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お嬢様 罠を仕掛ける 4 クロームside

「クローム君!待って!」


クロームはアルトに掴みかかった後、教会を出てすぐの所まで走った。

その後ろでマリアが追いかけいたことも気付かないほど走って、教会の近くにある湖で足を止める。


(こんな所に湖があったのか・・・。)


月が新月の為、夜の明かりは星々の光しかなく暗いはずなのに、湖が光を反射してここだけは明るい。


「クローム君・・やっといた・・・。」

「マリアさん??」


森の中からガサッと音がして顔を向けたら、マリアがいたことに気が付いた。

良く見ると走って来たのか息が乱れている。


「何しに来たのだ・・・。」

「何しにって・・・貴方を心配しに来たんだよ。」

「心配・・・?」


どうしてマリアが心配などしなければならないのだ。

盗賊など出るかもしれないというのに・・・。

逆にマリアの方が危ないと思う。


「クローム君、ずっとオーガスタ君の為に無理をしてるの、私知っているよ。もっと自分を大切にしてほしい。命を大切にしてほいしの。」

「どうして・・・」

「クローム君??」

「どうして、貴女に心配をされなければならないのですか。」


自分が無理をしている?

そんなこと一度と思った事がない。

この少女に俺の何がわかると言うのだ。


「心配するに決まっているよ!だって騎士は誇り高い仕事だし、大変だと思うから・・・。」


マリアは自分自身が言った言葉が恥ずかしいかったのか、顔を赤くしてクロームから目線を外した。


「騎士が・・・誇り高い・・?」


この言葉を聞いて心がスッと冷える。

あの時の自分であったら、この言葉に喜んでいただろう。

嬉しくもなるだろう。

もしかしたら、この少女に特別な感情を抱くかもしれない。


でも今は・・・今この場所にいる自分は、騎士が誇り高いとは思えなかった。

そう、あの少女から言われるまで・・・。

騎士の誇りがくだらないと言われるまでは・・・。


「だから、私はそんな皆の為に出来る事をしたいの。」


はにかみながらクロームの事を心配しているマリア。

しかし、彼女は気付かない。

自分の向いている瞳が冷たいことを。

そして、自分自身を見ていないことを。

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