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群青の空の下で  作者: 花 影
第1章 群青の騎士団と謎の佳人
6/156

4 晴れた空の下で1

 翌日は絶好のピクニック日和だった。コリンシアは朝食もそこそこに、急いで着替えを済ませると、わくわくしながらフロリエを迎えに行く。

「フロリエ、行こう!」

 小さな姫君が扉を叩いて部屋に入ると、フロリエもちょうど着替えを終えたところだった。

 今日はシルクのブラウスに外出用のスカートをはいていて、春向きの薄手の外套をはおっていた。これらもグロリアが着なくなったものを仕立て直したもので、全体的に色が地味である。

「コリン様、おはようございます」

「おはよう、フロリエ、オリガ」

 部屋にはフロリエの他に年若い侍女がいた。基本的にグロリアの身の回りには古参の使用人ばかり仕えているが、近隣の富裕層の子女が行儀見習いとして短期間だが奉公に上がることがある。彼女たちの大半は、館に出入りするエドワルドをはじめとした優秀な竜騎士に見初められれば……といった下心がある。だが、グロリアの厳しさに辟易えきえきしてあまり長続きしない。

 オリガはそんな若い侍女達の中では数少ない例外で、昨年の秋に弟と共に奉公へ上がり、グロリアにもコリンシアにも献身的に仕えてきた。ちなみに弟のティムは厩舎の手伝いをしている。竜騎士の素質もあるので、館に来る飛竜達の世話をしながら必要な知識を勉強中だった。

 フロリエは大抵の事は自力でできるが、目が見えない為に出来ない事もある。そんな彼女を補佐するために、グロリアは歳も近いオリガを彼女の世話係として付けてくれたのだ。コリンシアも始終フロリエにまとわりついているので、3人は一日の大半を共に過ごしており、短期間で気の置けない間柄となっていた

「いいお天気で良かったですね、コリンシア様」

 にこにこと優しく微笑みながらオリガはフロリエの帽子を手直ししている。コリンシアは椅子に座ったままのフロリエの傍まで来ると、嬉しさを隠し切れ無い様子で2人を見上げる。

「うん。父様はもう降りたよ。フロリエも早く行こう!」

 手直しが終わるのを待ちきれない様子で姫君はフロリエの手を取る。フロリエも嬉しそうなコリンシアの声につられて自然と笑みがこぼれ、手直しが済むと姫君の手を取って椅子から立ち上がる。仲良く戸口に向かおうとするが、オリガはコリンシアを呼び止める。

「姫様、少しお待ちくださいませ」

 小さな姫君が立ち止ると、オリガはそっと近づいて腰をかがめ、ほどけかかっている腰帯を結びなおす。

「はい、いいですよ」

「ありがとう、オリガ」

 コリンシアは素直にお礼を言うと、再びフロリエの手を取って戸口に歩き出す。オリガもフロリエの身の回りの荷物を持って後に続く。

 階下に降り、居間に顔を出してグロリアに朝の挨拶と出かける旨を伝え、玄関を出た。

「早かったな、コリン。おはよう、フロリエ」

 飛竜の支度をしていたエドワルドが、玄関から出てきた淑女たちに声をかける。今日は討伐に行くわけではないので、彼は騎竜服に薄手の外套という軽装だった。ただ、護身の為に腰には長剣を下げている。

「おはようございます、殿下。今日はよろしくお願いします」

 フロリエは声の主に頭を下げる。エドワルドは1人駆け寄ってきたコリンシアを抱き上げると、エアリアルの準備をしている蜂蜜色の髪をした若者を身振りで呼ぶ。

「フロリエ、今日、同行する部下のルークだ」

「おはようございます、ルーク様。どうぞよろしくお願いします」

 紹介された竜騎士にフロリエは深々と頭を下げる。この一月の間に、彼は何度か使いでこの館を訪れていたが、フロリエと顔を合わす機会は無かった。館の使用人達から彼女の話を聞いていたが、それでも上品な物腰の女性と助けた時の姿が重ならずに驚き、さらにはその女性から様を付けて呼ばれてルークはあわててしまう。

