こんな僕が異世界魔王候補!?
初めての小説です。
何卒よろしくお願い致します。
第1話
眩しい陽の光が、カーテンとレースの間から僕の部屋へと差し込み、その光がちょうど僕の顔へ当たった。
「あぁー、もうこんな時間かぁ。」
ベットから無理やり体を起こし、半開きの両目を両手で擦りながら大きな欠伸をした。
「つかさ〜ご飯できてるわよ、早く着替えて降りてらっしゃい。」
「わかってるよ!今着替えてる途中だからちょっと待って!」
この掛け合いはもう、かれこれ六年はやってるうちの毎朝恒例の事だ。
六年も同じ事やってればどっちかが早々に飽きそうなのだか、どうやらうちの母も俺も結構この掛け合いは気に入ってらしい。
「つかさ今日もジム行ってくるの?」
「うん!行ってくるよ!一日でもサボったら他のみんなに追い越されちゃうからね!」
そう僕はいつも学校が終わったあと、すぐに教室を飛び出し最寄りのボクシングジムに通っていた。
僕がボクシングジムに通う様になったのは六年前の事だった、僕がまだ十二歳。小学校六年生の時だった。あと、さっきも言った毎朝恒例の掛け合いが始まったのもこの頃からだった。
「じゃあ、母さん行ってくるね!」
「行ってらっしゃい気をつけるのよ。」
とっ、僕は家を出て学校に向かって歩いた。
すると、「助けて……」と声がした。
僕はすぐに周りを見渡したが誰も居ない、今のはなんだったんだ空耳か、と思い再び歩き出した。
するとまた声が聞こえてきた。
「助けて…お願い。」
僕は辺りを見渡しながら、「おい!誰だ、どこにいる!」と問いかけた。
「こっち…細い道の方…」
その正体不明の声の言う通りに僕は足を動かした。なんとそこに居たのは、全身血まみれで腕には大事そうにちっちゃいカバンを抱いた同い年位の女の子が倒れていた。
「お、おい!大丈夫かよ、なんでそんな血まみれなんだよ何があった!」
僕は目の前の状況が直ぐには飲み込めなかった。
「とっ、とにかく今から救急車呼ぶからちょっと待ってて。」
「…その必要はありません三浦 司様。それよりも早く私と契約を結んで下さい。」
「必要ないって…。そんな訳ないでしょ。……ってか、今僕の名前呼んだよ、な?それに契約ってなんだ?」
僕は一気に三回もびっくりした。一つ目はこんな大怪我なのに救急車は要らないと言ったこと。二つ目は、初対面のはずの僕は名前を三浦 司をフルネームで言い当てたこと。三つ目、契約ってなんぞや!?
「三浦 司様。貴方は私達の世界の魔王候補なのです。」
「はぁぁぁぁあ!」
「おっ、俺が他所の国の魔王候補ぉ!?」
「はい。そうです。そして私は貴方様と契約をするべく異世界から来た魔王族第三魔王軍兼魔王直属精鋭部隊七つの大罪所属の魔王候補補佐官【傲慢の罪】ルシフェルと申します。」
「魔王」って四回言ったぞ今!
っと、ツッコミを入れそうになったがあんな真面目な顔で言われるとなんも言えない…。
「まぁ、それは分かったとして。なんでそんなに傷だらけなんだよ、そっちの世界からこっちの世界に来るのはそんなに傷だらけにならないと来られないのか?」
僕は素朴な疑問をルシフェルに問いかけた。すると彼女の口からとんでもない事が語られた。
「はい。とっても大変でございます。っと言っても、転移門をくぐるだけではこんなに傷だらけにはなりません。私が言う大変と言うのは…。あっちの世界の事なのです。」
あれは、私がこの世界に来るちょっと前のお話でございます。
〜異世界(魔王城)〜
「おい、今すぐここに(七つの大罪)を呼べ。」「承知致しました魔王様。」
魔王軍、七つの大罪に継ぐ今すぐ魔王様のお城にお越しくださいませ。魔王様からのお呼び出しでございます。
「それで私達、魔王様直属の精鋭部隊七つの大罪は魔王城に呼ばれました。」
よくぞ来てくれた我が子供達よ。早速だがお前たち七つの大罪に大事な話がある、聞いてくれるな。
「はい、もちろんでございます魔王様。」
....................。
この沈黙から察するに余程御怒りになってらっしゃるか、あの魔王様ですら言いにくい事なのだろうと私達は思った。
そして次の瞬間、緊張感に包まれていたこの空間がさらに重たい空気になった。
「私の寿命があと一年と言う事が分かった。」
「!?」「!!」
その場に居た全員息がぐッ、と止まった。
私達は驚き過ぎて声が出ないどころか、思考が止まった。
すると同じ七つの大罪であるベルフェゴールが口を開いた。
「魔王様ッ!それは本当なのでしょうか!?
