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妖精と王子様のへんてこタンゴ(へんてこワルツ2)  作者: 魚野れん
御前試合は盛りだくさん

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12/81

2

 ルッカに腕を引かれて連れられた先には、既に女性騎士団が揃っていた。揃っていたと言っても、エイミーを入れてやっと片手で足りなくなるという人数だ。

 だが、むさくるしい男たちの中とあれば、女性であるというだけで華やかな集団となってしまう彼女たちは、人数が少なくとも目立っていた。


「やっと来たか」

「遅くなり、申し訳ありません!」


 ロスヴィータの声に、はっとしてすぐに謝罪の声を上げた。


「いや、良い。まだ時間はある」


 片手を上げて気にしないと制するロスヴィータの隣でエルフリーデが頷いている。二人の許しが出るというならば、本当にまだ大丈夫なのだろう。

 新人が遅れて登場するのは恥ずべき事だ。先ほど絡んできた彼女たちの言葉を借りるわけではないが、それこそ女性騎士団の沽券にも関わる。二桁にも満たない人数を統率できないとは、と影で言われてしまうかもしれない。

 これからの礎になるべく、研鑽していかなければいけない立場である自分たちの首を自分で絞めるわけにはいかないのだ。

 一歩間違えればそうなっていただろう事にエイミーの肝が冷える。


「この未熟さ、結果で挽回します!」

「うん。気持ちが強くなるのは良い事だ」

「空振りしないよう、少し気を抜いた方が良いと思うけれど?」

「フリーデの言う事ももっともだ。エイミー、ほどほどにな」

「はいっ」


 かっこいいロスヴィータと笑顔で厳しいエルフリーデの組み合わせはまるで飴と鞭のようだ。それも、飴と鞭はどちらかが飴だともう片方が鞭になるという流動的な組み合わせだから片方だけが恐ろしいという印象にならないのがおもしろい。

 上官をおもしろいと表現するのは不遜だと言われてしまいそうだから誰かに話した事はないものの、エイミーにとっての二人は“おもしろい”の一言に尽きる。

 確かに、他の団員が言うように“美しい”だとか“強い”だとかそういう言葉が出てくるのは分かる。ただ、その印象だけなのかと言えばそうではない。だからこその“おもしろい”なのだ。


「私たちは優勝を狙うから、バティとマリンは準決勝戦くらいを目指してくれ。

 ルッカとエイミーは……まあ、一回戦敗退だけはしてくれるな」

「「了解」」


 ロスヴィータの言葉に全員が頷いた。エイミーはロスヴィータが高望みをしなかった事で胸を撫で下ろしていた。良かったぁー、あの流れで準々決勝を目指せとか言われたら死ねるよー!

 心の声が聞こえたのだろうか。心なしかエイミーを見つめるルッカの視線は冷たかった。




 御前試合は四日間に渡って行われる。理由は単純である。騎士の人数が多い。ただそれだけであった。

 二人一組の場合は二日間でも良いのではないかという声が上がった事もあった。だが、二人一組であれば一対一の時よりも空間が必要になる。

 結局のところはどうがんばっても会場を広げない限り、四日間かかるのだ。

 参加人数は千人と決めている。御前試合の前に試験があり、参加資格を得られた人間が参加する。女性騎士団は初参加という事もあり、全員が強制参加だ。これは国王の指示であり、ロスヴィータの希望でもあった。

 是非とも、この機会を活かして宣伝活動をしたい。女性騎士団員全員がそう思うのも当然だった。


「さて、最初は……いけそうね」

「そうね」


 五百組いるペアが三戦して六十三組に減ると、シード枠として女性騎士団長と副団長が参戦する事になっている。

 エイミーとルッカのペアは、先ほどは一勝だけはしてくれと言われていたものの、彼女たちが参戦するまで勝ち続けるのを目標としていた。

 勝ち抜け戦の為、初戦から組まれている騎士は七回勝利してやっとトップフォーになれる。あらかじめ決められた枠の中で戦い、勝敗が決する他に枠外へ出てしまった時は反則負けとなってしまう決まりがある。

 そしてこの前半の三回は枠――つまり戦場だ――が小さく、大立ち回りがしにくい為、ある意味難易度の高い戦いとなる。


 エイミーとルッカは良くも悪くも前衛と後衛それぞれが片方の役割しか果たせないペアである。その為、立ち位置がとても重要となる。つまり立ち位置が乱れたら終わりだ。

 臨機応変にある程度対応できるペアに比べると、少しばかり不利な事に変わりない。が、初戦の相手は幸運だった。相手も同じ前衛後衛固定型のペアだったのである。


 二人の予想通り、初戦は難なくクリア。ルッカは魔法の発動速度だけは早い。彼女が強風の魔法をピンポイントで当てて相手ペアを吹き飛ばして終了してしまった。

 エイミーはルッカの魔法が当たらなかった場合を想定して、ただ警戒するだけ。目の前の相手を睨みつけている間に何もかもが済んでしまった。

 正直、ここまで簡単だと拍子抜けである。


「私、ただ立ってただけだったね」

「いないより良いと思う。そのまま私の盾でいてくれると嬉しいわ」


 次こそは「いないよりマシ」だと言われないよう、一閃だけでも攻撃の手を入れなければと固く誓うのだった。

2024.6.30 一部加筆修正

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