神託拒否の理由
本年も拙い当小説もどきをご愛読下さり誠にありがとうございました。
来年も変わらぬご愛顧よろしくお願い致します。
『勢い余って死んでも構わねぇ!
おいらが蘇らせる!』
「もっと早く言え!
3人ほど寝かせただけになった!」
「え?
……あ、そうだな。
坊主殺すと地獄落ちだったよな。」
「マギー、おめぇ地獄の皇帝龍といつもケーキ食ってるじゃないか!
ってお前最初から剣突き刺してたな!」
「子供突き飛ばす坊主が居るか!
ありゃ野盗の類に違い無い!」
『マーガレット!
大正解だ!』
「待て!貴様らニーズヘッグを折伏した我らに襲いかかるとはどういう了見か!」
『ニーズヘッグ?』
{親方、呼んだ?}
「あ~もう、ニーズちゃんパン齧りながら出てくるんじゃありません!」
グロリアが叱るがキョトンとしているニーズ。
さっとニーズの首に剣を当てる聖騎士。
だがニーズはパンをまだ齧っている。
「この子供の首刎ねられたく無かったら……」
『やってみろ。
できたらニーズヘッグ折伏したと認めてやる。』
「貴様……この子供がどうなってもいいと言うのか?」
『お前程度の実力では擦り傷も与えられない。
どうした?
殺らないのか?』
「ウホッ!いいドラゴン。」
「マスヤマさ~ん!
グロリアまで壊れた!」
『マーガレット……余裕有るのね。』
そんな会話をしながら増山、グロリア、マーガレットの3名は聖騎士達を殴り、押し潰し、切り裂いて行く。
「ええい止まれと言うのに!」
とニーズの首に当てた剣を薙ごうとすると。
{我を倒せると思うてか?}
子供に似つかわしくない地獄の底から響いて来るような声と共に変身解除。
50メートルの漆黒の龍が現れる。
{そこな騎士、我を折伏とはどういう事じゃ?
我を折伏せしはそこなエインヘリヤルただ独りである。
何の思い違いか?}
「え……エインヘリヤルだと?」
『ああおいらおいら、あんたら王様からどうやってニーズヘッグが仲間になったか聞いてないのか?』
「教会の聖女達がニーズヘッグを押さえ込み……」
“バカモーン!
当時あの場に居た教会関係者は聖女リンジーとオスカー司祭と修道女ダイアナだけじゃ!
何時から教会は他人の手柄を掠め取る事を良しとしたのじゃ?”
『おでん様、血圧上がりますよ?』
“ワシ血圧上がっても健康に関係無いぞい?”
『それならいいか。』
「マスヤマ、一旦引いてください。」
と、魔神が助け船を出したのだが……
「リンジー様、あなたのエインヘリヤルは教育がなってませんな。」
『お前は聖女見習いの顔も知らねぇのか!』
「そうだ!ゴールディやっちまえ!」
『聖女見習いのお許しも出たな、さて殺るか……』
「双方引け!何じゃこの騒ぎは?」
『あ!ヨシムネ陛下お久しぶりです。』
「おおエインヘリヤル様!ミツクニとヒロコ嬢は?」
『解呪は終わりました。
ヒロコ様もお元気になられましたよ。』
「しかしのう……聖騎士団を殺すか?」
『子供突き飛ばす聖騎士が居るんですかね?』
「なんじゃと?どう言う事じゃ?」
「畏れながら申し上げます。
その子供がぶつかって来たので……」
“我が神聖騎士の鎧を汚すとは何事だと聞こえたがのう。”
「お……オーディーン様……事実でございますか?
しかし何人か死人が出とる様じゃが?」
『生かさんとヤバいですか?
子供突き飛ばす様なのは野盗の類だと野盗の姫が言ってましたが?』
「レッドローズ盗賊団を野盗にするな!」
『盗賊と野盗の違いはウンコとクソ位の違いだぞ?』
「てめぇ!」
流石に排泄物呼ばわりされて剣を増山に振り下ろすマーガレット。
増山はその剣を頭で受けてそのまま騎士団に振り返る。
『さっさと生き返らせないとこっちが悪役になるから死体集めろ。
集めきれないで蘇生されなかったら知らんぞ。』
「エインヘリヤル様……せめて剣は抜いて戴きたく……」
『ヨシムネ様、おいら物理攻撃無効持ってるの知ってるでしょ?ゾ~ンビ~!』
「子供が泣くからやめろ!」
グロリアは刺さった剣を下まで押し下げる。
『やっぱりパンツ穿かない女は……』
「ってかグロリア、ゴールディ真っ二つに……
なってないな?」
『王様の面前でストリップさせんな!
服が真っ二つになったわ!
ああっ……尻が2つに割れてる!』
「割れてない生き物連れて来い!」
『……ナメクジとか?なんなら樽いっぱいグロリアの布団の中に……』
「グロリアさん暴れるから止めてくださいね。」
『公爵に言われたら仕方ない……』
「王よ、あの旅芸人達は?」
「聖騎士団を半壊させたのが旅芸人と言うなら聖騎士団等要らんのう。」
程無く聖騎士団の死体が集められた。
『さぁさお集まりの方々、これに見えるは子供を突き飛ばしし野盗の群。
見事生き返りましたら喝采の栄誉を戴きたく思います。』
「さっさとせんかい!」
グロリアに殴られた。
『怪我人ついでに死体に寄っといて?
怪我治るからね。
それじゃ……区域復活!』
“おぬしと言いオゴウと言いなんで教えてもない魔法使うかのう?”
『あ、やっぱりこんな魔法だったのか。』
「おのれこの餓鬼!」
『おい聖騎士団の責任者!出て来い!
お前の所の騎士団は躾がなってないな!
生き返らせてもらった人間に斬りつけるとか魔物魔獣の類より劣るぞ!
王様これ鉱山に奴隷として送り込みましょう。』
「待て!お前がエインヘリヤルとは聞いて無いぞ。」
“そりゃ言わなかったからのう。”
「なっ……オーディン様何故?」
“枢機卿……いやさジェニス、おぬしも教皇のマニマスも銭勘定だけで民の事を考えた事が有るか?
それに協会がニーズヘッグ騒動の時何をしたと?
そんな教団願い下げじゃ馬鹿もんが!
何故わしが神託を与えなくなったか反省せい!”
『おでん様公共広告機構として存在してたのか?』
“誰がJAROじゃ?”
{JAROってなんじゃろ?}
『ニーズ、本当は知ってるだろ?』
{親方はさっさとパンツ穿いて?}
悪戯っぽく笑う邪龍の目には確かに親愛の光が灯っていた。
{王様教会を信用して無い?}
前王の時に率先して国と民衆を食い物にしてたの知ってるからな。
今は魔族って敵が居るから一応の協力関係に有るが魔族がただの人間だと知れば……