何故その様な状況だったと直ぐに申して頂けなかったのですか!」
ベルフェゴールは切なそうな目をして言い放った。
今この状況で嘘を付いてどうなる、全部本当の話しだ。そこでだ、我が子供達よ異世界へ行き新たな魔王になる魔王候補を連れて来るのだ!その中で一番良い魔王候補を連れてきた者には自らが望むものをなんでも一つ与えてやる。
そして私も口を開いて言った。
「それなら私達が魔王様が助かる方法を見つけるという事ではダメなのでしょうか!それにもし魔王様があと1年の命だとしても何故異世界から新たに魔王となるお方を連れてくるのですか!ここに居る七つの大罪の中から誰か1人を選んで決めると言う事は出来ないのですか?」
私は自分の思っている事を素直に魔王様へとぶつけた。
よくぞ聞いてくれたルシフェルよ。
私はお前たちを試しているのだ。
何故私がお前たちの中から次期魔王を選ばなかったのか。
何故わざわざ異世界から来たものを次期魔王にするのか。
お前たちには今、考えなければならない事が山ほどある。
これからはただ私の言う通りに動くのでは無く各々自分の頭で自分の考えを持ってこの1年行動せよ。
そうすればいつかきっとこの意味が分かる日がはずだ。
魔王様は私たちにそう言い残して解散させた。
すると同じく七つの大罪である(憤怒の罪)がこう言い出した。
ってことは、今から俺たちは敵同士って事だよな?
選ばれるのはこの七人の中からたった1人だけだ、、
この意味、お前たちならすぐに分かるだろ?
(憤怒の罪)は狂気に満ちた不敵な笑みを浮かべながらこう言った。
「新たに魔王様になる奴は俺が見つけて来てやるだからお前ら全員俺の邪魔だけはするんじゃねぇぞ....、」
「俺が少しでも邪魔と思ったら直ぐに殺してやる」
そう言って(憤怒の罪)は足早に魔王城を去っていった。
その後に続いて他の七つの大罪たちも魔王城を去っていってしまった。
私は思った、私達1人ひとりがそれぞれ次期魔王候補を探して来るのではなく、みんなで協力し1人を連れてこれば良いのではないかと。
私はすぐにみんなの後を追った。
「あれ?(憤怒の罪)はもう居ないの?」
「あいつならすぐに行ってしまったよ」
手間は掛かるがいいか。とりあえずここに居る人だけでも私の考えを話そう。
そして私は先程の考えを全て話した。
.................。
だか、誰一人として賛同してくれる人はいなかった。
「な、何故です!この方法ならみんなが平等に願いを叶えて頂けるはずです!」
ベルフェゴールが言った。
「皆が平等に願いを叶えて頂けるという保証があるのか?それは確実なのか?そんな不確定な事を信じて動くよりもたった1人でも願いを叶えてくださる。と確定している物にしか意識しないのは当然だろ」
確かに....。私は心の中でそう思った。
みんながみんな同じ夢を持って生きているとは限らないのだ。私達は悪魔だ、最初から他人を思いやる気持ちなんてさらさらないんだ。
その悪魔の中でも私は稀なのだ。
私は幼少期から他人の痛みや思いを考えて生きてきた。
だから小さい時は周りから。
「悪魔のくせに天使みたいな事言いやがって!」
「何だその考え方気持ち悪ッ...」
などと言われてきた。
でも、私は自分の考えは正しいとずっと思って来た。
私は間違っていない、色んな考え方があって良いじゃない!いつか自分の考え方を認めて欲しい、正しいと証明したいと思い私みんなに認められるために日々魔法の特訓や魔力を付けるための特訓勉学に励みやっと魔王様直属精鋭部隊(七つの大罪)に選ばれた。
そこで私は魔王軍第三部隊を任されて色んな戦地へ向かい数々の勝利をもたらした。
その功績があったか、周囲で私の考えに賛同してくれる人がちょっとずつ増えていた。
だが、七つの大罪のメンバーにはまだ理解されていなかった様だった.....。
とりあえず(憤怒の罪)にも急いで言わなくちゃ。
そして(憤怒の罪)の領地へと向かい先程と同じ話を(憤怒の罪)にも話した....。
すると(憤怒の罪)は私をナイフの様な鋭い目付き見つめ言い放った。
「お前、、俺様の邪魔をしに来たのか?俺の邪魔をすれば殺すとさっき言ったはずだが、その言葉の意味が理解出来なかったみたいだなぁ!!!」
そう言って(憤怒の罪)は背中に背負っていた大剣を私に目掛けて振り下ろした。
凄まじい威力の魔力を帯びた大剣振り下ろされた瞬間、大地に何メートルのも亀裂を作りその勢いで周りの建物や草木は崩れ粉々になってしまった。
「な、何をしているのですか!(憤怒の罪)!
