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群青の空の下で  作者: 花 影
第1章 群青の騎士団と謎の佳人
20/156

18 慌ただしい帰還 1

 神殿で足をひねって2日経っていた。

 朝食を済ませたフロリエは、窓辺に置かれた椅子に座り、膝の上で丸まっている猫のブルーメを撫でている。足を痛めたために気晴らしに散歩にも出られないので、こうして外から吹く風を感じながら物思いにふけるくらいしかすることがない。午後にコリンシアが帰ってくれば、多少なりとも出来る事があるのだろうが……。

 事件の事を思い出せば、未だに体が震えてきて夜もなかなか寝付けない。更には危急を助けてくれたのが、エドワルドの恋人だと言う女性だったのも彼女の心に影を落としていた。オリガの話ではとても綺麗で上品な人だったらしい。エドワルドの事を思えば切なくなるのに、胸がチクチクと痛い……。




 膝の上でゴロゴロと喉を鳴らしていたブルーメがピクリと体を強張らせ、ムクリと起き上がる。

「ブルーメ?」

 やがて階下が騒がしくなる。午後にコリンシアが帰ってくる以外に来客の予定は無かったはずである。予定外のお客様が来たのか、火急の知らせを持って使者が来たのだろうか?


トントン……


 部屋の扉がノックされる。フロリエが返事をすると、扉が開いて誰かが入ってきた。驚いたブルーメは彼女の膝から降りてどこかに行ってしまう。

「フロリエ」

 かけられた低い声に心臓が高鳴る。声の主は、予定では未だ領内にすら入っていないはずのエドワルドだった。

「殿下?」

「話を聞いて一足先に帰ってきた。コリンは予定通り昼過ぎに着くはずだ」

 エドワルドは近づくとすぐ傍に跪き、フロリエの手を取る。彼女は確認しなくても自分の顔が真っ赤になっているのがわかった。

「え?」

 エドワルドの話を要約すると、昨夕、宿泊予定の砦に届けられていたクレストからの手紙で神殿での事件のあらましの報告を受け、急きょエドワルドとアスター、ルークの3人が先行して帰ってきたらしい。深夜にロベリアに着き、一通りクレストから報告を受け、対処を検討した後に仮眠してからここへ出向いたという。

「君が怪我をしたと聞いてコリンが心配してな、自分が一緒では早く移動できないから、先に行ってほしいとあの子が自分から言い出したのだ」

「まぁ……」

 姫君の健気な言葉にフロリエは思わず顔がほころぶ。

「ある程度の話は聞いていると思うが、叔母上も交えてきちんとした報告をしたい。思い出すのも怖いとは思うが、話を聞いてくれるか?」

「はい」

 フロリエが頷くと、なぜか背中とひざ裏に腕が回される。

「で…殿下?」

 突然の浮遊感に狼狽した声を上げると、クスリと笑われる。

「まだ、無理が出来ないのだろう?」

「お、重くないですか?」

「問題ない」

 ゆるぎない腕に抱き上げられ、フロリエは戸惑いを隠せない。そうしているうちにエドワルドは彼女を抱えたまま部屋を出ると階段を降り、グロリアがいる居間へと連れて行く。

「来たかえ? ここへ座らせておやり」

 この状況に少しも動じた様子の無いグロリアは、エドワルドに指示して自分の隣にフロリエを座らせるように指示する。彼は言われた通り、彼女を優しくソファに降ろし、その向かいに腰かけた。

「さて、聞かせてもらおうかの」

 オルティスが人数分のお茶を用意して退出すると、グロリアはエドワルドに話を促す。心なしか怒っているようで、傍にいるだけのフロリエもすくみ上ってしまいそうだ。

「トロストは高位の神官の後ろ盾を持つロベリアの有力者の1人で、昨年から副総督を務めている。昨年は割と真面目に取り組んでくれていたが、最近は立場を利用して己の利に結び付けるのが目立つようになっていた。幾度か口頭で注意もしたが、本人に悪びれる様子はない」

