5話メイド母とダンジョンマスター
前回話の流れで出ていたココの母親のメイド長登場。
色々突っ込むところあり?ココと別れたあとに何が起こったか!?
4月29日 本文の改稿をしました。
人の悪い笑いを浮かべたクランドールに仕事を押し付けて、放置していたことの確認を行うことにした。
「今日一日で結構LVが上がったんじゃないのかな?」とそんなことを思ったのでステータスを見てみた。
クオン LV50
job:ダンジョンマスターLV3 魔王LV20 魔法使いLVMAX 中級魔法使いLV49
MP 56742 (job補正なし22880)
STR 2433(A+)
VIT 1622(A)
INT 8047(A+) (job補正なし3245)
AGL 2433(A+)
CP 1045
何か色々なところが可笑しいところが多くあって、何処から突っ込めばいいのか分からない。
特に『魔王』『魔法使い』と増えているが、何故増えたのかが分からない。
能力値も結構おかしいことになっていることが分かる。今日一日でこれ程のレベルアップが起きるとは予想外だった。原因があるはず・・・そう思い調べてみたら、あったよ原因が。
レジェンドスキル 必要経験値・減・・・LVアップに必要な経験値を少なくする。(1/10)
獲得経験値・増・・・入手する経験値を多くする。(10倍)
これが原因であった!他人の10倍近い速度でLVアップが起きているのだから、こんな惨事を引き起こした。だが何故?の状態であることには変わりない。さらに深く思い出してみると、こうなったであろう出来事を思い出せた。
今日虐殺した相手は誰もかも、俺よりLVが高い連中だからこそこれほど以上な上がり方になったのは言うまでもないのだろう。
そんなものは隅に放り投げ、newスキル探しに勤しむ。最初のキャラメイク時以外は、獲得した職業以外のスキルは”基本的”に習得出来ない。あくまで基本的というのは、職業同士で共通するものがある場合があるからだ。
例:魔法使いと魔法剣士
共通:魔力操作 魔法適正(単属性)
魔法使い:MP回復力UP(下位)
剣士:剣術(下位)
覚えるスキル:魔法剣(単属性)
とこのような感じになる。共通は文字通り重なるもの、魔法使いなら剣士の、剣士なら魔法使いのスキルを覚えられる。ただ(下位)とあるように、下位のLVまでしかLVを上げられない。
ちなみに下位とはスキルLV10までを指し、それ以上のLVUPは『原則として出来ない』と言っていた。なら、制限解除が出来るはずだ。簡単に見つかった(笑)
と言うか”剣術(下位)”をタッチしたら、備考が出てきた。
剣術(下位)・・・2CPで習得可能 制限解除3CP
とこう出た。ヘルプ機能が眩しい!憎い仕事をしているぜ。
実際のところ剣術スキルは5CPかかるので差し引きで言えば0である。俺のスキルリストにもあるので、習得し制限解除をする。 残1045CP
ちなみにCPだがLVUP毎で5CP入手する。
自分のLVUP:50×5CP=250CP
魔法使い:LV50(MAX)×5CP=250CP
魔法使いマスターボーナス+100CP
中級魔法使い:LV49×5CP=245CP
魔王:LV20×(5CP×補正2倍)=200CP
以上で795CPこ計算となる。此処で注目するのは”魔王”のjobである。名称としてはヤバそうだが、内容を読むと案外まとも?な気もする。
魔王・・・魔法の道を究めた者に贈られるjob。魔族を統率する”魔王”は称号であり、こちらは職業である点に注意。
魔法適正に補正あり。CPを倍にする固有能力を有する特殊なjob。だが、このjobを入手する時には無用のものになっているだろう・・・・・・。
あれ?説明文におかしなところが・・・・・・
無用のものどころか、かなり有用なユニークスキルに思えるが・・・。じっくり調べてみると、入手が困難になる条件があった。
それは、『無詠唱・同時発動』とあった。最初から両方使ってました(汗)クランドールからイメージが大切と言われてそっちを重視したせいか?