この一体をサラ地にするつもりなのですか!他の人は関係ないのですからこんな乱暴な事は辞めてください!」
私は必死に(憤怒の罪)をなだめようとした。
だか、彼はもはや誰にも止められない程に怒り狂っていた。
「あぁ?俺をこんなにイラつかせたのはお前だろルシフェル!周りの奴がどんな死に方でどこで死のうがどうなろうが俺には関係ねぇよ!」
あまりの傍若無人さに私は言葉を失った...。
このまま話をし続けても話にならない所かここに居たら殺されてしまう。
私は背中に着いている大きい翼で空へと飛び立ち自分の領地へと向かった。
私は領地に着くなりすぐさま異世界へ行く準備を整えた、そして最後に私の領地の一番東にある"魔の洞窟"へ向かった。ここでは色々な魔道具や魔石と言った物を保管している言わば倉庫の様な所だ。
「ん〜確かこの辺に..。」「あっ!あったこれだ!」
私が手にしたのは、今私に何が必要なのかを占ってくれる紅色に美しく輝き続けている玉だ。
私は早速占った。
すると洞窟一帯に紅玉の光が広がり、私の頭の中へと断片的ではあるが情報が流れ込んできた。
「うっ、、なんですかこれは?」
見た事のない風景、見たい事の無い物、聞いた事のない音、嗅いだ事の無い匂い。魔力の"ま"の字も感じられない様な世界がそこには見えていた。
「本当にこの様な場所に次期魔王様となられるお方がいるのでしょうか?」
私は半信半疑だった。
けれどこの魔道具は優秀だ。
間違えた情報を映し出すはずがない。
不安な気持ちを残したまま私は地球の日本と言う国を目指す事にした。
「よしっ!荷物は持った!この転移門から行こ...」
ドカーーーン!!!
洞窟内に凄まじい音が鳴り響いた。
すると聞き覚えのある声と共に物凄い魔力の気配がこちらに向かって来ていた。
..........。
「この魔力は、、、。」
私はすぐに誰だかを理解した、何故ならば先程まじかでその魔力の気配を感じたからだ。
そう私の領地に攻めてきたのは(憤怒の罪)だったのだ。
急いで外に出て辺りを見渡すと既に火の海と化していた、(憤怒の罪)は自分が率いる第一魔王軍を使い私の領地で暮らす罪なき人達やその家、畑、を無差別に荒らしていた。
私は涙を堪えながら言った。
「なぜ、、なぜこんな事をするのですか(憤怒の罪)私が何をしたって言うのですか、、、、。」
「私が何をしたかって?笑わせるな!!
さっきも言ったがお前は俺様の邪魔をした、ただそれだけだ!」
(憤怒の罪)はそう言って不敵な笑みを浮かべながら笑い続けた。
すると(憤怒の罪)は私に向かってとてつもなく大きい魔力弾を放った。
これは私の防御魔法でも止められない、、そう思った時にはもう遅かった。
「うぁぁっあ、」
私は一瞬にしてボロボロになった。
(憤怒の罪)はまた笑いながら言った。
「俺は警告したはずだなのにその警告も聞かずに邪魔したのはお前なんだこうなっても仕方ないよなそのまま死ね。」
(憤怒の罪)は私めがけて最後の攻撃をしてきた。
私は胸を撃ち抜かれそのまま意識が無くなった。
.............。
あれかは何時間か、何日か、分からないが私は目を覚ました私は死んでいなかった様だ。
「くっ、痛い、早く日本に行かなければ。」
そう思った私はその辺に吹き飛んでいた木の棒を杖代わりに足を引きずりながら転移門へと向かい異世界へと転移した。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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