6話メイド母娘と世界の秘密(笑)
この世界の秘密が白日の元に!?
それはさておき、ミネットとココの母娘の真実も話します。
ココの迷走はまだまだ続くかも・・・?
4月29日 本文の改稿をしました。
ミネットを連れ帰った俺たちは・・・いや3人の耳にはココの叫び声が聞こえてきた。
「なぜ姫様はあの男たちを、そこまで信頼するのですか!?私の母様は、祈った神に見捨てられて殺されたんですよ!!!」
「おぉう・・予想以上に荒れているんじゃないのか?どうすんべぇ(笑)」
クオンは苦笑している。クランドールは俯いている。ミネットは体を震わせている。感動とかじゃないね!
今すぐにでも駆け出しそうなミネットの肩にクオンは手を置き話しかける。
「あんたがまず先にするのは、ココを叱ることじゃない。現状を知ることだ」
俺はそう言うと、ミネットに姫たちにした内容を話した。
「そうなのですか?では、国王様方は・・・」
「ああ。クランドールが確認してくれた」「すまぬ・・・」
俺の言葉に続き、クランドールは謝る。
「クランドールがいなかったら、ルクレシア王女だけしか助けられなかっただろう」
俺のこの言葉は本心だ。それにこれ以上、自分を責めないで欲しい。
「だか・・・「でもも案山子もないぞ?神の感覚で言うなら、助けられたこと自体が幸運だろ?」・・確かにそうだな。ほんの一瞬で数年が過ぎても不思議ではないな・・・」
「だろ?」笑い返すクオン。それを聞き逃せないのがミネットだった。
「どういうことなのですか?」
その言葉に頭に?マークを浮かべる神と管理者。少ししてクオンは手を叩く。
「ミネットのもきちんと説明しただろう?俺がクランドールにこの世界に呼ばれたって。
クランドールはこの世界の神より上の上級神なんだ。聞く話によると、万単位の惑星を管理しているらしい」
あっさりと話しているが、本来創造物は創造者を見ることはない。”神託の巫女”とかいるが、この巫女が話しているのは実のところ、下級神の声を聴いているに過ぎない。
創造神が創造したのは、クランドールたちになるとのことだ。クランドールの下にも、監視中位神(大体千個くらいの惑星を監視するもの)がいて、その世界の”世界神”が監視下位神となるらしい。
はっきりと言わなくても、世界神ですら『下っ端』と言いきれる。その世界の下位神なんかはもう『新入社員候補』とすら言えそうだ。
「それ話していいことなのか?」
「お主等が話さねば良い!お主は言わぬだろうし、それにミネットといったか?お主が『敬虔な信者』なら、世界神たちを貶めるようなことは言わぬだろ?」
クランドールも中々あくどい。流石”悪神”なだけはある・・・と一人納得する。
「クランドールは俺のことを”半神半人”と言ったよな?俺はどのラインに入るんだ?」
クオンは疑問に思ったことを確認した。
「お主の役目からいくと・・上位神と世界神の間くらいか?」
何とも曖昧な答えをいただいた。
「現状でお主は”人類最強”と言える能力をもっておる。だが能力的には下級神に及ばん。
よくても手傷を負わせるくらいだろう。」
「(淡々と言うがかなり現状でも”天災的存在”何じゃないのか?しかも俺に寿命は無いようなもの・・・。
成長次第では『神殺し』すら可能になりそうなんだが・・・・・・)」
「お主の考えは読めるぞ?答は”可能”だ!!神も造られたもの。故に”肉体の耐久年数”がある。肉体を超えた攻撃により”死ぬ”ことになる」
「もしそうなったときに、この世界の神はどんな行動をとるんだ?」
「先程も言ったが世界神以外は”世界を構築する歯車”と言える。無くなった部分は”再度創造される”のではないか?」
クランドールは何の気なしにそんなことを言う。まあ、世界神自体が創造神に造られているものである以上”創造=破壊”と言い切られたらそれまでになる。
それより、現在直接関係ない”部外者”が創世記を隣で聞いているのを、このクランドールは理解して話ているのかが気になる。
「申し訳ありませんがそのお話は、私が聞いていてよろしいのですか?」
その言葉にクランドールは気づいたらしく焦っている。クオンは、自業自得だと思ったが助け船を出すことにした。
「ミネット、君は”敬虔な信者”なのだろう?なら創世記は『言わない』違うか?」
俺の言葉にミネットは頷く。
「当然でございます!私の実家は代々続く神官の家系で御座います。常に清く・正しく・慎ましく我が家は続いて参りました!」
本来なら隣部屋の寝室なら、これほどの大声なら届くだろう。だがなんの反応もない。それだけ寝室に設置した『防音機能』が秀一なのだろう。幼なじみの部屋から聞こえる”爆発音”や普通の騒音に悩まされてきたので、これを機に作製してみた。
まあそのせいでコストが高くなったのは、仕方がないことなのだろうか・・・。一人暮らしを想定していたハズなのに気付いたら決定を押していた。
「うんうん、だろうね。でも『清く・正しく』は、正確ではないんじゃないか?
