第三話:出発、そして
朝、トゥルースは旅の仕度をし終わり、城の正面玄関でバージスを待っていた。
「そろそろ集合時間だな。」
トゥルースは正面にある時計を見ながら呟いた。すると、
「よう、坊ちゃん。」
と、背後から陽気な声がした。
「その呼び方は止めろと言ったはずだ。」
トゥルースは不機嫌な顔でバージスに言った。
「そう怒るなって。ちゃんと準備できたか?」
「ああ。
トゥルースは不機嫌なまま言った。
「それなら行くぞ。」
バージスがそう言って二人は出発した。そして、太陽がまだ顔を出さないとき、街の門を二つの影が抜けて行った。昼頃、峡谷の辺りに差し掛かった時
「ちょっと休憩しないか?」
と、少し疲れた様子でバージスが言った。
「すでに山一つ越えたんだぞ。」
「それぐらいどうってことない。」
正直、トゥルースも疲れていたが、バージスに反発したいと思い、反抗した。
「そんなに強がるなよ坊ちゃん。」
バージスはお前の思っていることはわかっている、というふうに言いたそうな口調で言った。トゥルースはますますムカついてきて
「ふん。トゥルースという名前があると何回言えばわかる?」
と言った。
「まあ、もう少し行けば泉がある。そこで休憩しよう。」
そこで話が途絶えて二人が無言のまま歩いていると
「ちょっと待て。」
と、バージスが言った。トゥルースが振り返ってバージスを見ると、バージスの顔は真剣になっていていままでのバージスではなかった。
「あそこを見ろ。」
そこには、十数人の兵隊がいた。
「ちっ。あれはデードン軍だ見た目からして一番弱いダーリ隊といったところか。」
「僕たちが思っていたより状況は悪化しているということか。」
トゥルースは焦る気持ちを抑えながら言った。
「そこの草むらの影で様子見しよう。何か情報が得られるかもしれん。」
そして二人はその草むらに隠れてダーリ隊の会話を聞いた。
「ふん。余裕だな。ルーク帝国なんて簡単に乗っ取れるじゃないか。」
「いろいろと喋るなよ。その辺に帝国の奴が隠れていていきなり攻撃されると困るからよ。」
兵隊が喋っていると隊長らしき兵隊が
「俺達の隊は早く着いたから帝国の兵杷まだたくさんいる。周囲の警戒を怠らないように・・・」
言い終わらないうちにトゥルースは草むらから飛び出して行った。