表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界へ会いに行きます!  作者: 飛狼
第一章 異世界へと誘われ
6/19

◇そして、私はスキルを修得してみる。

「えっとぉ……何これ?」


 ウィンドウには、スキル一覧表が表示されている。表示されているのは12個のスキル。


【水魔法30】【風魔法30】【土魔法30】【光魔法40】【闇魔法40】【剣術20】【槍術20】【体術20】【身体強化50】【鑑定50】【測量20】【アイテムボックス80】


 まさか、この中から選べと? どうやら、そのまさかのようでした。

 ポイントを消費して技能が貰えるとか、それって、人としてどうなの?

 そんな事で技能が身に付くなら、誰も苦労して努力なんかしなくなるわよ。て、思いつつも、私は選ぶけどね。


 うぅん、どれにしようかしら。やっぱり、魔法かしらね。魔女っ娘ユウコとか、ちょっと憧れたりするわけで……。

 あっ、でも、前に勇吾が、こういったVRMMO系のゲームだと、序盤に鑑定は必須だとか言ってたような。


 ――むむむ、悩ましいわね。


 でも、ここは真面目に選択しないと。なんといっても選択次第では、私の命すら掛かってるのだから。となると、勇吾の言ってた事を信じて鑑定を選ぶのが良いのかな。もしかしたら、鑑定があれば、見えない私のステータスも、見えるようになるかも知れないしね。


 私はウィンドウに手を伸ばし、鑑定の文字をタッチする。

 けど……。


 ――あれ、なんの変化も無いけど。


《ポイント数が不足です》


「へっ、何それ! ちょっと、チュウさん。あんたはさっき、現在、修得可能のスキルって言ったじゃない!」


《ポイント数が不足です》


 文句を言っても、チューさんは同じ言葉を繰り返すだけ。

 まあ、分かってはいたけど。私が勝手にチューさんと擬人化してるだけで、プログラムみたいに決められた言葉を発してるだけ。私とチューさんとの間に、会話なんて成り立たない。

 分かってはいたけど、それでも文句を言いたくなる。


 よく見ると、確かに、スキルの横に数字が書かれている。たぶん、この数字が、獲得するために必要なポイント数なのだろう。


 本当にもう、言葉が足りないのよ、言葉が。もう少し、ちゃんと説明してくれれば良いのに。


 チューさんが、「現在、修得可能のスキル」といったのは、今の私、レベル2で修得できるスキルの事なのだと思う。要はポイントさえあれば、今すぐに修得可能なのだろう。


 そうなると、鑑定を獲得するには、50のポイントが必要なのかぁ。魔法のスキルにしても、30のポイントが必要になってくる。

 私は現在、20のポイントしかない。本当の意味で、今すぐ修得できる のはというと……。


 ――あれっ、【火魔法】が無いわね。


 今気付いたけど、不思議な事に、火に関する魔法だけが無い。レベルが足りないのかしらね。


 という訳で、今すぐ修得できるスキルは、【剣術20】【槍術20】【体術20】【測量20】の4つ。

 今の私は一応、刃渡りが40センチぐらいの小剣をもっている。だからといって、まさか魔獣に近接して戦うとか、私には絶対に無理。考えただけで、ぞっとする。

 という事で、【剣術】のスキルはパス。【槍術】も、槍自体を持っていないので、考えるだけ無駄。だから、スルーする。


 残るは、【体術】と【測量】の2つ。

 【体術】は、体のキレが良くなるとか、そんな感じのものかしら? 【測量】は、よく分からないわね。

 この2つの、どちらが……それとも、今回は見送って、ポイントをもう少し溜めてから、【鑑定】を修得した方が良いのかしら。


 うぅぅん、で……結局、【測量】を選ぶことにした。


 溜めるにしても、スキルポイントはレベルを上げるか、クエストを達成するかでポイントが溜まるようだけど、それ以外については良く分からない。てか、ちょっと、ポイントも使ってみたかったしね。


 悪い癖で、ポイントがあるとか聞くと、つい、使ってみたくなるのよ、私は。


 それに【測量】を修得すると、クエストの「地図を作成してみよう」を達成できるのではと思った。それと、メニューの機能、マップが使えるようになるかも知れないと考えたのだ。


 ウィンドウ内にある【測量】の文字を、指先でタッチする。

 それと同時にチューさんの声が、また頭の中に響き渡った。


《スキル【測量】を修得しました。クエスト、「スキルポイントを使ってみよう」を達成しました。クエストボーナスが経験値に加算されます。スキルポイント5を獲得しました。称号、『炎帝の愛し子』の成長促進により、獲得スキルポイントが倍化10となりました。新たなクエスト、「スキルをレベルアップさせよう」「スキルを進化させよう」発生しました》


 でも私は、チューさんの言葉を録に聞いていなかった。


「あっ……」


 思わず声が漏れる。何か妙な感触が、頭の中をよぎったからだ。


 ――なんだろう。


 頭の中に、スタンプを押されたみたいな……確かに、私の中に何かが刻まれた事だけは分かった。


 けど……それだけ。私のどこかが変わった訳でもなく、変化も何もない。自分のステータスを眺めても、スキルの覧は【※※※】が並ぶだけで、相変わらず読み取れない。しかも、ウィンドウ枠外にあるマップの文字も、暗転したまま使えそうにない。


 ――もしかして、ポイントを無駄にした?


 そんな考えが浮かぶけど、「そんな事はない。何かの役にたつはず」と、頭を振ってその考えを直ぐに打ち消す。

 この部屋から出てから、色々と試してみればいいよね。


 ――後、いま出来る事は……。


 新たなクエストも派生したようだけど、それも、今すぐにできるようなクエストでも無さそうだし。後は「従魔に指示を出してみよう」のクエストを、キキに命令して達成できるか試すぐらいかな。


 そんな事を考え、キキに目を向ける。と、キキは鍋に入れた水を飲む姿勢のまま、こっくりこっくりと居眠りしている。


 ――ふふっ、可愛い。


 そういえば、ここに来たのは深夜になってからだったわね。今の時間はと……。

 ウィンドウの端にあるデジタル表示を眺める。今の時間は夜中の3時を少しまわったところ。

 いつもなら、既に寝てる時間だ。だから、時刻を確かめてると、思わず「ふあぁ」と欠伸がでる。

 今までは妙な世界に来た事に気が張っていたお陰で、眠気も無かったようだった。けど、ひと休みしてお腹の中に食べ物を入れた為なのか、少し眠くなってきたようだ。


 そうね。体を休める事も大事。今日はもう眠ることにして、後は明日にしましょう。

 といっても、床にはびっしりと苔が生え、とても横になる気になれない。唯一、寝床になりそうなのは、祭壇の上。

 でも……そこも、生け贄にされるみたいで何か嫌。

 結局、居眠りするキキを膝に抱え、壁にもたれ掛かった座った姿勢のまま、眠ることになってしまった。


 ――明日は、ちゃんとした寝床を作ろう。


 そんな事を考えてると、すぅと意識が遠ざかっていく。やはり、色々とあって疲れていたのだろう。直ぐにも、私の意識は眠りへと落ちた。


 こうして、現実と非現実が混在する奇妙な異世界での、私の初日は終わったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