”妹”を『娘』と偽っているんだろ?なんでそんなことをしているんだ?」
この言葉はわざと口に出したことだ。この時点で確認しなくてはいけない、そう感じたからだ。
この言葉に”どう返答するのか”それが気になった。返事の内容次第でミネットの『口が堅い』かどうかが分かると、内心で思っている俺自身がいることに今気づいた。
「何を言っていらっしゃるのですか?」
彼女の纏う空気が一瞬変わったのを感じた。本人と対面している状態でも、その”変化”を感じられるのは『超一流』か最低でも『一流』くらいしか分からないとだろう。俺がその変化を感じられると理由としては、スキルの一つ『直感』のお陰だと思う。
「そうか?先程、動揺したよな?それ自体は普通の人には感じられないだろうがな」
「・・・・・・・・・」
ミネットは、黙って俺を見つめている。目に見えない部分での”葛藤”を直感で感じている。
だが、俺はその程度のことを『蒸し返す気はない』ので、彼女の返答を待つ。
「・・・・・・何故、そのことを?」
「言っただろ?俺はクランドールに”呼ばれた”とそう言っただろ?
なら、俺は『神の使徒』ってことになるよな?それが”理由”だ」
厳密に言うと少し違うだろうが、”代行”や”従者”と言うのはまた違うと思えるからだ。実際のところ立場的には、『世界神の次に偉い立場』であるとクランドールの話で理解してはいるが、実感がないからである。
「それに俺は『解析』持ちなんだ。その俺を『隠蔽』も『擬装』もないのに、騙せていると思ったのか?」
ちなみに『解析』はこの世界に存在するスキルの1つであり、これは特化能力の中でも上位の複合型スキルである。
解析・・・『人物鑑定』『アイテム鑑定』『魔物鑑定』の鑑定シリーズをLVMAXにすると統合される。複合型スキルである。このスキルをマスターすると、『看破』のユニークスキルに上位進化する。
と、リストに載っていた。無論『看破』と比べると比較的に人数は多い。ただ、エクストラ(以降ex)スキルである以上、貴重な人材であることに関してはクオンは全く理解していない。
『解析』スキルに関しては、各国のギルドマスターには必須スキルであり、当人たち以外にはほとんど知られていない。ちなみに『看破』はグランドマスターの必須スキルである。
話を戻すが、当のクオンは魔眼に付加された能力の一つ”真偽眼”の事は頭から抜けている。頭がキレる彼らしくないが、色々気になるので忘れているのかも知れない。
「それほどの御方が・・・何故、国に使えないのですか?」
ミネットの考えが”普通”の考え方であることは、クオンにだって分かっている。それ以上にクオンが危惧していることがある。それは、国が『聖戦』と言い張り他国との戦争に引っ張り出されるのが、未来の場景として思い浮かぶからだ。
「君たちの種族を含めてそうだが、『聖戦』やら『聖域(聖地)を取り返す』とか俺からすると『他力本願な戦争』に巻き込まれたくないからな」
キッパリと切って捨てるクオン。生存が第一の重要事項にな自分が巻き込まれて、この”大陸を統一する”まで縛られるのは正直、面倒であり無駄である。いくらこの大陸が、ラグドリーズの1割弱だとしても面倒なことに変わりない。やはりミネットは納得できないらしく、
「なぜ、同じエルフのクオン様が私たちをお助けにならないのですか?そのくらいのことは出来ますよね?」
と、言う始末だ。クオンからしたら、『勘違い』というより『狂っている』と感じられる。確かに”魔族””亜人族”など人族以外の保護を頼まれている以上、彼らの生活をある程度の支援はする気でいる。だからといって自分から動かないものを、助ける気などないのだ。
仮に彼女たちが、『自活するので支援してほしい』というなら、ある程度は支援するんだが・・・。
「姉妹揃って、思い違いしないでくれ。姫姉妹は現状をどう捉えてているかは分からんが、お前たち姉妹の認識が甘すぎるし、自分勝手なのは少しでも理解しているのか?あんたら四人は滅んだ『元ラグズ王国』の捕虜であり、ある意味『奴隷』と言っても差し支えない状況なんだぞ?」