 エドワルドは後ろに控えるアスターから報告書を受け取ると、グロリアとフロリエに説明を始める。

「それで?」

「この春、とある商会が優遇措置を求めてきたのですが、私はそれを却下しました。すると彼らはトロストに働きかけ、私が皇都に出立前にその話をまた蒸し返してきました。もちろん、受けるつもりはないと返しましたが。それで正攻法では無理だと考えたようです」

「なるほど、それで妾にも頼ろうとしたのじゃな?」

「そうです」

 神殿に行っている間に面会の申し込みがあったと後にオルティスから報告があった。うまく対処していれば、フロリエが怪我をする事態は避けられたのではないかと彼女は悔やんでいた。

「本人は認めていませんが、何かしらの報酬を約束されていたようです。それで何が何でもと行動に移したのではないかと推測しております」

「エルデネートやらも一緒だったのはなぜか?」

「エルダも巻き込まれたのです。叔母上の所へ行く前に彼女の所にも押しかけたようで。それでクレストが独断で彼女を保護していました」

 親しげに恋人を愛称で呼ぶのを耳にしてフロリエはどうしようもなく胸が痛んだ。今はそんなことを気にする場合ではないと言うのに……。

「彼女がこの分だと叔母上の所にも行きかねないと進言し、それを受けてこちらにも連絡をしたのですが、出かけられた後でした。それで神殿に向かったところ、既に騒ぎが起きていました」

「ふむ……」

「こちらの不手際で叔母上に不快な思いをさせた上に、フロリエに怪我をさせて申し訳ありませんでした」

 エドワルドとアスターは深々と頭を下げる。

「神殿でも警備の者に金を積んで奥へ入り込んだらしい。全く忌々しい」

 フロリエとオリガが散策していたハーブ園は一般の参拝客が入れない区画だった。そこへ侵入者を許し、更にはグロリアの連れであるフロリエが怪我をしたことに、神殿側は平身低頭で謝罪していた。この件ではあってはならない事が重なって起きている。

「トロストを解任しました。フロリエには慰謝料を払うように命じ、商会側にもこの件はもうくつがえることはないと改めて通達しておきました」

「そうか」

 グロリアもそれで満足したのだろう、大きく頷いてエドワルドからの報告書を受け取った。

「フロリエもそれで良いな?」

「はい」

 2人の決定にフロリエも異論があるはずもなく、大人しく従った。




 ルークは3頭の飛竜達を特別に用意されている厩舎に連れて行き、ティムと共にそれぞれの装具を外してやっていた。昇進したと言っても下端であることにかわりはないし、何よりも実感がない。こうした雑務をするのは当たり前だと思っている。長旅をした3頭をそれぞれ労い、ブラシで全身をこすりながら体の状態を確かめる。そして細かい傷があったエアリアルとファルクレインに軟膏を塗りこんでおいた。

「ルーク卿、飛竜達のお食事はこれでいいですか?」

 飛竜の食事の調達を頼んだティムに代わり、オリガが瓜で山盛りとなった桶を抱えて持ってきた。見るからに重そうで、あわてて彼は代わりに持つ。

「ああ、ありがとう。代わるよ」

 飛竜は雑食なので基本的に何でも食べるが、瓜は好物の一つだった。これからの暑い時期には水分も同時に補給できるので好むらしい。ルークはオリガにも手伝ってもらい、3頭の飛竜に瓜を公平に配る。飛竜達に食事をさせながらルークは聞かれるままに皇都での夏至祭の様子や、飛竜レースの事を話して聞かせる。

「お守りありがとう、本当に励みになったよ」

「お役に立てて嬉しいです」

 オリガは頬を染めて応える。余計な事だったかと思いながらも、恩人であるルークに何かしたくてあのお守りを渡したのだ。

 桶は既に空になっており、満足した飛竜達は寝藁で丸くなっている。昨夜からの強行軍はさすがの彼らも疲れたのだろう。ルークは飛竜達が眠ったのを確認すると、竜舎の風通しのいい場所にオリガを誘う。

