プロローグ2 共通部
説明の中で、他の作品と似通ったものがあったり、独自のものがあります。
紛らわしくてすみません。
4月10日 本文の改稿・修正をしました。
無言でアテンドールを見つめる二人。
無言の空気が少し痛い。
「で?特典の内容は?」
永久の言葉で凍りついた時間が動き出した。
アテンドールは一つ咳払いをすると、何のなかったかのように話し出した。
「ワシらから与えられる特典は、”不老長寿”何千年かかるか分からんからな。
とりあえず年老いて死ぬことはない。
普通に死ぬので”不死”と勘違いせぬようにな?」
「今のまま不老長寿になるのか?怪しいってレベルじゃないぞ?」
久遠の問いに答えたのは、クランドールである。
「その為に種族を”人”から”高位精霊族”に変更したいと思う。
外見・年と多少は変更できるが、性別だけはそのままで頼みたい」
「管理するだけじゃない?」
永久はクランドールに問いかける。
「先程の説明でも言ったが、両方の世界で人口が減っておる。
お主たちには悪いが、向こうでは多くの子をなしてほしい」
「その為に必要と思うものはワシから渡そう。感動ものだぞ」
アテンドールが何かくれるらしい。
何故か不安が久遠を襲った。永久も同じらしい。
「まず、先程も言った”不老長寿”に”身体能力上昇”・”LVアップ時ステータス上昇補正”・"獲得経験値・増"・"必要経験値・減"・”絶倫"・"好感度補正"を標準装備しよう」
ヤナ予感は当たった。『ハーレム乙』じゃねえ!
「少々もの足りんかもしれんが許して・・・『ガシィッ!Σ( ̄□ ̄;)!』」
久遠は遠慮うなくアテンドールの頭にアイアンクローを噛ました。
ミシィ!ミシィ!!と音が聞こえそうだ。
「この世界の均衡のために、アテンドールの再教育が要るんじゃないかい?」
慌てたクランドールは、なんの行動も起こせていなかった。
ただその場であわあわしていただけだ。
「久遠、アテンドールを離して。
何の為に必要かは言われずとも分かっているのだろ?」
それは・・・言われずとも理解をしている。ただの八つ当たりだ。そう八つ当たりだ。(重要なことなので2回言う)
「大丈夫だ。峰打ちだ。(アイアンクローに刃も峰もないです。)
その言葉の裏には『血を引く子供のステータスを上げる』とかの補正を隠しているのだろう?
俺たち二人だと何千年かけても無理だろうからな・・・」
実際、アテンドールら神の計算でも個人では現状維持がいいところで、改善にはほど遠いのは分かっていた。
けどいくつか確認しないといけないこともある。
「基本的に能力値の遺伝はどうなるんだ?
半分の数値か、%かでかなり無理が出そうな気がするが・・・」
「この世界では一律1%になる。
産まれた赤子は両親の1%を足した数値だ。お主らも例外でなくその制約からは外せなかった」
平均値次第ではある程度の数値になるまでに、かなりの時間がかかりそうだ。
さらに気になる事がある。
「それだと、母親の能力値が低いと恐ろしいくらいに絶望的だ!千より万単位になる。
その辺は考えがあるんだよな?」
「あるある!!だから放して!!」
最早、神としての威厳はなかった。(>_<)
「そこで役立つのが”レベルアップ時ステータス上昇補正”だ!
