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答え難いなぞなぞ

 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。


「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」


 聴診器を当てるジェスチャーをしながらほのかが聞いた。


「…いや、いいや。」


 かすみは、頬杖をついて自分が読んでいる医学書のページを捲りながら言った。


「わかった。じゃあ、問題です!」


「あんたは一度、耳鼻科に行った方がいいと思うわ。」


「最初は4本、次は2本、その後3本にな…」


「ああ、それね。私もう、答えわかっちゃった。」


 かすみはほのかのことを指差して言った。


「えー!かすみちゃん、すごい!じゃあ、答えてみて!」


 興奮しているほのかにかすみは目線を合わせた。


「答えは『人間』でしょ?」


 かすみは得意げな顔で言った。


「ブー!違いまーす!」


「えっ?」


 予想外なほのかの返しにかすみは驚いた。


「いや、その問題の答えは人間でしょ?」


「違うよ!わたし、最後まで問題文言ってないよ?ちゃんと聞かなきゃ!」


 そう言ってほのかは小さく頬を膨らませた。そんなほのかを見ながら、かすみはキョトンとしている。


「は?あれで終わりじゃないの?」


「問題は、最初は4本、次は2本、その後3本になって、最後は0本になるのはなーんだ?だよ!」


「0本?なにそれ?この問題って人間の脚を表してるんじゃないの?赤ちゃんははいはいするから4本、大人は2本足で、老人が杖をつくから3本でしょ?」


「そうだよ!だから、0本は寝たきりになっちゃった人を表してるんだよ!」


 笑顔で言うほのかに、かすみは若干怪訝そうな顔をしながら言った。


「…うん…まぁ、一応成立してるかな?なんか、急に重苦しい問題に変わった気がするけど…。まぁ、いいや。でも、そうだとしても、結局のところその問題の答えは人間なんじゃないの?」


「う〜ん…でも、全員が寝たきりになるわけじゃないし、正解とは言えないんじゃないかな?ちゃんとそれに当てはまる答えがあるよ!」


 ニコニコと笑うほのかにかすみは作り笑いで返した。


「へ〜。そんなんだ。うーん。わかんないなー。ギブアップ!正解教えて。」


 そう言ったかすみをほのかは満面の笑みで見た。


「しょうがないな〜!じゃあ、答え教えてあげるよ!正解はね…」


「…うん」


「わたしのおばあちゃん。」


 ほのかは無表情で淡白に言った。


 かすみは答えを聞いた後、軽く微笑んでほのかを見た。そして、その後ゆっくりと立ち上がって言った。


「重いわ!!寝たきりになった自分のおばあちゃんを問題の答えにするな!!答えにくいわ!!」


「もう!せっかくこのなぞなぞ考えてきたのに、そんなに怒られたら出した甲斐ないよ!ちゃんと真面目に解いてよ!かすみちゃん!」


「解いてるでしょーが!解いた結果怒ってるんでしょーが!もっと答え聞いた時に素直に感心できるような問題を作ってきなさいよ!」


「もう!かすみちゃん嫌い!かすみちゃんなんて将来誰からも愛されずに孤独の中で死んでいけばいいんだよ!」


「てめぇ!仮にも友人に向かって言うことか!!」


 かすみは、両手で机を叩いて怒った。


 それを見たほのかは、言った。


「問題です!最初は3本、次に2本、最後は4本、これな〜んだ?」


「は?なによ?」


「自分の心に問いかけてみればわかるんじゃない?わかんなくてもかすみちゃんには答え教えてあげないから!」


 そう言ってほのかは首を切るジェスチャーをしてから自分の机に突っ伏した。


「は?ちょっと、ほのか!どういう意味よ!答えは?教えなさい!こら!ほのか!!」


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] かすみちゃんとほのかちゃんの優しい世界が、どこまでも続いていく素敵なお話です。休み時間は永遠ですね。 [一言] 昔の話なので忘れてしまいましたが、この位の歳の頃は毎日くだらない話をしていた…
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