」
さあ、始まりました、ラウドVS汗臭いおっさん3人
勝った方には幼女がその手に!?
次話、幼女争奪戦勃発!(嘘です)