俺の言葉に下を向くミネット。悪いと思うが、今の姉妹は『過去』にしがみつき過ぎている。このままでは、彼女たちの命は亡く、俺の”死”が近くなる。『一年』早く出会っていれば、違う対応もとれただろうが言うだけ切りがないので、言いたくない。クランドールに負担をかけないためにも。
「では、私たちはどうすれば・・・・・「自分で考えろ」」
だからこそ、冷たくするしかない。もう、甘やかせられるタイミングではない。
自分で判断して動かない限り、後悔しかない。『他人任せ=無責任』ことの起こった後では余計にそうなる。四人できちんと話し合った上で、俺の庇護下に入るなら文句はない。そうなれば色々と話を進められる。
現状を理解していないのは姫姉妹の同じだが、この姉妹は最初から現実より逃げているように感じられる。
家族を失い、国を失ったことは同情を禁じ得ないがそれで『助けられて当然』的なことを思うのは違わないか?
「お前の頭は飾りか?死ぬその時まで考え続けろよ。妹に『母様』と刷り込む前に、自分自身がまずその足で立って歩け。その立派な脚で前に進めよ。あんたはまだ、生きているんだ」
発破をかけるための、苦肉の策でそんなことを言う自分に呆れる。下手をすれば敵になるだろうが、彼女たちの意志で立ち前に向かって欲しくてこんなことを言うことになるなんてな・・・。
考え込んだミネットを連れて寝室に向かうことにした。
「コンコン・・・入るぞ」
そう言いながら寝室に入る。真っ先に俺を睨んできたのはココだった。予想通りなので、気にせず入る。
「その様子だと、全く話が出来ていないようだな。あまり悠長なことができる時間はないぞ?」
「申し訳ありません。予想以上にココが、理解を示してくださらず・・・・・・」
「それは仕方がないな。あの子供は自分の感情しか考えていないんだからな・・・」
その後の「自分自身の真実も分かってないけどな・・・」と言う呟きは彼女たちの誰も気づいてなかったのは幸いか。
ふと思い立ったので姫姉妹に聞いてみる。
「二人はココの秘密を知っているのか?」
姫姉妹は驚くが、「何のことでしょうか?」と返事をしてきたので「親子ではなく、姉妹だってことを・・・」と、正直に言った。
「俺はクランドールに選ばれた”使徒”と言ったよな?その時に貰ったスキルで見た」
「そうでしたか・・・。私たちの知る範囲では、ココの出産時、運悪く命を落としたそうです」
ありきたりなテンプレであるが納得した。そうなると父親はどうなのか知りたくなる。俺の内心を感じ取ったのか、ルクレシア王女は説明してくれた。
「ミネットのお父様はココが2歳になる前に、防衛戦で命を落としました。元々母親代わりでココの世話をしていたので、自然にココはミネットを”母様”と呼ぶようになりました。
ミネット成長自体エルフも中で以上に早く、12歳になるころにはその・・・今の私たちとほとんど変わらない、身体になりました」
後にこの話をクランドールにしたところ、人族以外の種族は肉体・精神的に早熟だと聞いた。
「そんなんだと、結婚の申し込みが殺到しなかったのか?」
かなりの数が予想される。10では少ないだろう、20でも不思議ではない。
「ミネットが15歳の時が最も多かったと思います。3桁に届いく程の申し込みであったと思います。全て断っていましたが・・・・・」
絶句した。恐ろしいほどの数になにも言うことができなかった。それより多そうな姫姉妹には怖くて聞けない。
まあ、ミネットも姫姉妹も美人だからな。
そう思いながら、これからのことを考えた。
現状、亡くなったのは”国王たち”だけ?
二人の再開は次話になります。
次回の更新は2月15日の予定になります。
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