「あの、俺……私はまだ竜騎士になって日が浅いし、貴族の出じゃないから、様は止めてください。体中がむず痒くなります」

「わかりました、ルーク卿と呼ばせて頂きます」

「はい、よろしくお願いします」

 真っ赤になって狼狽えるルークを上司のエドワルドがにやにや笑いながら見ている。その腕の中でコリンシアが声をたてて笑い、ルークの顔はますます赤くなる。

「ルーク、自信を持てと言わなかったか?」

「もう少し、時間を下さい」

「わかった」

 若い竜騎士にエドワルドは笑いながら頭を小突いた。

「殿下、飛竜は2頭いるのですか? 挨拶をしてもいいですか?」

「そうです。是非ともしてやってください」

 フロリエの申し出にエドワルドは快諾すると、彼女を飛竜達の傍に案内する。

「彼は私の相棒グランシアード。もう一頭はルークのエアリアルです」

 エドワルドはフロリエの手を取り、グランシアードの頭を触らせる。彼女は恐れることなく飛竜の頭をなで、その大きな頭を抱えるようにして頬を寄せる。

「グランシアード、今日はよろしくね。……まぁ、あなた大きな竜なのね。大地の力強さを感じるわ」

 その言葉に竜騎士2人はギョッとする。特にエドワルドは自分の飛竜については彼女に何も話していなかったので、なおさらである。

 グランシアードは他の飛竜に比べて確かに大きく、彼女の言うとおり大地の力を備えていた。目が見えない彼女は飛竜の纏う力だけでそれを言い当てた事になるが、それができるのは神殿に仕える高位の神官か上級の竜騎士である。しかも相当の修練が必要になる。

 助けた時の防御結界と言い、やはり彼女はただの村娘ではないのだろう。もしかしたらダナシアの教えを守る大母補の候補として育てられたのかもしれない。

 そのうちエアリアルが自分もかまってほしくなり、フロリエに頭を寄せる。彼女はそれに気づくと、同様に頭をなでて頬を寄せる。

「あなたがエアリアルね。……とても速く飛べるのね。風の力を感じるわ」

 ごく自然にエアリアルの力も言い当てる。ルークは驚きを隠せない。

「団長、あの方は一体……」

「わからん。少なくとも私と同等の力がある」

 小声でそう答えると、2頭の飛竜の頭をなでているフロリエに近寄る。

「飛竜の力は叔母上から聞きましたか?」

「いいえ……。頬を寄せてみたら何となくわかりました」

 フロリエはおっとりと答え、グランシアードに催促されてまた頬を寄せている。グランシアードは案外気位が高く、初対面の人間にここまで懐く事はほとんどない。例外は後ろに控えている若い竜騎士ぐらいだろう。エドワルドは感心すると同時にその素質の高さに舌を巻いた。

「そうですか……挨拶がすみましたら、そろそろ出かけましょうか? どちらに乗るか希望はございますか?」

 腕の中の娘とまだ飛竜達の頭をなでているフロリエに問いかけると、先に姫君が元気よく答える。

「早い竜に乗ってみたい!」

 いつもは父親の飛竜に乗るコリンシアが、フロリエの言葉に興味をひかれたらしくエアリアルを希望する。姫君の希望に若い竜騎士はにこにこして頷く。

「わかった。ルーク、コリンを頼む」

 エドワルドは抱っこしていた娘をルークに預け、彼はそのまま飛竜の背中にコリンシアを乗せて騎乗用のベルトで固定した。そこへ、厨房に寄って出てきたオリガが手にした籠を持って進み出る。中にはコリンシアの要望で用意された蜂蜜入りのケーキが入っていた。彼女はそれをフロリエに渡そうとしたが、エドワルドはそれを制してエアリアルにまたがろうとしている若い竜騎士を呼び止める。