「本当におめでとうございます。身近におられる方が一番手だと聞くと、なんだか嬉しいですね」

「ありがとう。たくさんお祝いを言ってもらったけど、その……君に言われるのが、一番嬉しい」

 オリガの祝いの言葉に、ルークは顔を赤らめながら答える。このまま告白してしまおうと決意しているのだが、緊張が高まってくる。

「ルーク卿?」

 オリガは微妙な空気の変化を感じ取ったのか、不思議そうにルークを見返す。

「あの、お、俺は竜騎士だし、どうしても一番はエアリアルになってしまうと思う。そ、それでもその、良かったら、その、好きだから、付き合ってくれないか?」

 言う事を考えていたはずなのに、思うように言葉が出ない。ルークは懐から皇都で買ったお土産を差し出して精一杯の告白をする。

「……」

 オリガの返事がなく、やっぱりダメかなとルークは心の中であきらめた。だが、ルークの手にオリガの手がそっと添えられる。

「…嬉しい」

「…オリガ?」

 恐る恐る顔を上げてオリガの顔を見ると、彼女は感極まっているようで涙を浮かべている。

「ずっと、好きだったんです……」

 オリガの告白にルークは頭の中が真っ白になる。

「オリガ……」

「最初に助けてもらった時からずっと憧れて……」

「本当に?」

「はい」

 オリガは小さく頷き、差し出された包みを受け取る。薄い綺麗な紙で包んでくれていたのだが、少しだけ皺が出来てしまっている。促されて包みを開けると、使われているレースの繊細な美しさに彼女は見とれる。

「あの、いいの?」

「うん、使って」

 初々しい2人はしばらくそのまま固まってしまったかのように見つめあっていた。ルークはこの流れに乗ってキスしてしまおうかと悩み、思い切ろうとしたところで母屋の方からオリガを呼ぶ声が聞こえた。

「あ…行かないと……。お土産、ありがとうございます」

 オリガはルークに頭を下げると、あわてて厩舎を後にする。彼は少し残念な気持ちを抱えながら、のぼせた頭を汲んだ井戸水を被って冷ました。ふと視線に気づいて乾いた布で頭を拭きながら振り返ると、厩舎の入口に何故だか笑いを堪えたアスターが立っている。

「副団長?」

 不審に思ってルークが声をかけると、彼は堪えきれずにに笑い出す。

「お前なぁ、嘘はつけないからって、告白するのに一番は飛竜だと断りを入れる奴があるか」

「え?……見ておられたのですか?」

 ルークは真っ赤になって慌てる。

「直接見ていないが、ファルクレインが見ているから全て筒抜けだ」

 ルークははっとして厩舎を覗くと、寝ているとばかり思っていた飛竜達が起きている。素知らぬ顔をするファルクレインの隣にはグランシアードもしっかりと起きてこちらを見ていた。

「まさか……団長にも……」

「今頃、大笑いしておいでだ」

「……」

 後悔しても、もう遅い。ルークはその場で打ちひしがれる。

「その殿下から伝言だ。コリンシア様がお戻りになったら、夏至祭の報告を兼ねたお茶会となる。そして夜は君の飛竜レース一位帰着とリーガスの武術試合準優勝、ジーンとの結婚祝いを兼ねた祝いの席を設けてくださるそうだ。お茶会は正装までしなくていいが、晩餐は正式なものになる。着替えを用意しておけ」

