練習No. 1
現在の俺は自室にて急ピッチで魔導書を二冊造っている。
何故、造る必要があるのかと聞かれれば、今、この世界にある魔導書は
どれも初心者にはとても難しすぎるからだ。
それもそのはず、本来魔法や魔術は親や家庭教師、学園で学びその延長線上に
独学用として魔導書がある。
つまり、俺が造っている魔導書はこの世界に存在しない初心者向けの物だ。
今夜の舞踏会は何か嫌な予感がするため、防御魔法を主体に回復魔法、補助魔法を
描いていく。
攻撃魔法は時間がある時に教えよう。
「よし、ちょうど100Pで出来たな」
魔導書の内容としては、50Pが防御魔法。そして25Pずつで
回復魔法、補助魔法となっている。
これは俺が最低でも覚えさせておきたい魔法だ。
コンコン
ノック音がして、
「旦那様、昼食の準備が整いました」
「分かった。ありがとう、シャルル」
シャルルが入り、昼食の報告をする。
俺は礼の意味も込め、頭を撫でる。
「んふ~♪」
シャルルは気持ち良さそうに撫でられる。
尻尾は今にも千切れそうなくらいブンブンと振られている。
「さて、冷めないうちに早く行こうか」
「はい!」
俺は二冊の魔導書を無限収納には入れずに片腕で
抱えるようにして持つ。
「旦那様、それは何ですか?」
「これは魔導書と言って魔法を学ぶ書物だ。因みに、午後から
これを使ってシャルルとリリスに魔法を覚えてもらうからな」
「私達が魔法を覚えられるのですか?」
シャルルは少し困惑した表情で問いかける。
俺はこの話をしながらシャルルと共に扉から出て食堂に足を向ける。
「ああ、そもそも魔法とは知性ある全ての生物が行使することができる。
まあ、ゴブリンやオークなんかは使い方を知らないだけで使うことはできる」
「でも私は......」
「元々、獣人族は魔法を覚えづらく、武術や剣術の種や型を覚えやすい、
近接戦闘に特化した種族だ。だが、シャルルは違う。魔法の素質があるシャルルは獣人族の中でも
とても珍しい稀少価値がある。獣人族の中で『シャルルと同じ奴がいるか?』
と聞かれればおそらく、この世界中を探してもいないだろう」
「私は分かりましたが、どうしてリリスさんまで?」
「獣人族は攻撃魔法は覚えづらくても、防御魔法や回復魔法、補助魔法は
人族より少し覚えづらいだけだ。実際にサクヤに聞いたが特訓の際、
無意識に身体能力強化の魔法を使っていたそうだからな。
でも、それだけじゃあ足りない。俺のメイド兼護衛なんだからいつ何処で何が来ようとも
俺を守れるようにしなくちゃな」
「はい!旦那様は私達が守り抜いて見せます!」
シャルルはフンスと鼻息をたてて意気込む。
それを見た俺は思わずシャルルの頭を撫でる。
「ふにゅう~♪」
俺が撫でると直ぐにだらしない顔になる。
可愛いなこいつ。
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