「ルーク、それも預かってくれ」

「は…はい」

 心なしか答える声は震えている。前日に聞き出した若い竜騎士に恋する相手とふれあえる機会を作ってやろうという上司の計らいなのだが、一方のオリガも頬を染め、恥ずかしげに目を伏せている。どうやら若い侍女の方もルークは気になる存在のようだ。これほどわかりきった反応を見せているのにまだ告白もしていないというのは先が思いやられるが、変に気を回さなくてもこの2人ならうまくいきそうな気がした。




「失礼する」

 エドワルドはグランシアードをかがませると、フロリエを抱き上げて背中に座らせる。そして彼女にも騎乗用のベルトをつけると、自分も身軽に飛竜の背に乗り、彼女の前に腰を落ち着けた。ルークもケーキの入った籠を預かり、すでに飛竜にまたがっている。体の小さなコリンシアは彼の前に座り、更にルークが小さな姫君の体を自分の腕で支えてやっていた。

「腕を私の体に回して、遠慮せずにしっかりしがみついて下さい」

「は…はい」

 フロリエはためらいながらも言われた通りエドワルドの体に腕を回した。彼女の腕の位置を少し直すと、準備が整った合図をルークに送る。ルークも合図を送ってきたので、グランシアードに飛び立つように命じる。

 飛竜は数歩助走をつけて飛び立ち、エアリアルもそれに続く。コリンシアのはしゃぐ声が聞こえ、振り返ると玄関前ではオルティスとオリガが一行を見送ってくれているのが見えた。

「あのはしゃぎようでは夕方まで持たないかな。大丈夫か? フロリエ」

 心なしかフロリエの手が震えている。

「だ……大丈夫です」

「怖がらなくていい。私とグランシアードがついている」

 エドワルドは左手を自分の体に回しているフロリエの華奢な手にそっと重ねる。その大きく暖かな手に包まれていると、彼女も気持ちが少し楽になり、余計な力が抜けて震えが止まる。エドワルドはほっとするとフロリエに一言断ってからグランシアードの速度を上げさせる。

 やがて、眼前に湖が広がり、その向こうに煙が立ち上っているのが見えた。近づいていくと、3頭の飛竜と、手を振っている数人の男女の姿がはっきり見えてきた。

「着地する」

 ずっと握っていた手を握りなおすと、彼女は小さく頷いた。エドワルドはふわりとグランシアードを着地させ、少し遅れてエアリアルも軽やかに降りてきた。

「おはようございます、殿下」

 5人の男女が近づいてきて、上司であるエドワルドに挨拶する。真っ先に近寄ってきたアスターが騎乗用のベルトを外してフロリエが飛竜から降りるのを手助けしてくれる。

「ありがとうございます」

 フロリエが礼を言うと、アスターは「どういたしまして」と短く答える。そこへエアリアルから降ろしてもらったコリンシアが駆け寄ってきた。

「アスター、おはよう!」

「おはようございます、コリンシア様」

 アスターがいつものように元気な姫君を抱き上げると、彼女は彼の頬に軽くキスする。

「これは光栄です、お姫様」

 そうおどけて答えると、コリンシアは声をたてて笑った。

 その間にグランシアードとエアリアルの装具が外され、2頭は跳ねるようにして仲間の飛竜がくつろいでいるところへ走っていく。

「フロリエ、彼は私の副官のアスターだ」

 グランシアードの装具をルークに預け、エドワルドはフロリエに信頼する副官を紹介する。

「お元気になられた姿を見て安心致しました。第3騎士団、副団長を務めております、アスター・ディ・バルトサスと申します。以後、よろしくお願いします」

 コリンシアを地面に降ろし、アスターは形通りに礼をする。

「お心遣いありがとうございます。今日はお手数をおかけしますが、よろしくお願いします」

 フロリエは軽く膝を曲げて挨拶する。彼女の上品な物腰と挨拶に、アスターは少し戸惑うが、残りの団員の紹介を上司に代わって行う。

「殿下を団長とする第3騎士団の団員が本日は他に5人来ております。先ずは隊長格のリーガスとクレスト。後はジーン、キリアン、そして向こうで鍋をかき回しているのがゴルト」

