道中の暇つぶし
今年もあと1ヶ月ですね。
「う~ん……この辺の魔族って大抵魔教会とは仲悪いんですよね……」
『やっぱりテラさんに一肌脱いでもらうか……』
「チビ、それオデかアーニャじゃダメなのか?
ジャンヌ辺りは裸飛び越えて骸骨エプロン姿だぞ?」
「儂が熟れきった男の色気で……」
『裸にならんでいいから!
そうでなくて人間の王と魔神が仲良くしてるのを大々的に宣伝するんだよ。
立会人にフレイヤ様かおでん様呼んでもいいし。』
「なんじゃ、儂の愛を一身に受ける青年は居らんのか。」
『残念そうな顔してるんじゃない!
一応聖者だったんだろお前は?』
「愛の使途ニコライとは儂の事じゃ。」
『教会もよく雇ってたなこんな危険人物。』
「男女問わず愛の虜にしてやろうぞ。」
『台詞が丸っきり異常性欲の犯罪者じゃねーか!』
「辻説法で儂の信者になった者も多いのじゃ。」
『なんで捕まらなかったんだろうな?』
「え?
ニコライ様異端審問にかかって火炙りですよ?
かく言うわたしも魔女裁判で魔女認定後磔刑でしたが。
はいお昼のパンですよ~。」
『え?ジャンヌさんも背徳の夫人?』
「わたしは死ぬまで乙女でした!」
「詳しくお願いします!わたくしもそうなりそうだったので!」
「ヒロコ!参加するんじゃありません!」
『ガールズトークって身も蓋もないのな。』
「チビ……おまえもこっち側だぞ?」
『いや、おいらはおっさん連中と駄弁ってる方がいい。
生臭いドロドロとした話はしたくない。』
「そうか、儂と愛について語るか?」
『おいらが一番怖いのニコライだからな?』
「儂の福音を授かるがよい。」
『うるせぇよ破戒僧が!』
「地球の一休禅師もそうだったとラスプーチンが言っておったが?」
『あれ?あんたも転移者か?』
「ラスプーチンがエインヘリヤルだったらしくてな。」
『なんか地球出身者多くないか?』
“人の世界にするために有名どころは大抵連れて来たのう。”
『ネームバリューだけでなく生き様も参考にせんかい!』
“道鏡と一休はアマテラスの推薦じゃぞ?
時の支配者に取り入るのが上手いとか言うことで。”
『おでん様、あんたらこの世界をどうしたかったんだよ?』
“まだ旧神信仰が色濃く残っておったからのう……
日蓮が信者共の意識をぶっ壊して弁慶と織田信長が狂信者の首取って来おったわい。”
『ああ……そう言えば死の神だったこのジジイ……』
“んで、ニコライはいつまで放り出しておるのじゃ?”
「儂もリッチが永かったんで服を着ると言う習慣が抜けて来てましてな。
特別にお嬢には股間を抜けて行くそよ風の心地よさを……」
『父ちゃん鋏有る?
犯罪犯す前にニコライ去勢する。』
「物騒じゃのう……ほれ。」
「わ~!
マグナス、普通娘を止めるじゃろ?」
「いかに我が製作物とは言えそんなもん朝起き抜けに見たくはないわい。」
「ほ~ら父ちゃんおぬしの孫じゃぞ~?」
「ゴールディー、三枚におろして乾せ!」
『御意!
……父ちゃん食うのか?
ちんちんぶらぶらソーセージとは言うが。』
「そんな淫水だか腸液だかに塗れたモン食えるか!」
「まだそんな事しとらんわ!」
『ならせめてフンドシ着けろ!
六尺と越中があるぞ。』
「六尺って……ターバンじゃろこれ?」
『ムサシのおっちゃんとカトちゃんに喧嘩売るな!』
「なんで知ってござるか?」
「おっさんは過激な越中だぜオイ。」
「ハッ?
もしかして神眼で見たんじゃないでしょうね?
わたしにも見せろ!」
『落ち着けジェーン!
俺の神眼使ったらカトちゃん火傷してるわい!』
「フェニックスの裸なんか見ようものなら……」
『こんな感じかな?』
サラサラとその辺の紙に半裸のカトウを描く増山。
「先生!その紙頂戴!」
『ジェーン、目が怖い……なんで急に先生呼ばわり?』
「これを挿絵にして隠密聖女暴れ旅を……」
『ああ、おいらまた忍ぶ秘めごととか言ってエロ漫画描けとか言うのかと……』
「言葉の意味はよく解らんが心が揺さぶられるのう。」
「ニコライ師が食い付いたと言うことは……」
『そうだよシンさん……町中で大っぴらにやったら騎士団に逮捕される様な内容の本だ。』
「ふむ……神の言われた『産めよ増やせよ地に満ちよ』にはかなっとるのじゃがのう。」
『野郎の尻では増えんがな。』
「男同士でも愛を持って睦み合えば妊娠のひとつやふたつ……」
『独りでいいからお前の子を儲けた男が居るか?』
「その為にも神聖魔術を極めてみたんじゃがのう。」
「ニコライ師よ……如何に身体ができようとも魂の生産は不可能なのじゃ。」
「マグナス……お主も苦労したんじゃのう……」
{んよ?……爺ちゃんいつの間にリッチのホムンクルスと仲良くなったの?}
『ニーズ……
静かだと思ってたらお昼寝してたのか……』
「アサやハナに聞かれなくてよかったですけどね。」
『オスカー司祭は今までの会話聞いてて何をしれっと良識派ぶってるのか?』
「とは言われても基本的に昔から教会が腐ってただけですし。」
『ディノス聖騎士団長!
オスカー司祭は背信者だ!……ブイヨン騎士爵とお話中でしたか……』
「え?……ああマスヤマさん、今まともな神父で教会を盲信してる様なのは居ませんよ?
教皇から枢機卿までは軒並み権力の虜です。
もうすぐ身に沁みて解ると思いますが……」
なるほど、王都の出入り口を聖騎士団が囲っている。
『みんな、馬車から出るなよ?
どういう了見か聞いてから出ても遅く無い。』
「ぶっ飛ばした方が早くねぇか?」
「ってあれが聖騎士団かよ?
その辺の山賊じゃないのか?」
どうやらマーガレットはグロリアと意気投合してる様だ。
あ!騎士団員が子供突き飛ばした!
『うぉらあぁぁぁ!』
「子供に何してんだこの野郎おぉぉ!」
「あんた達もっと静かに接近しなさいよ!」
元山賊のマーガレットが一番まともな事を言っている……
ともあれ馬車から飛び出した3人はそのまま聖騎士団に踊り掛かって行った。
1ヶ月のご無沙汰でございました。
葬式とか法事とかで遅れる様な気もしてたんですが……何とかお届けできました。
さて、次回更新は大晦日、12月31日予定です。
{昨日まで11月は31日まで有ると勘違いしてたな?}
うむ……