 それだけ伝えると、アスターはファルクレインに装具を整えて連れ出していく。一度、ロベリアに戻るのだろう。

 ルークはしばらくショックから立ち直る事が出来なかった。




 コリンシアの帰還も予定よりも早くなって昼前となった。ジーンのリリアナから降ろされた姫君は出迎えた父親に真直ぐに駆け寄る。

「父様、フロリエは?」

「よく頑張ったな、コリン。フロリエの怪我はしばらく安静にしていれば治るそうだよ」

「本当に?」

「ああ」

 駆け寄った娘を抱き上げ、安心させてやると頬にキスして地面に降ろす。少し遅れて飛竜をティムに預けたリーガスとジーンが小竜を連れて近寄ってくる。

「2人ともご苦労だった」

「いえ、姫様は随分と頑張られました」

「今朝も早く起きられて、予定よりも早い出立となりました」

 エドワルドがねぎらうと、2人は少し笑みを浮かべて姫君の頑張りを報告する。

「そうか。では、頑張った事をおばば様とフロリエに報告しよう」

「はい」

 エドワルドは小竜を受け取り、娘の手を引いて2人が待っている居間へと連れて行く。オルティスがうやうやしく戸を開けて招き入れられ、奥のいつもの席に座るグロリアの前に進み出る。

「ただ今戻りました、おばば様、フロリエ」

「お帰り、コリン」

「お帰りなさいませ、コリン様」

 小さな姫君は作法通りにグロリアに挨拶したが、フロリエの声を聞いてしまうともう我慢が出来なくなってしまう。その目にはみるみる涙が溢れてきて、優しい彼女に抱きついて泣き出してしまう。

「…フロリエ…ふぇ…えーん」

「よく頑張られたのですね、コリン様。それから、ご心配をおかけして申し訳ございません」

 フロリエは姫君をしっかりと抱きしめると、頭を優しく何度も撫でる。

「えっ、えっ……」

 抱きついて離れないコリンシアをそのままフロリエは膝に抱き上げる。いつもと違う姫君の様子に戸惑ったのか、エドワルドの肩にとまっていた小竜が、一声鳴いて飛んできてフロリエの腕にとまる。

「まあ、小竜……」

 フロリエは顔をほころばせて小竜に触れてみる。小竜はクウクウ鳴いて姫君を覗き込んでおり、その情景がそのままフロリエに伝わる。

「貴女の役に立つと思い、手に入れてきた。見えるか?」

「はい。殿下、ありがとうございます」

 小竜がエドワルドを見る。ピクニックの折に青空の下で見たあのプラチナブロンドが目に入り、フロリエは胸が高鳴って顔が赤くなるのを腕の中のコリンシアを気に掛けることでごまかした。

 まだ躾も十分できていない上に好奇心旺盛なのか、壁際で控えている竜騎士達を見たり、テーブルの上に並べられた軽食の類が気になったりと忙しい。小竜の視点がコロコロ変わり、フロリエは目が回りそうになって一度同調を解いた。

「コリンが落ち着くまで夏至祭の報告を聞こうかの。オルティス、お茶を淹れてくれ」

 フロリエにしがみついたままの姫君に苦笑しながらグロリアは傍らに控えている家令に命じる。オルティスは恭しく頭を下げると、慣れた手つきで人数分のお茶を用意する。その間に許しを得た竜騎士達も用意された席に着く。

「地方の騎士が一番手になる事は稀であるから大したものよ。今後も国民の為に力を尽くしておくれ」

 午前中の内にエドワルドが簡単に報告をしてはいたが、改めてルークとリーガスの成績を報告し、更にリーガスとジーンが結婚の報告をする。グロリアはルークが一番手になった事を殊の外喜んだ。

「はい、ありがとうございます」

「そなたは生真面目じゃからの。オリガの事も安心して任せられる」

「は…はい」

 先程、ルークはオリガとお付き合いする許しを彼女の後見となっているグロリアに求めた。彼女は賛成してくれたが、決して彼女を裏切るなと約束させられていた。それはやましいことが無いはずの彼でも顔が引きつってしまう程の恐ろしさだった。