 フロリエには姿が見えないので、1人ずつ握手をして挨拶をする。フロリエにはそれだけで、彼らが上級の竜騎士だと感じ取ることができた。そんな彼らが仕事の手を休めて集まっていることに彼女は驚き、おまけになにやらいい匂いがすると思ったら、向こうで昼食の準備をしてくれているらしい。

「皆様はお仕事があったのでは?」

 なんだか申し訳ない気がしてきて、傍らのエドワルドを振り仰ぐ。

「これも仕事の一環です。野外訓練と冬季に妖魔が出没した地域の見回りも兼ねています」

 フロリエの懸念にアスターが答え、エドワルドは彼女の右手を取ると自分の左腕につかまらせる。

「向こうに天幕が張ってある。慣れない飛竜の背に乗られて疲れたのではないかな? 一息入れましょう」

「は、はい」

 周囲の状況がわからず、フロリエは不安で仕方ない。だが、腕を差し出しているエドワルドを信じ、一緒に歩き始める。すると、左手をコリンシアが握ってきて、人が集まっている嬉しさをスキップで表現している。

 エドワルドに案内された天幕には、少しでも居心地が良くなるようにと敷物の上にいくつもクッションが置いてあった。大人が座っても十分寛げる大きさのクッションにフロリエが座ると、すぐ隣にコリンシアがちょこんと座った。そんな2人にジーンが温かいお茶を用意してくれ、フロリエにはお茶の入った器に手を添えて持たせてくれる。

「お飲み物をどうぞ」

「ありがとうございます」

 この季節はまだ、飛竜の背でうける風は冷たく感じる。こうした移動に慣れていないフロリエにとって、この温かい飲み物はとても嬉しかった。エドワルドは2人が寛いでいるのを見届けると、部下からの報告を受けるために少し席を外す。その間、第3騎士団紅一点のジーンが傍にいていろいろと世話を焼いてくれた。

 お茶を飲み終える頃、コリンシアは大人しくしていることに飽きてしまったらしく、天幕の外に出て早咲きの草花を摘み始めた。鼻歌を歌いながらオリガから習った花冠を作り始めるが、なかなかうまくできない。それでも辛抱強く作り続け、不恰好ながらどうにか一つ完成させた。

「フロリエ、これあげる」

 コリンシアは完成品を手に、天幕に戻ってくると、大好きなフロリエに花冠を進呈する。

「まあ、私がもらってもいいの?」

「うん」

「……いい匂い。嬉しいわ、コリン様、ありがとうございます」

 フロリエは花の香りに目を細め、姫君をお礼代わりに抱きしめ、額に親愛のキスをする。コリンシアも嬉しそうに彼女の頬にキスを返す。こうしたやり取りを見ていると、2人はまるで母子か歳の離れた姉妹のようだ。ちょうど部下からの報告が済み、天幕にきたエドワルドはその光景に目を細める。

「コリン、私には無いのか?」

 娘が自分よりもフロリエに懐いていることにちょっとだけ嫉妬し、エドワルドは大人気ないと思いながらつい意地悪く聞いてしまう。

「父様には大きいの作るの。だってここにはちょっとしかお花咲いてなかったんだもん」

 フロリエに抱っこされていたコリンシアは、彼女の膝から降りると父親のもとに駆け寄る。エドワルドは駆け寄ってきた娘を片腕で抱き上げると、フロリエの向かいに置いてあるクッションに腰を下ろす。