原因がはっきりしない。クランドールに確認しよう。俺はクランドールの元に向かった。
クランドールは難しい顔で唸っている。話が難航したのか、または亡くなっていたのか・・前者がいいな。
「クランドール、どんな感じだ?姫たちはまだ話が進んでいないようだ」
こちらを向いたクランドールの顔は”親とはぐれた子供”になっていた。どうやら前者のようだ。
「思った以上に説得が難航してな・・・。何度となく説明しても『私のせいで娘どころか、姫様方にご迷惑をかける訳には参りません』の一点張りで、話がほとんど進まんのだ」
「自分が”神”だと言ったのか?」そうクオンが問うと、「言えるはずがない」とバカなことを言った。
「なにアホなこと言ってんだ?それこそが”メイド長”攻略の鍵なんだぞ!」
クランドールを怒った俺は悪くないと思う。寝言は寝て言え!!そう言いたい。
「俺が話すからクランドールは繋いでくれるか?」
頷いたクランドールに夢の御告げ使ってもらい、メイド長と対面する。
:メイド長side
先程来られたクランドール様には悪いですが、私を助けるために敵地に赴くなど・・私には我慢なりません。
「また来られたのでしょうか。何度説得されても、受け入れる訳にはいきません。私に埋められたら発信機のせいで、姫様の居場所がバレてしまいます。
それだけは、防がなくては・・・・・・」
「あんたはそんな考えで拒否ってたのか?くだらないぞ?」
そんな暴言を吐いて、私の前に表れたのは娘くらいの子供です。そのような言葉使いはいけません!
言葉使いを注意しようとしたら、目の前の子供はこう言いました。
「あんたのその考え方のせいで、あんたの娘のココは今この世界で奉られる”神”を『無駄で不要な消滅するべき存在』と言いきり、一柱の神を精神的に追い詰めているんだぞ?」
娘に限ってそのようなことは”ない”です!両親に似て神を信じ、毎日を慎ましやかに生きています!!そう返答をしようとしたら・・・
「あんたたちはそうだっただろうが、考えたことはあるのか?
いつも”祈り崇める”存在が、両親を守らず死んだと思えばどうだ?逆に”どれ程神に祈っても娘が死んでも”神に感謝できるのか?」
その言葉に私は言葉を失いました。ココは今、私も死んでしまったと思って混乱してしまっているのでしょう。あの方の言う通り、大切な人が死んでも”神”に感謝する人はいません。
「あんたの考えで、人の可能性を縛るのは”相手に対する冒涜”でしかないぞ?」
どこまでも、不遜な物言いに簡単に諦めかけていた明日に、しがみつき生きたくなります。
「しかし、どうやって私を助けるのです?ここは敵の陣地のど真ん中です」
「今から現実に戻すから、騒ぐんじゃないぞ?」
俺はそう言ってクランドールに通信を終わってもらった。
「随分と”アク”の強い言い方ではないか?」
そう話しかけてきたクランドールに「死ぬ気の人間に下手に出るだけ無駄」と俺は返事した。
「さて、メイド長を救いに行こうか。・・・・・・ついでに、敵は滅ぼすか・・・(笑)」
そう呟いたクオンにクランドールは、寒気を感じたのは神の為の秘密である。
◆敵の陣地
ココの母親の近くにテレポートしてもらう。見た目なのだろうが、10歳の娘がいるようには見えない。
これがエルフなのか!(違います)と思わされた。若いんだぜ。しかも美人。
「あんたがここの母親でいいか?」
「はい。ミネットと申します」
「俺はクオン、後ろの男はクランドールだ。よろしくな」
俺たちは簡単な自己紹介をする。確認をしようか。
「ミネット氏は先程の話しを聞いた上で、どうするんだ?自分の死により娘の人生を狂わせ・・・・・・」
俺が逃げを許さぬ言葉で判断を迫ろうとしたら、ミネットはいきなりDOGEZAしてきた。
「自分勝手なのは十分理解しています!しかしあの様なことを言われてしまっては、これ以上私の我が儘を通すことは出来ません!」
そんな言葉はさて置き、この世界に土下座があったことの方が以外だった。だってさ、綺麗で見とれそうな土下座なんだぜ?
