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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第三章 ダンジョンと少女たち
22/39

2話 楽しい?魔力講座

 少しづつ投稿部分の改稿を行っています。

 少しでも読みやすくなっていれば嬉しいです。

 ティナの作業が終わりクランドールの様子を見たら、いじけていた。再度言おう。


 150億歳越えの(いい年をした)闇の神が部屋の角でいじけて(・ ・ ・ ・ ・)いた。


 その周囲は漆黒の靄(やばいモノ)が纏わり付いている。いじけっぷりがハンパなかった・・・・・・。闇の神の威厳・・いや”怨念の塊(・ ・ ・ ・)”としての威圧感がかなり凄く、声をかけにくい。


 「さて、新しい種族になったがティナは何か異変を感じたりするか?」


 「問題ないと御返事したいですが、この体だとモノに触れ(・ ・ ・ ・ ・)ないですね(・ ・ ・ ・ ・)?」


 幽霊体(ゴースト)であるその体は、物理現象は(・ ・ ・ ・ ・)起こせない(・ ・ ・ ・ ・)。だがその辺はクオンに考えがある。


 「ティナに最初に認識して欲しいのは”幽霊体(・ ・ ・)=魔力体(・ ・ ・ ・ ・)”であることをきちんと理解して欲しい。魔力体は魔力の塊(・ ・ ・ ・)であり、世界には(・ ・ ・ ・)魔力が(・ ・ ・)満ちている(・ ・ ・ ・ ・)


 感じられないか?と語りかけるクオンの瞳に、ティナは目を閉じ”前世(むかし)に家庭教師に教わったこと”を思い出しながら<魔力感知>を行った。


 [ティナ <魔力感知> を習得]


 そうクオンの脳裏に言葉が聞こえた。クオンは心の中で「ゲームじゃねえけど」と思っていた。


 「魔力を感じられると”世界は魔力で充ちている”のが感覚的に理解出来るはずだ」


 ティナは閉じていた目を開けクオンを見て頷いた。


 「これは、俺が信頼する奴に教えることで秘密だぞ?」


 悪戯を考えた子供のような笑みに見惚れてしまったティナである。ほのかに朱くなった頬を少し恥ずかしそうにして頷いている。


 「さて講義を始めようか・・・。まず前提として”世界は(・ ・ ・)二つの源素(・ ・ ・ ・ ・)で成り立つ(・ ・ ・ ・ ・)”のを覚えておいて欲しい。

 それは『万能源素(エーテル)』と『魔力源素(マナ)』だ。

 きっと疑問に思うだろうが、『万能源素(エーテル)』がその名の通り『幾万の性能(・ ・ ・ ・ ・)』を持っている。このことは俺が”偶然”発見した。知っているのは”俺””クランドール(闇の神)””ティナ”の三人だ」


 「四大・二極はどの様になっているのですか?」


 「良い質問だ。ただ俺も全てを知っているわけではないので、推測になるが聞いてくれ。

 ”属性とは(・ ・ ・ ・)後付け(・ ・ ・)”であると俺は考えている。”後付け”言ったがこの場合は”付与(・ ・)”と言うのが正しいかも知れない」


 この時点で”万能源素(エーテル)”に関しては考え内容にしている。それはあまりにも”無茶苦茶(・ ・ ・ ・)な存在(・ ・ ・)”だからだ。俺の考えでは到底真実にはたどり着けないだろう・・・・・・。


 「それでは元々世界には”属性の概念(・ ・ ・ ・ ・)”は無かったと言うことなのですか?」


 「そうだな・・・現時点ではそうだろう。幸いにも俺たち・・・ティナ(・ ・ ・)リリィ(・ ・ ・)にも時間はある。納得いくまで調べてみるのもいいかもな」


 「”時間がある”とはどういう意味ですか?」


 「ああ、まだ説明してないが・・・俺の眷属には俺と同じ『不老長寿(・ ・ ・ ・)』の”神権能力(レジェンドスキル)”が与えられるんだ。残念ながら俺は死ぬまでこの外見(なり)だがな・・・」