「そうか。じゃあ、大きいのを作ってもらおうか」

「うん。グランシアードにかけれるくらい大きいの作る」

「それは大変だな」

「頑張る」

 親子のやり取りをフロリエはにこにこして聞いている。ジーンは腰を下ろした上司にもお茶を用意し、フロリエにもおかわりを注いで再び器を握らせてくれる。

「フロリエ、馬の用意が整ったら、君を助けた場所に行ってみよう」

「は…はい」

 コリンシアを膝に乗せたまま、エドワルドも優雅にお茶を口に運ぶ。今回の一番の目的を思い出し、フロリエは幾分硬い表情で頷く。

「緊張しなくていい。気分転換だと思って気楽に行きましょう」

「はい」




 そこへアスターが馬の準備が整ったことを知らせに来たので、エドワルドに手を引かれてフロリエは天幕の外に出る。そこにはタランテラ特有の毛が長く、がっしりとした足を持つ馬が用意されていた。

「こちらへ」

 エドワルドはフロリエの手を取って馬の傍まで連れて行き、その背中に彼女を乗せる。

「揺れるからしっかりしがみついて。馬は我々が操るから心配いらない」

 馬も飛竜同様首の付け根にあるこぶに触れて操るのだが、飛竜を操る竜騎士にとって馬を複数操るのは難しいことではなかった。竜騎士になる訓練の中には、馬の群れを指定された順路で移動させるというのもある。討伐に一般人が巻き込まれた場合、馬や荷役用の牛がいる場合はこうして避難誘導するのも竜騎士の務めだからだ。

「は…はい」

 鞍があるとはいえ一人で馬の背に乗るのは不安で、フロリエは座る位置を直そうと馬の体に触れる。その時、彼女の手が首元にある瘤に触れる。その瞬間、暗闇から視界が広がる。

「あ……」

「どうした?」

 エドワルドが心配してフロリエを見ると、彼女は涙を流していた。

「世界は…こんなにもまぶしいのですね……」

「!」

 フロリエの呟きに一同は驚く。

「見える……のか?」

 グロリアの計らいでリューグナーの他にもフロリエは専門医の診察を受けており、失明の原因は熱病による後遺症と診断されていた。その報告も聞いているエドワルドは他の誰よりも驚き、彼の問いにフロリエは小さく頷いた。

「この子の見ているものが見えます」

 飛竜や軍馬に意識を集中し、彼らの見ているものを見る同調術も訓練を受けた竜騎士が身に付ける技である。それをフロリエは無意識にやってのけ、その凄さを理解できないコリンシアだけが弾んだ声を上げる。

「フロリエ、コリンも見える?」

「……ええ、本当に愛らしいお姿が……」

 馬の目から得られる心像は、ぼやけているもののコリンシアのふわふわのプラチナブロンドに縁どられたあどけない顔が見て取れた。フロリエの返答に彼女は嬉しそうに父親に駆け寄る。

「わーい、父様。フロリエがコリンの事見えたって!」

 その無邪気さにつられてエドワルドも笑い、駆け寄ってきた娘を抱き上げた。

「あ……」

 馬の目にエドワルドが映る。春の陽光を受けてなお輝くプラチナブロンドの髪が眩しい。秀麗な顔は娘に向けられていたが、彼は顔を上げ、娘とお揃いのサファイアブルーの瞳と目が合う。フロリエはドキリとして思わず瘤から手を離した。

「どうした?」

「集中が乱れました。すみません」

 心配して声をかけてくれたエドワルドにフロリエはなんとか言い繕う。

「そうか。あまり無理はしなくていい。とにかく出かけよう」

「はい」

 エドワルドは娘と共に別の馬に乗り、残る一頭にアスターが跨る。

「行ってくる」

 エドワルドが残りの部下にそう言い残すと、3頭の馬はゆっくりと歩き始め、林の中へと消えていった。


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