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お嬢様 平穏に過ごす 8


「ぶぅえっっくしょん!!」


今いる場所は温かい温室だというのに、アメリアは急に鼻がムズムズし盛大にくしゃみをしてしまった。


(あ゛~これは、誰かがうわさをしてるな。予想としてはお兄様かフェイだな。絶対そうだ。後で覚えてろ・・・。)


そのまま鼻をすすりながら、キョロキョロと周りを見回して誰もいないか確認をする。

令嬢が、こんなオッサンみたいなくしゃみをしたら注目を浴びてしまう。

それに、人の噂とスキャンダルが大好きな令嬢とかに見られたら・・・想像したくない。

念入りに見回しておこう。

・・・うん、誰もいないようだ。

とりあえず安心した。


学園内に建設をしてある温室は、その場所でお茶会など出来るように、常に庭師が花の手入れをしている。

学園の生徒も、花に興味があったり植物を育てるのが好きな生徒がいる場合、監督生に申請をすれば好きに花を育てる事が出来る。

でも、ほとんどの生徒は花の話をするだけで、あまり自分自身が育てることなんて、ほとんどしない。

いるとすれば、余程の植物好きだと思う。


(これは摘んで薬にして・・・あっ!スズランが咲いたのね!)


アメリアは学園に入ったすぐ、監督生に申請をして温室の隅で植物を育てていた。

アメリアが育てているのは主に薬草。

セイント王国では、薬草でケガを治したり、病気を治したりとするので、アメリアも何かあった場合、自分自身で対応できるようにと、植物の知識を身に付けていた。

今では、薬草関連は勿論のこと、毒草にも詳しくなってしまった。


(いや~。ここは図書室の次にいいのよね。校舎からは離れているし、人が来ないし。)


いわばここは、アメリアの数少ない秘密の場所。

幼い頃から育てている植物を株分けし、ここでしっかりと育つように日々研究を重ねている。

そして普段、ひっそりと過ごしているアメリアにとって日頃のストレスを解消し、癒しを求める場所となっていた。


(アネモネはつんで・・・。後スズランも、つもう。)


アメリアは、手に持っていたハサミをスッと取り出しアネモネを切ろうとしたら、突然、後ろから声が聞こえた。


「この花のは毒があるから切らない方がいいよ、ヴィクトリア嬢。」

「誰っ!」


アメリアは、突然の声に驚き勢いよく顔を振り向いた。

本来であれば、普通の令嬢らしくゆっくりと振り返り、不思議そうに首を傾げたりするのだが、今いる場所はアメリアが育てている植物の前。

薬草もあるが少々、毒が入っている花もある。

もし、この植物が他の人にバレたりしたら、育てている理由も聞かれるし、最悪の場合、暗殺疑惑までもたれる。

そうなったら、追放ルートまっしぐらになる。

それだけは避けたい。


「驚かせてごめんね。ちょっと話をしようかと思って声をかけちゃった。」

「アディジェ様?」

「アルトでいいよ。ヴィクトリア嬢。」


声の主はアルト・アディジェ。

私の名前を言っている以上、目的はアメリア・ヴィクトリアだと思うが一体、何の目的でここに来たのだ。


「そんな警戒しないでよ。君にお願いがあってここに来たんだから、いい話だと思うよ。」


笑顔で言われても、こいつはうんくさい笑顔の為、警戒します。

しかもアルトとは何も接点がない。

討伐の時、アメリアは森の中にいたので教会の中にいたアルト達には会っていない。

学園でも見かけるだけで、基本アメリアは引きこもっているので会うこともないはずなのに・・・・。


「・・・話とはなんでしょうか。」

「いやね。君と婚約をしたいと思っているんだけど、どう?アメリア・ヴィクトリア嬢」

「はいぃ?」


なぜ、攻略対象(アルト)に求婚されなければならないでしょうか?

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