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お嬢様 愚痴を聞く 4 イーゼスside

最後は執務室に乗り込んできた。

監督生の人達は執務室で日々書類等の作業に取り組んでいる。

俺も執務室で作業をしているのだが、みんな静かに作業をしているので、ちょっとした癒しになっている。

言っておくが基本、一般の生徒は入室禁止。

用がある場合は名前と用件を言えば入れる。


「ちょっ・・・まっ・・・さい」

「どいて・・・この・・・・の」

(外が騒がしいな・・・。)


今さっき生徒からの申請書を終わらせて休憩をいれようと思ったのに。

他のメンバーも外の騒ぎに気付いたのか、チラチラと顔を向けている。


「すまないが、誰か確認をしてくれないか?」

「そうですね・・・ちょっと確認をして・・・」


バンッーーー


「イーゼス様!どうしてですか!」

(((また、このクレーマーか・・・。)))


執務室にいる監督生全員がそう思った。

実は、マリアが執務室に来るのは初めてではない。

ほぼ毎日と言っていいほど執務室にやって来ては文句を言ってくる。

アメリアに相談をしたら「凄いクレーマーね。」と呟いていたので、監督生の中では隠語としてクレーマー=マリアで使っている。


「マリアさん。何度も言っていますが、この部屋に入室する場合、先ず名前と用件を言って下さい。」

「何故、この申請が通らないのですか!理由を教えて下さい!」


そういいながら、バンッと目の前で出されたのは、俺が却下をした申請書だ。


「理由も教えて下さいと言っても申請書を返したときに伝えましたよね。」

「必要がないと一言、言われただけです。納得がいきません!」

「本当に必要がないからです。」


マリアが申請してくる物は、必要がないというよりも簡単に言ってしまえば、余計なことをしていると行った方が正しい。

以前、『王都に住む貧しい人達の為に、学園で炊き出しをするべきだ』との理由で彼女からの申請書を確認したら、金額がとんでもないことになっていた。

食材は高級な店に出てきそうな食材と料理人は店のシェフ。

それは金額が高くなるはずだ。

予算が無理という理由で却下をした。


他にも、『教会にいる子供達にお菓子や玩具を配りませんか?』とか、言っていることは素晴らしいことであるが、内容があまりにも酷い為、申請が通ったことがない。

しかも毎回、必ず俺に抗議をしてくるのだ。


「いいですか?何度も言いますが、慈善活動のパーティーなんて必要がありません。」

「慈善活動ですよ。決して私利私欲ではないのに、人の為になることではありませんか?」

「人脈の多い方でしたら分かりますが、貴女は入学したばかりの学生ですよね?もし、パーティーをやっても不利益になるだけです。」

「ひ・・ひどぃです・・イーゼス様。」

「すみませんが、まだ作業がありますので退室をお願いします。」


俺がそう言うと、マリアは無言のまま執務室を退室した。

対応するだけなのに、一気に疲れが来たような気持ちになってしまった。

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