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元冒険者クリューの穏やかな一日  作者: 神山 りお


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22/22

21 好奇心旺盛な年頃

お久しぶりです。(╹◡╹)

こんな作品もあったなと、覚えていますでしょうか?

短いですが、気晴らしになれば…



「はぁ。おいしかった」

 朝食を食べ終えたミクリは、小さなお腹を摩っていた。

 満足そうで何よりである。

 そんなミクリを横目に、クリューは何かイイ仕事があるかなと、依頼書を見に行こうと席を立てば、その背に可愛い声が掛かった。



「パパ。しょくごのうんどうにダンジョンいこうか?」

「……いかない」

 ミクリの提案に、クリューは即刻却下した。

 迷宮ダンジョンは、万全を期して行く場所で、食後の運動で行く所ではない。

「なら、はらごなしにいく?」

「いかない」

 食後の運動も腹ごなしも、言い方を変えただけで同義だ。

 どうして食後の運動に迷宮をチョイスするのかな?

 母ミリーナの影響なのか、ミクリの基準が壊れているのか、クリューには分からなかった。




 ◇◇◇





 【緊急依頼】

 大至急、バハムートの捜索及び討伐求む。




「パパ、バハムートのいらいがある」

「……」

 その下に討伐依頼の紙まで貼ってあった。

 そう、ギルドマスターの名で。

 この辺りにいないのは分かっているから、捜索依頼と討伐の抱き合わせなのだろう。絶対素材目当てではない。素材はあくまでついでだ。

 おそらく、ミクリの話を聞いて、肉を食べたくなったのだと推測する。

 だが、わざわざ捜索し討伐する程の対価を、ギルドマスターがどのくらい渡せるのか。

 まさか、職権濫用で何か融通するとか?

 誰かの沽券に関わる事態にならなければイイが。



「いまのきせつは、キラーベアなのに」

 そんな事を考えている横で、依頼ボードを見ていたミクリがボソッと呟いた。

「あぁ、冬眠前だからか」

 よく分かっているなと、常々思う。

 キラーベアは冬眠前に蓄えるから、その時期が一番脂がのって美味しいのだとミリーナが言っていた様な気がする。

 まだ子供なのに、既に母ミリーナの面影がチラチラ垣間見えた。どうやら、血は争えないらしい。



「ミクリ、涎拭いて」

 想像しているのか、ミクリの口端にキラリと光るモノが見えたのだ。

 食いしん坊もビックリな反応に、クリューはハンカチを渡しつつ苦笑いが漏れた。



「パパ、やまにいこう」

「キラーベアを探しに?」

「キラーベアのスキヤキは、ブラックブルとはちがったあじわいがある」

「確かに、雌のキラーベアは果物の香りがする個体もいるな」

 基本的に肉食だから、独特の香りがするキラーベアだが、たまに果物ばかり好んで食べる個体がいる。

 人と同じでキラーベアも皆が揃って、肉食ではないのかもしれない。

 しかも、その個体は臭みが少ない上に、仄かにフルーティーな香りがする。それが堪らなく美味しい。



「ミクリ、それはしらない!」

「え?」

「ママにきいたことはあるけど、たべたことはないよ!?」

 クリューが懐かし気に味を思い出していれば、ミクリが目を爛々とさせていた。

 幼いが既に美食家のミクリでも、食べた事のないモノがあった様だ。

 まぁ、肉食獣が果物だけで満足している方が珍しい。たぶん、希少な個体なのだろう。



「たべにいこう!」

「いやいやいや?」

 百歩譲ったとして、そこは"食べに"ではなく"狩りに"ではないのか?

 クリューは行く気満々のミクリを落ち着かせ様とした。

「アシタ、せかいがおわるかもしれない。いまのうちにーー」

 そんなすぐに世界が終わって堪るかと思いつつ、クリューは思わずツッコミを入れる。

「誰が世界を終わらせるんだよ。ミクリ」

「ママ」

「……」

 うん、終わるかもしれない。

 





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― 新着の感想 ―
そうか、ママなら仕方ないよね
 なるほど、『世界が終わる』ならば仕方が無い、往くしかないだろう。  で、ふと思った~。  世界が終わる、自分ならどうするだろう?  うむ、ラーメンを食べて、カツ丼を食って、カレーウドンを食う。  …
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