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お嬢様 罠を仕掛ける 1

「ハロルド隊長。今日はありがとうございました。」

「いえ、こちらこそ殿下に大きな怪我がなくて良かったです。」


ガタッガタと揺れる馬車の中では、騎士の一団3名とオーガスタ、クローム、アルトの3名が乗っていた。

セイント学園では生徒は剣の実戦経験をつける為、セイント王国の騎士達と一緒に任務についていくことがある。

その場合、生徒の剣の腕だったり任務の難しさなど色々な条件があり、条件が通ると騎士団と一緒に任務についていく事ができる。

オーガスタ達はある村で作物などを食い荒らしている獣を騎士団に一緒に討伐を行き、今はその帰りである。

みな、体の所々に多少の傷があるものの大きな怪我をした者はいなかった。


「しかし、殿下の剣の腕も素晴らしいですが、サジタリア殿の腕も素晴らしいですな。」

「そうそう。下手したら新米のジョンよりも上じゃね?頑張れよ、ジョン!」

「ダリウス先輩・・・それはないです。」


今回オーガスタ達が同行した騎士団は、セイント王国の中でも腕がたつ集団だ。

特に隊長であるハロルドは、若くして隊長になった優秀な騎士である。

時々、学園に来たりもして生徒達の指導も行っていて、オーガスタ達もハロルドの指導を受けていた。

獣の討伐の時も、ハロルドはオーガスタ達に実戦での指南を行っていた。

逆にハロルドの部隊で新入りがジョンである。

聞くところによるとジョンは平民出であり、ハロルドに憧れてソラリア学園に入学をしたらしい。

卒業したばかりなので、オーガスタ達のすぐ先輩にあたる。

幼い頃から狩りをしていたらしく、今回の討伐の時は解体の仕方を教えてもらった。

そのジョンをからかっているのが、隊の副隊長である。

ダリウスは貴族出身だ。

貴族と言っても妾の子で、母親は平民出身。おまけに次男坊であった。

年が離れた兄がいて、すでに結婚もしていて子供もいるので、ダリウスは食い扶持を稼ぐために騎士団に入ったらしい。


「私はまだまだです。もっと強くならないと・・・。」

「うわっ。まだクロームさんは、そんなこと言うのかよ!」

「そんなこととはなんだ、アルト。」

「まあまあ、2人共。」


アルトがクロームを茶化し、それをオーガスタが止める。

学園でも、オーガスタ、クローム、アルトはこんな風に過ごしていた。


「本当にヒューデガルドを連れていかなくて正解だったな。」


アルトは急にボソッと呟く。

その言葉は誰も聞こえなかった。

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