お嬢様 逃げる3
(いや~。良いタイミングで逃げて良かったわ~。)
アメリアは隙をみてイーゼスから逃げ出し、デザートが置いてあるテーブルで一人で食べていた。
他の人達はというと、中心で集まっている出待ちの人達だったり、端の方で飲み物を片手にもち、チラチラと殿下が出てくるのを待っている人だけである。
簡単に言ってしまえば、アメリアみたいには食べ物を食べている人はいないと言うことだ。
(やっぱ、王家主催の会って違うわー。高級品ばかりで、しかもうまい!)
アメリアはそう思いつつ、片っ端からデザートばかり食べ続けている。
貴族である以上、テーブルに置いてある料理の品々を片っ端から食べているアメリアに対して、下品だと思われたりするのだが、生憎他の人達はオーガスタ殿下を一目みたいと躍起になっていて、誰もアメリアの事なんかみるきもしない。
(領に帰ったら、ケーキとかにも手を出そうかしら・・・・)
「キャー!!殿下よ!!」
「早く、ご挨拶しなきゃ!!」
ドンッ!
(うげっっ!!)
デザートをお皿に乗せている最中、突如後ろからいきなり令嬢達が突進してきて、アメリアはぶつかってしまった。
いや、ぶつかったのではない。
肉食系令嬢の突進に巻き込まて、ぶつかれました。
しかもその際に、テーブルにぶつかってしまい、お皿の端に置いておいたフォークをテーブルの下に落としてしまった。
(くぅそぉー、肉食系令嬢め!何が自分お淑やかです風にいても、所詮は似たり寄ったりなのよ!大体、ぶつかっておいて謝りもなしか!)
落ちたのはフォークで食べ物を落とされないだけでも良しとしよう。
落ちたフォークは本来であれば給仕係を呼ぶものであるが、アメリアは呼びつけることが面倒だと判断し、自らとりに行こうとテーブルの下に潜った。
白いレースの入ったクロスをどけるとテーブルの足の近くに銀のフォークを見つけ、膝を地面につけて、進みだした。
ドレスが多少、土で汚れると思うがアメリアはそんなことは気にしない。
「あったー。」
フォークを手に取ると、見た目ではあまり汚れてはなく、綺麗な状態であった。
まぁ、でも口に入れるものだから綺麗に拭こうと思い、フォークを左手にもち右手でテーブルクロスを上げたら・・・・
「何故、ここに令嬢がいるのですか?」
(それは、此方のセリフです!!!)
目の前にクローム・サジタリアがいた。