奴隷商会 No.2
アニソン最高ー!
俺の背と同じくらいの子、フードを被った少女は一瞬体をピクリと震わせた。
俺は俯いている子のフードを脱がせ右手で顎を上に持ち上げた。
......その子の顔や身体は酷かった。
左腕は何かで切られた後に焼かれたのかドロドロになって固まっていて、
顔の八割は傷だらけで焼け爛れて右目を失い原形を留めていない。
髪も元々は金髪だったであろうが所々焼けて変色しボロボロになっていた。
体型も餓死寸前だったのかガリガリに痩せ細っている。
俺と同じ年齢にしては胸がデカイ。多分Fカップはあるだろう。
「彼女は?」
「この娘は私が遠い地方に行った時の帰り道に寄った村で
可哀想だったので買い取った娘でございます」
成る程、恐らくはこの子の村に魔物が襲いそこで闘いこの状態になり、
そこにこの商人に買われたといったところか。
「その娘は村人たちに聞いたところによると、かなりの美人で更に戦闘もそこそこ
できたそうなので、私の方で買い取り怪我を直そうとしたのですが.....」
「あまりにも怪我が酷く直せなかったというところか」
「はい、まさにその通りです」
バリルは悔しながら、そして申し訳なさそうに言った。
「.....よし。一人はこの子に決めた。」
「「っ!」」
バリルもそうだが少女の方も驚いている。
まぁ、当然の反応だな。
「わっ私の話を聞いておりましたか?!」
「あぁ、聞いていたぞ。まぁ聞かなくてもこいつを買うことは
そこの扉から出てきた時から決まっていたがな」
「......」
「まぁ心配することは無いぞ。むしろこの子のためでもある」
俺が言ったことは事実だ。確かに身体は酷いがそんなことは
俺の前では些細なことだ。
「この子を買うことは既に決定事項だ。値段を教えてくれ」
「はい、この娘の値段は1万Eです」
「分かった。サクヤ」
「はい」
俺がサクヤに指示を出すとトレイに銅貨乗せてバリルの方へ持っていく。
「こちらが銅貨一枚、1万Eになります」
「確かに受け取りました」
バリルがサクヤの持ってきた銅貨を受け取る。
俺はそれを確認して次の行動に移す。
「さて、次が最後にしよう」
「分かりました。次はどのような奴隷をお求めですか?」
「次の奴隷も既にこの場にいるので問題ない」
俺はそう言うと一番右端の子に近づいた。
「最後はこの子にしよう」
俺が選んだ子は白虎という珍しい種類で顔も良く百人いて
可愛いか?と聞けば百人は可愛いと答えるだろう。
まぁサクヤには少し劣るが。胸はBカップぐらいかな。
「申し訳ございません、ルシフェル様。そちらの娘は既に
予約が入っているのです」
「ほぉー、っでその予約先は誰だ?」
「伯爵家の方です」
「そうか。っでなぜこの子は先程から怯えているのだ?」
そう、この子は扉から出てきた時から怯えていて震えているのだ。
まるで関わりたくないかのように。
「はい、その娘は顔が良すぎたせいで村全体から虐められていたのです」
「それは親からもか?」
「はい、その通りです。幼少児は親からの愛情も受けないまま育ちました。
その時は虐められてはいなかったのですが大きくなるにつれ
だんだんと虐めの規模が大きくなりました。
そしてついには人に対して怯えるようになりました。
その時に私の部下が買い取りこの奴隷商に来たのです」
「随分酷い話だな」
「はい、私もそう思いました。そして追い討ちをかけるかのように
下心全開の伯爵家の方が予約したのです」
それを聞いた後不思議に思った。
「なぜ予約なのだ?この奴隷商は予約なんてあるのか?」
「はい、予約はありますがそれはあくまで貴族たちだけです」
「そうか...っでその伯爵家が予約した値段はいくらだ?」
「はい、1億Eです」
まぁ白虎だしそれに伴って顔も良いから元より高いだろうが
予約するのならこのぐらいが適正価格だろう。
「そうか。ならその値段の百倍を払うから俺に売ってはもらえないだろうか?」
「宜しいのですか?」
「あぁもちろんだとも。それに百倍の値段だと向こうも文句は言えないだろう。
それに万が一のことがあれば俺の名を出してかまわない」
「あっありがとうございます!正直言って私もあのような下心全開の
輩に売る気はございませんでしたから、こちらとしても大助かりです!」
「なら、交渉成立だな。サクヤ」
俺はいつの間にか後ろで控えているサクヤに指示を出すとトレイに
白金貨を乗せてバリルに近づいた。
「こちらが白金貨一枚、100億Eになります」
「はい、確かに受け取りました。ではこの娘たちには
奴隷の首輪にしますか?それとも奴隷紋にしますか?」
バリルは白金貨を受け取り懐にしまうと二つの選択肢を提示をしてきた。
今後のことも考えて護衛などもするとなると奴隷紋の方が良いだろう。
「なら奴隷紋の方にするが俺も{奴隷術}を持っていてな。
俺の最初の奴隷になるのだから俺にさせてはくれないだろうか?」
「ルシフェル様が{奴隷術}をお持ちなのは驚きですが分かりました」
俺の最初の奴隷になるのだから俺が自分でしたいしな。
それにこいつなら俺のスキルについては黙っていてくれるだろう。
俺たちは一度テーブルの方に戻った。
「じゃぁ君たち、こっちに来てくれ」
フードの少女と白虎の少女は言われた通りに来た。
「首を出してくれ」
俺の指示に従い彼女たちは首を出す。
俺は両手を彼女たちの首に添えて奴隷陣を二つ展開して発動した。
「これで良し。まずフードの子。君の新しい名前はリリスだ。そして白虎の子。
君の新しい名前はシャルルだ。いいな?」
するとフードの子=リリスと白虎の子=シャルルは何かを覚悟した表情で
そして相変わらず怯えた表情で頷いた。
まずはこの子たちには優しくしてやらんとな。
俺はそう思いながら再びフードを着せる。
「じゃあな、バリル。また縁があったらまた会おう」
「はい、私も心よりお待ちしております。」
俺は二人の奴隷とサクヤと共に奴隷商会を出て外で待っている馬車に乗る。
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