 寝耳に水である。ティナは肉体を手に入れてもせいぜい数十年の寿命くらいだと思っていたからだ。実際の所、天使どころか神さえも寿命があるのだから・・・・・・。


 「『寿命がない』ことが苦痛にならないのでしょうか?」


 当然の帰結である。ただクオンが言ったのは『不老長寿(・ ・ ・ ・)』であって『不老不死(・ ・ ・ ・)』ではない。


 「”不老”であっても”死ぬ”からな?”不死”は基本的に”不死族(アンデット)”しかいないからな?」


 「アンデットは”死んで(・ ・ ・)”いますよね?」


 「そうだ。”死んだモノ(・ ・ ・ ・ ・)を殺せるか(・ ・ ・ ・ ・)?”答えは”不可能(・ ・ ・)”だ。アンデットはの対処は”殺す”や”壊す”ではなく”消滅させる(・ ・ ・ ・ ・)”だろ?」


 クオンの言っていることはこの世界(ヴェラリース)における対処or退治法になる。それを聞いたティナは頷いた。


 「だから、簡単に言うと”殺されない限りは死ぬことはない”ということだ」


 俺の説明を聞いていたティナは理解できたようだ。ただ現状のティナ自身が”不死属性(・ ・ ・ ・)”を持っていることは秘密だが・・・。


 「話を戻すがいいかな?先ほども言ったように、世界は”エーテル”と”マナ”で構成されている。そして、ティナの魔力体(カラダ)は魔力の塊である。

 ここまで言えばある程度感づくと思うが、”魔力は魔力で干渉出来る”と言うことになる。まずは<魔力感知>でマナの流れを感じ、流れを意識することで少しづつだがマナの操作方法が分かるはずだ。マナの流れをコントロールする術を身に付ければ<魔力操作>のスキルの獲得になる」


 「しかしその様に簡単に身に付くものではないと思うのですが・・・」


 「ティナの生きていたフェブリーズは様々な技術や知識が失われているんだ。俺の考えでは順を追って覚えていけば十歳の子供でも覚えられるとおもうんだ」


 クオンは”スキル=知識と技術の融合”が起きた結果だと考えている。このことに関しては”卵が先か、鶏が先か”の不毛な議論と同じ『どちらでも問題ない』ことだと思っている。


 「今から俺はティナの手を『握る』から、握られた部分を<魔力感知>で感じてみるんだ」


 そう言うとクオンはティナ手を握った(・ ・ ・)。驚くことに握られた感覚と、今まで感じなかった”人の温もり”を感じたティナの心は少しずつ温かくなっていく。


 「感じているようだな。スキル<魔力操作>の効果と付加作用に・・・・・・」


 ティナが見たクオンの顔は”悪戯に成功した子供”も顔で笑っていた。この状態のクオンを見ていたら、ティナとクオンが同い年と知ったときどの様な反応をするのだろうか?


 「はい・・・ですが、なぜ<魔力操作>で相手の温もりが伝わるのですか?」


 「先ほどの講義で”ヴェラリースの全ては『エーテル』と『マナ』で成り立っている”と言っただろ?それは無論”生物”にも当てはまるんだ」


 「え・・・ではモンスターもですか?」


 「その通りだ。ちなみに”魔法”も当てはまる」


 ティナはクオン()と出会ってから幾度となく驚かされ、”常識”と思っていたモノが崩壊する感覚に襲われた。


 「ティナの中にも”常識”があると思うが”常識とは無知が納得する言い訳(・ ・ ・)”だと俺は考える訳だ。現に俺が言っているのは”常識”ではなく”真実”に近いものだからな」


 常識とは”人々の共通認識”でないだろうか。クオンの言っていることに驚く理由はこの”共通認識のレベル低下”が原因ではないのだろうか?確かに『万能源素(エーテル)』に関しては”世界創世以来”知られていない。しかし”スキル”に関しては違うだろう。どちらの世界でも今までは”栄枯盛衰(・ ・ ・ ・)”・・・文明の成り立ちによる”繁栄と滅び”を繰り返してきていた。だからその時点で各文明の生み出した技術や知識が途絶えたとしても仕方ない。