「そうか・・なら先に調べ物からにするか」
俺はそう言って、ミネットの頭に手を置いた。そしてクランドールに貰った”魔眼”のスキルと医療系魔法の”完全精密検査魔法”を発動する。オールスキャンの魔法とは、触れている対象の生体における”肉体的な異常”を見つける魔法である。
そこにクランドールからの”魔眼”の能力の一つの”ステータスチェック”と情報の共有を行うと・・・あら不思議?こうなりました。
ミネット LV20
種族:エルフ 18歳
job:メイドLVMAX メイド長LV2
性別:女 処女
恋愛経験:未
家族:妹ココ
MP 200
STR 66(Fー) (job補正なし60)
VIT 55(Fー) (job補正なし50)
INT 135(F) (job補正なし90)
AGL 105(F) (job補正なし70)
身体異常:魔導式追跡器・改・・・対象の魔力を搾取して受信機に位置を送信する。(心臓付近に在るため除去は不可能)
と出た。追跡器が付いているのか・・利用させて貰うべきか?そう悩んでしまうクオンであった。
「発信器が付いているのか・・・クランドール、コレがどこに情報を送っているのか分からないか?」
神の権力を借りることにした。発信器は利用できるなら利用したいが、発信器が原因で自身を見捨てた言動を取っていた理由になるのであろう。
「ふむ、帝都?のようだな。あと取り外すことは可能だな。どうする?取り外すか?」
クランドールの言葉にミネットは、驚きの顔で食いついた。
「本当ですか?可能でしたらお願いいたします!」
えらく反応がいいですな。やはり発信器が、自暴自棄になっていた一番の理由だったのだろう。
実際に、同年代の少女が命を散らすのは気持ちいいものではない。
「それで、ミネット氏はココと再開した後はどのような行動を予定しているのかな?」
俺の言葉にミネットは、「姫様と共に行動します」とキッパリ言っていた。明るい顔になったのは、心にゆとりと安心感が現れたと俺は感じた。ただ、現時点で”姫様は姫様”ではなくなってしまうのは理解しているのだろうか?
「・・・・・・・・・ふう。何とか除去に成功したぞ。して発信器はどうする?」
「それは俺の方で利用するから受けとる。帝都?まではダンジョンからどのくらいの距離があるんだ?」
「そうだな・・・大体800kmくらいか?最低距離で・・・」
「10km/時の移動で一日8時間としたら、10日くらいかかるって感じかな。」
この言葉を聞いたミネットは、クオンの知識に驚きを隠せなかった。
「ふむ・・・やはり王宮関係者でも、教養は低いものなのか?」
「貴方様は何者なのでしょうか?」
「それは・・・ここの敵陣を滅ぼして、ダンジョンに帰ってから話す」
クオンはそれだけ言うと、呪文の詠唱を始めた。
『天高く駆けるは風天の理 祖は全てを見つめ照らす 天を満たす軌跡の光 地に溢れる邪を滅ぼす』
俺の身体から今までで一番多くの魔力が、急速に抜けていく。急激になくなる魔力に、怠い脱力感いや倦怠感?が俺の体を襲う。
『祖が威をもちて地に痕を刻まん!! ”天の落槌”』
俺の詠唱が終わり、呪文を唱えると範囲から外した敵地を”光の柱”が蹂躙する。外からはDoooN!!とか大きな音が鳴り響いている。ちなみに今回使ったエヴァ・レイは俺の独自魔法になる。作れるとは思わなかったし、発動するとも思ってなかった。
「さてと・・ほとんど終わったかな?」
「本当に、遠慮ないのお主は・・・・・・」
発動が終わったので、テントの外に出た時にクランドールが言った言葉だ。心外だがあんたらのお願いのはずだが・・・?クオンは手を叩き払いながら、テントの外に出る。
死屍累々・・・そこには命あるものはいなかった。焦げ臭い臭いもない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ミネットは開いた口が塞がらない。魔法の威力に関しても、それを平然と行うクオンに対しても。
あれほど、絶望を与えてきた敵軍の”姿が全くない”ことに恐怖を覚えた。姫様たちは無事なのだろうか?そんな言葉が口から出そうになったが、何とか抑えることに成功した。
ちなみにクオンの心中は「やべぇ!!やっちまったか!?」と焦っていたのは本人だけの秘密である。
「さて、ダンジョン《拠点》に帰るとするか?」
「そうだな、頼んだ」
クオンはココの母親のミネットを救い、ダンジョンに戻るのであった。ココが色々とおかしなことになったのは、本人のためになかったことにしたのは”言わぬが仏”というものだろうか?
ココの雄叫びは無用の長物?それよりクオンのステータスが凄いことに。
能力値的にはクオン無双出来そうな?
次回の更新は2月10日になります。
誤字・脱字連絡お願いいたします。