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幕間 ロンとフェイ


「フェイ、正直に話せ。」

「何が?」

「あの少年を連れてきた本当の意味だ。」


ここはヴィクトリア商会の地下。

さっきまで、クロームがロンと手合わせをしていたが今はロンとフェイの2人だけだ。

部屋のすみで壁に寄りかかって、自分達の武器の手入れをしている。


「だから、チョロチョロされるよりも俺達が監視をすれば安全でしょ。オレ達のことが国にバレれば、イーゼス様やおじょーがヤバいからね。」

「それもあるだろう。」


フェイの言っていることは理解できる。

一応セイント王国の貴族であるが、あくまでもヴィクトリア家は商人貴族。

商売から成り上がりで称号をもらった元平民である。

セイント王国の貴族は商人貴族は金持ちであるが領を守る軍事力つまり兵士の力が弱く、逆に騎士貴族は大金持ちはいないが兵士の力が強いと言うのが暗黙の了解。

つまり、ヴィクトリア領みたいに金持ちで軍事力が強いというのは、独立をするのではないかとか謀反を起こすのではないかと、疑惑をもらうのだ。

しかも、セイント王国の騎士ではなくバエイやロン、フェイといった国外の者。

ヴィクトリア領を陥れたい者に知れたら、他国に通じているとかの理由で追放など出来るのだ。

だから今までヴィクトリア家とは名乗らずやって来た。


「しかし、それだけの理由であれば関わらないようにすればいいはずだ。監視だって遠くからでも可能だろ。いくらサジタリアがお嬢様に好意をもっているからって・・・。」

「ねぇ、ロン。」

「なんだ。」

「討伐の時にいた女の子ってどう思う?」

「どうって・・・何とも思わないが。」

「オレは恐ろしいと思ったよ。」

「恐ろしいって・・・。」


フェイらしくない言い方だとロンは思った。

自分もそうだがフェイは普段相手に対して恐ろしいとは言わない。

強敵に出会ったりしても「大変だ。」「難しいねぇ。」「強そうだ。」と笑いながら言うだけだ。

それなのにフェイは「恐ろしい。」と言った。

しかも武人でもなく、ただの女の(ヒロイン)にだ。


「私からしたら普通の女だと思うが、何が恐ろしいのだ?」

「力とかじゃなくて、あの女の言動が恐ろしい。」

「言動?」

「相手の為だと口にしても、自分の思う通りに相手を操る言動。一度はまったら何でもしてしまうような言葉づかい。オレは間近に会ってそう感じたよ。まぁ、あの坊っちゃんはおじょー大好きだけど、もし違っていたら、あの女の為に動かなくなるまで戦うと思うよ。」

「大袈裟ではないか?普通、たかが同じ生徒にそこまではしないだろう。」

「まぁ、少し大袈裟かもしれないけど、でも自分の直感が感じるんだ。こいつは危険だって。だから、1人でもおじょーの味方を増やしたいんだ。学園内だとオレ達はおじょーを守れないからね。」

「だったら尚更お嬢様に伝えるべきではないか?味方が増えて安心すると思うぞ。」


現状、もし学園内で何か起こったとしても対応出来るのは、イーゼスと学園で給仕として働いているセラだけだ。

対応出来ると言っても常にアメリアの傍にいる訳でもなく、イーゼスは監督生ととしての仕事があり、セラもアメリアからの命令で学園にいない時だってある。

ロンのいう通り、クロームのことをアメリアに報告すれば味方が増えて安心すると思うし、それにいざとなれば守ることだって出来る。

なのに、フェイはしなかったのか。


「ロンの言うことも分かるけど、そうしたらおじょーは無理をすると思う。」

「無理をする?」

「おじょーは優しいから、自分を犠牲にしてもオレ達や他のやつらを守ろうとする。あの坊っちゃんのことを話したって、負担になるだけ。だからおじょーには言わなかった。それだけッス。」

「・・・それが本当の意味なのか?」

「一応オレ、おじょーのお守りですからね。誰よりもおじょーのこと見てきたつもりッス

・・・それと坊っちゃんのこと嫌いじゃないんで。実力は認めてないけど、おじょーに対する思いだけは認めているからね。」

「それだけは私も思ったな。」

「でしょー!イーゼス様もあのドン引きの告白!面白いよね、あの坊っちゃん。」


それからフェイとずっとクロームの話で盛り上がってしまった。

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