「リーガス卿は二重の喜びじゃの。しかし、いつの間に組紐を交わしたのじゃ?」

 グロリアの疑問はそのままエドワルドの疑問でもある。上司である彼にも知らされていなかったのだ。

「それは……」

 リーガスは言いにくそうに頭を抱えている。上司達にも追及されてものらりくらりとかわしていたのだが、さすがに女大公にはその手は通用しないだろう。

「私の両親に挨拶した時ですわ。既に準備が整えてありまして、ロベリアの神殿で組紐の儀を済ませましたの」

 おっとりとジーンが答える。どうやらジーンの両親がすべて仕切ったらしい。

「ほぉ……」

「書類は留守を預かるクレスト卿に任せてきました。既に処理を済ませておられると思います」

 にっこりとほほ笑みながら報告するジーンにリーガスは頭を抱えたまま何も言わない。

「ご両親はえらく乗り気だったのじゃな?」

「ええ。早く婿に迎えたいと、随分前から言ってましたから」

「そうか、それは良かったの。リーガス卿、これほど望まれておるのじゃ、大切にするのじゃぞ?」

「もちろんです」

 こちらも念押しされれば否とは言えない。はたから見ればジーンの方がべた惚れのように見えるが、リーガスも彼女の事を愛している。そうでなければ結婚に応じもしなかっただろう。

 そういった話をしている間に、落ち着いたコリンシアがもそもそと動いてフロリエの膝から降り、彼女の隣に座りなおした。まだフロリエに寄りかかっているが、すっかり落ち着いたようだ。

 さりげなくオルティスが濡れた柔らかい布を差し出す。それで顔を拭き、まだ目が腫れぼったいものの幾分すっきりした表情でお腹が空いたとフロリエに訴えている。その姿を見たグロリアは堅苦しい報告もこれまでとして、招いた客人達に用意された軽食に手を伸ばすよう勧めた。

「そいつにまだ名前を付けていない。主はフロリエ、君だから名付けてやってくれ」

 エドワルドに言われ、小竜に果物を取り分けてやっていたフロリエは困った様に首をかしげる。

「すぐには思いつきませんが、どの様な名前にしましょう」

「コリンが付けてもいい?」

 蜂蜜をかけたパンケーキをほおばっていたコリンシアが父親とフロリエにおねだりする。

「コリン、その小竜の主はフロリエだ。コリンが勝手につけてはいけないぞ」

「そうなの?」

 エドワルドはコリンシアの中で既に名前が決まっている事を知っている。しかし、けじめも必要だった。

「コリン様は何かいいお名前が浮かんでおられますか? それでしたらフロリエにそうっとお教えくださいませ」

 がっかりしているコリンシアにフロリエはそう言って身を屈めると、小さな姫君は笑顔で耳打ちする。その微笑ましい光景に一同は目を細める。

「それでは、この子の名前はルルーに決めましょう」

 フロリエが小竜の頭を撫でながら宣言すると、コリンシアは大喜びする。それは姫君が大好きな絵本の主人公の名前だった。

「ルルー」

「そうか、今日からお前はルルーだな」

 クワッと返事をするように小竜が鳴く。フロリエは愛おしそうにその頭を撫でた。

「フロリエ、その者がいれば、生活に支障が無くなるのかえ?」

 その様子を眺めていたグロリアが不意に尋ねる。

「そうですね、特に移動が楽になります。まだ子供で落ち着きがありませんが、もう少し躾をしてから馴らしていけば同調する時間も増えていくと思います」

「そうか。良かったの」

「はい」

 話題が小竜の話から夏至祭に再び移り、アスターが模範試合で活躍し、ハルベルトから長剣を賜った話や舞踏会でのルークの舞踏のだめだしで話が盛り上がった。

組紐の儀

この世界の結婚の儀式の事。

神官が2本束ねた組紐で新郎の左手と新婦の右手を結び、祝福を与えます。

翌朝まで解かない決まりになっていますが、実質は無理。

式の翌朝解いて1本は新郎の左手にもう1本は新婦の右手に腕輪のように括ります。

式から1年経って、貴金属や貴石を用いた腕輪に愛の言葉を彫って互いに交換します。組紐の方はお守りにして残します。


エドワルドがクラウディアの墓に供えた腕輪も結婚1周年で交換したものです。


1/29 誤字訂正

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