第7章 垂水山陽高校VS栄光高校②
どうでしょう、驚いたでしょうか。
まさか、澪と陽が姉妹だったなんて、驚いたでしょう、気づかなかったでしょう。
澪・結弦・奏・美琴(……いや、気づくだろう。)
「………その辺にしておきなさい。」
今度は有紗がやってきた。
「………ちょっかいをだすのもほどほどにしなさい。」
有紗はそう言い、光莉の魔の手から陽を解放した。
「この子には、私が躾をするつもりです。」
有紗はそう言い、陽の腰に手を回し、後ろから抱いた。
「………観客でありながら客席からトラップしてシュートするなんて非常識ね、色々と常識を教えないといけないわ。」
「……お前の常識はズレているから、辞めとけ。」
「そうだ、この変態眼鏡!」
渚と光莉は有紗にヤジを飛ばした。
「あなた達に意見は聞いてません。」
「………よく言うよ、さっきまで荒縄で縛った真奈美を調教してたくせに。」
「あれは愛ある仕置きです。」
「………いいや、ただの自分の趣味だろう。」
光莉がツッコんだ。
「渚よりはマシよ。」
「………私と比べないでよ。」
渚が顔を真っ赤にして言った。
「………とにかく、子猫ちゃんは私が今から愛でるんだ。」
渚は強引に有紗から陽を奪取した。
「いいや、この子は僕とお茶をするんだ。」
光莉は強引に陽の腕を引っ張り、自分の陣地に引っ張った。
「いいえ、彼女は私とこれから色々と常識と身体の勉強をするんです。」
強く陽を抱き締め、拘束した。
「離してよ、有紗、その子は私のものなの。」
「………それはこっちのセリフだ。」
「………時間が勿体ないです。」
有紗、渚、光莉の3人は、口々に言い合い、火花を散らした。
「…………。」
逃げる事ができない、陽はどうやって、脱出するか黙り込んで考えた。
その時、どこからか一つの手が陽を魔の手から解放したのだった。
「やめなさい。」
それは澪だった。
騒ぎを聞きつけたのか、雑誌記者を後にし、陽を助けにきたのだ。
「……陽、大丈夫。」
澪はそう言い、陽の頭を優しく撫でて、胸元で抱きしめた。
「………もっ、おね。」もぞもぞ
澪の豊富な谷間に陽は挟まれ、喋ることができなかった。
「髪がグシャグシャね、整えてあげる。」
澪はグシャグシャになった、陽の髪を手でいじりはじめた。
「………あの子は確か、コートから出たボールを蹴り返した子だ。」
「…………日下部澪とあんなに密着している。」
「………澪ちゃん、同性愛好家なのかな。」
その光景を見た雑誌記者達は目を丸くした。
「………澪ちゃんがあんなに密着するなんて。」
「………あの澪が。」
「………信じられない。」
渚達も目を丸くした。
「………もしかして。」
紬は深く考え込み、ある事を悟り、澪に詰め寄った。
「………ねぇ、澪。」
「………何。」
澪は陽をいじるのをやめ、紬の方を向いた。
「………その子って、もしかして、澪の妹なの?」
「………うん、そうだけど。」
澪は凛々しい目を向けて、答えた。
『えぇぇぇぇ!』
その場にいた一同は驚愕し、驚きの声を上げた。
「いっ、妹⁉」
「澪、妹いたんだ。」
「確かににている、顔つきと目元が。」
渚、有紗、光莉の3人は愕然とし、固まった。
「すごい、陽が日下部澪の妹だったなんて。」
「気づかなかったよ。」
「陽と日下部澪が姉妹だなんて。」
瑞姫や幸達は目を丸くする一方で
「まぁ、私達は知ってたけどね。」
「うん、澪さんと姉妹ってことは陽に口止めされたけどね。」
美琴と結弦は最初から知っていたので、驚かなかった。
「………だから、陽には手を出さないで。」
澪はそう言い、陽の髪を綺麗に束ねていた。
「ちょっ、お姉ちゃん離して。」バサ
陽は強引に澪の手から離れた。
「あっ、まだ髪が。」
澪が陽を自分の手元に引き戻そうと手を延ばした。
「ウチの生徒が嫌がってるので、辞めてください。」
そこに山田が割り込み、澪の手首を握った。
「……山田先生。」
山田を見て、陽は一安心した。
「あなたは。」
「日下部の所属するフットサル部の監督だ。」
山田は分かりやすく、澪に名乗った。
「………おい、帰るぞ、日下部、お前ら。」
山田は澪の手首を離し、総合運動公園駅に向かって歩いた。
「帰ろう、陽ちゃん。」
「行こう!」
美琴と結弦が陽の手を引っ張り、山田の後を追った。
「…………。」
澪はそれを呆然と眺めるのだった。
「………山田先生。」
山田に追いついた、陽が声を掛けた。
「…さっきは、ありが………。」
「俺は教師としての仕事をしただけだ。」
山田の言葉が遮った。
「なぁ、日下部、一つ聞いていいか。」
急に山田は陽に質問した。
「……なんですか。」
「お前、お姉さんと仲が悪いのか?」
「…それは。」
「お姉さんと仲が悪いか良いのか、知らないが、困っているなら相談にのってやる。」
山田はそう言い、陽の方を向いた。
「一人で考えるより、誰かに相談した方が気持ちが晴れるぞ。」
「………ありがとうございます。」
陽はお礼を言った。
「山田っていいとこあるよね。」
幸は頬を赤くし、呟いた。
ちなみに、欠席した千裕や月島達はフットサルの対戦相手を探していたのだった。
つづく
どうでしたでしょうか。
次回からは、澪と陽の百合百合なスパイラルサッカーストーリーを描きます。
では、次回ま
澪・結弦・奏・美琴「死ねぇぇぇ!」バキ
ギャァァァァ