 「ティナが信じられないことや、全く知らないことが多く混乱するかもしれないが少しづつ慣れてくれ」


 「は・・はい!努力いたします!!」


 「肩肘張らずに気楽にいこうぜ?」


 クオンはティナの頭を撫でると講義を再開した。


 「もう少し<魔力操作>に関して俺が知っていることを話そう。

 何度も言うが、マナは”世界の成り立ちから密接な関係がある”・・・そのことは理解したと思う。この世界(ヴェラリース)心霊現象(ポルターガイスト)があるかはわからないが、それはある意味で<魔力操作>が関わっていると思う」


 「ポルターガイストですか?どの様なモノなのでしょうか?」


 「う~ん・・・”物理現象の伴わない現象”とでも言うのかな?こんな感じ・・・・・・」


 そう言うと俺はスキル<魔力操作>を発動させた。実際に体験してもらう予定で準備していた”魔鉱”を<魔力操作>で浮かした。


 「パッとみて”物理現象()”で持ってないでしょ?」


 「はい・・・何もない空間に浮いて(・ ・ ・)ます。ですが<魔力感知>で分かってしまうのじゃないですか?」


 「よく気付いたね!その通りだよ!スキル<魔力感知>で感じることが出来る。しかし考えて欲しい、無人の部屋で今の状況が起きたら?<魔力感知>と言うスキルと知識がなかったら?どうなると思う?」


 俺の言葉に何か感じることが在ったのか驚いている。


 「分かりました!『無虚現象(フラフィック)』ですね!」


 「なんだそれ?」と思い詳しく聞いてみると”内容は同じ”だった。その”フラフィック”は廃墟となった教会や城など人がよく集まる場所や戦場跡で起こりやすいらしい。逆にその様なモノがあったので説明が簡単に済んで助かった。


 「成る程ね・・・それなら話は早い。ティナがまず最初に覚えるのは<魔力操作>で行う”物を持つ”と言う作業になる。別に今俺がした様なことを行えとは言わない・・・現時点では。

 今日中に覚えるのは<魔力操作>を使い幽霊体(ゴースト)の”手”で物を持つことだ。『触れる』と言う分かり易い動作が加わるからかなり楽だと思う」


 俺じゃそう言ってティナの目の前に”魔鉱”を置いた。その魔鉱の大きさは野球ボールより少し小さいくらいのサイズだ。


 「これは何ですか?」


 魔鉱を指差しながら聞いてきた。


 「魔鉱だが聞いたことはないか?確か正式名称は・・・『魔力感応鉱物』で良かったと思う」


 「これが噂に聞いた”魔鉱”ですか・・・」


 「<魔力感知>を使ってみろ」感心していたティナにそう指示した。俺の指示通りに<魔力感知>を使用したティナは驚いていた。


 「何なのですか!?この”魔鉱”と言う鉱物は!!?」


 「気付いたようだな。それがフェブリーズでも”魔鉱製品”が一流のステータス立った理由だ。魔鉱はその鉱物自体に”大量の魔力を含んでいる”事が魔鉱の条件になる。ティナの<魔力感知>がもっと繊細になれば”魔鉱が呼吸している”のが分かる様になるはずだ。呼吸と言っても”マナの吸収と解放”だけどな・・・・・・」


 このラグドリーズの賢人でもこれほどのことは知らない。より正確に言うなら”知ろうとしない”のであるが・・・。


 「最初に魔鉱内のマナを感じ、それを表面に持ってくる。その作業をしている時点で”自身の手にマナが集まって”いるはずだ。

 その次は”手と魔鉱の間に()で繋がっている”イメージだ。この技法もスキル<魔力糸>で覚えておけば自衛手段として使える」


 クオンの指示通りに自身の魔力を糸状になるようにイメージするがなかなか上手くいかない。何度も苦戦しながらも挑戦する。クオン自身は焦らせる気はない。


 「かなり難易度の高いことだ・・・焦らなくていいぞ?ここら辺で一度ティナの手を握るから<魔力感知>と<魔力操作>を使って感じてくれ」


 クオンの言葉に頷いたティナ。彼女の手より小さな手が重なる。クオンはゆっくりとした速度で<魔力操作>を行っていく。

 実はこの訓練はティナがスムーズに発動できるまで彼女の苦難は続くのであった。

 お読みいただき有り難うございます。

 次回の更新は4月20日を予定しています。

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