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世界の中心で甲斐を語る


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。


「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」


自分の足元を見ながらほのかが聞いた。


「…いや、いいや。」


 かすみは持参したセカチューの文庫本を読みながら言った。


「わかった。じゃあ、問題です!」


「ほのかが話聞きません。誰か助けてください。」


「世界の中心にいる虫はな~んだ?」


 ほのかはかすみの方を見て言った。


 かすみはそんなほのかを見ながら拍手した。


「ブラボー!よくできたじゃない!ほのかはやればできる子だと思ってた!先生、嬉しわ!」


「へへっ!ありがとう!でも、かすみちゃんが先生だったら学校行くの嫌になりそうだからやめてね。」


 ほのかはニコッと笑いながら言った。


 かすみはそんなほのかを他所に、顎に手を当てて考え始めた。やがて答えが出たのか、かすみはニヤッと笑った。


「わかった!答えは『蚊』でしょ!」


 かすみは人差し指を立てて、得意げに言った。


 それを見たほのかは嬉しそうに言った。


「正解!かすみちゃんすごーい!」


「へっ?せ、正解…?」


 まさかほのかが素直に正解と言ってくるとは思わず、かすみはとても驚いた。


「正解なの?…や、やったー。」


 かすみは戸惑いながら拳を上にあげて喜んでるフリをした。


 そんなかすみを見てほのかは笑いながら言った。


「じゃあ、続いてもう1問!」


「は?もう1問?」


 かすみはキョトンとしながらほのかを見た。


「うん!もう1問!いくよ~!」


「うん…。」


「世界の中心とは?」


 かすみは真顔でほのかに問うた。


「えっ…?だから蚊じゃ…」


「ううん。そういう話じゃないよ。この世界の中心って何?」

 

 ほのかは無表情でかすみを見つめている。


「いや…そりゃ…まぁ…。…中心だから地球のコアなんじゃ…」


「それは地球の中心でしょ?私が聞いてるのは世界の中心だよ?世界とは場所だけを表してるわけじゃないんだよ。この地球上で起きている事象すべて含めて世界なんだよ。飛び上がるほど嬉しい出来事も、目を背けたくなるほど残酷な出来事もね。そんな世界の中心って、何?」


「えぇ…」


 かすみはひどく困惑した。まさかなぞなぞに正解した後にこんな問いかけが待っているとは思ってもいなかった。


「私、この問題を聞いた時に思ったんだよ。一体、世界の中心って誰が決めてるの?ってね。世界がこの世のすべてを表しているとするならば、その中心を決める人間はそのすべてを把握していなければ決められないと思うの。でも、果たしてそんな人がいるの?いいや、いるわけがない。つまり、この問題を作った人は自分の知りうる範囲だけを世界のすべてだと決めつけて、見えないものはないものにしてるんだよ。そして、導き出した答えが『蚊』。フッ…笑わせないで。銀河ヒッチハイク・ガイドを書いたダグラス・アダムス気取り?こんなくだらない問題答える価値もないわ。」


 ペラペラとしゃべったほのかに戸惑いながらかすみは言った。


「…いや、その問題はせ・か・いの3文字の真ん中が『か』だから答えが『蚊』なんだけど…」


「…え!そうなの?」


 ほのかは口に手を当て驚いた。


「な~んだ!そうだったんだ!よかった~!かすみちゃん!教えてくれてありがとう!危うくこの問題の作成者に脅迫文送るとこだったよ!」


 かすみは笑顔のほのかに苦笑いを浮かべながら言った。


「ははっ…よ、よかったわね~。」


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。

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