このスキルは固有能力のさらに上の能力で、本人は当然のことに、パーティーメンバーにも補正がかかる。それで対象の女性のステータスを上げればよい」
それは上々だが、その程度で変わるとは思えない。
「能力の種類とか聞きたいけど、ステータスとかを数値化出来るのか?」
この問いにはクランドールが答えてくれた。
「完全な数値化は出来てない・・・より正確に言うと、体調によって上下するし、感情にも左右され揺れ幅が酷いのだ。
それ故に、数値は大まかなランクで別れておる」
クランドールの話しによると、F-~A+の15段階表記で表されるらしい。
これは世界を創造神により更新されたらしい。
最低のF-で10程度の数値で、基本産まれたばかりの赤ちゃんらしい。
100を越えるとFクラスになる。最高値A+で1700近い数値になる。
とは言っても各クラスの最低数値なので、クラスは目安にしかならない。
「単刀直入に確認するが、両世界の劣勢種の平均レベルと平均数値はどのくらいなんだ?」
久遠の言葉に少し怯んだようだが、クランドールは答えてくれた。
「主に、LV15~20の範囲がほとんどになる。
クラス的にはE-~Eで、300~400の数値になる。
現在の生き残りで、最高LV200位になる。クラスはもちろんA+にはなる」
「LVの上限はどのくらいになるんだ?あと、数値も」
「上限は創造神に聞かんとわからんが、4桁はあるのじゃないかと思っている。
数値の方も同じで、千万・8桁くらいは軽くあるんじゃないかと思っておる」
実際のところはどのくらいなのかは分からないようだ。
ただそれでも、大まかな数値が分かっただけでも儲けものだ。
「俺たちは、どうなるんだ?」
「詳しいことは、向こうに行かないと言い切れない。
だが異世界転移を行うので、称号に"異世界人"が付くのでそれの補正がかかることのよる、数値上昇が発生するはずだ。
最低でも2倍、下手をすれば数倍の補正がかかるかもしれん」
クランドールの言葉に二人は頷いた。それだけでも十分だ。
そうなると、先程の能力が気になる。
「先程言っていた固有や、称号について詳しく聞きたい。
固有って言う能力がある以上、鏡面世界に生きる"全ての生命体もしくは、知的生命体"は固有能力を持つって認識でいいのか?」
久遠の言葉にクランドールは、ゆっくりと頷いた。
「少し訂正する部分があるが概ねその通りだ。
この鏡面世界に在るもの全てに、実のところは有る。
それを知るのはワシら神のみだ」
二人はその言葉に驚いた。
「そんなことを教えていいのか?秘匿事項だろ?」
「言い方は変かもしれんが、お主たちにワシら神が頼む以上必要なことだと判断した。
それに言わずとも、お主らは自身の経験から理解しそうだからな」
クランドールはそんなことを言ってのけた。
「否定・・・出来ないな・・・・・・」
ぽつりと呟いた永久の言葉は果たして2神に届くのだろうか?
「久遠の質問に答えると能力は、大まかに2種類に分かれる。
知っているだろうが、自発型能力と自動型能力の2つだ。
意識して使うOr無意識下で使うかだ。アテンドールの挙げたものは全て自発的能力になる。それ故に、任意での発動は不可能に近い」
クランドールの言葉に疑問を感じた。
「不可能ではなく、不可能に近いとはどういうことだ?」
それに素早く気付いたのは永久だった。
「気づいたか。理由は簡単だ。
称号により発動する能力がある。
有名なのは英雄と魔王だな。効果は"威圧"だ」
「両方とも同じものと思ってもらって構わない。ただ人が崇拝する対象か、魔族が崇拝する対象かの違いだ」
クランドールの言葉に、アテンドールが補足を加えた。
「内容は"崇拝"が自動型能力で、"威圧"が自発型能力と言うことか?」
永久の確認にアテンドールが頷き詳細を語る。
「能力は、幾つかのランクがある。
一番多い"能力"、能力の進化系"特化能力"、稀少性の高い"固有能力"、最後は圧倒的に少数で最も強力な"神権能力"の4区分になる。」
永久はうんうん頷いている。
「"神権能力"に当たるのが、不老長寿、LVアップ時ステータスアップ、獲得経験値・増、必要経験値・減、好感度補正になる。
”特化能力”には残りの、身体能力上昇、絶倫になる」
久遠は『そうなるか』と内心思った。ただ、固有能力が一つもないことが少し気になった。
「固有能力を俺たちは持たないのか?」
「ラグドリーズに行ってもらう者には、固有能力の”迷宮創造”を筆頭に”魔物創造”・”悪魔召喚”・”魔物融合”などを受け取って貰おうと思う」
クランドールがそう言った。
「フェブリーズに行く者には、固有能力は”鑑定”・”自動地図作成”・”技術獲得率上昇”・”迷宮帰還”数が少なくて申し訳ないがこれが限界になる」
アテンドールは申し訳なさそうにしている。
恐らくこれでも、かなりのチートになると思う。
「気にしないでくれ。そう言ってもチートだから。
それの他の能力は貰えるのか?」
マイペースな永久には、かなり些細なことらしい。
アテンドールは、
「あまり多い能力はトラブルの元になる。
主に、妬みの方向でな・・・。ワシらの与えるもの以外は、ポイントの引き換えにしてみよう。」
と言った。正論であるため二人には文句などない。
「引き換えで・・・ってことは、能力以外にも使うってことか?」
「そうだ。ステータスの基礎値、初期所持品その辺りを含めてだ」
クランドールはそう言い、アテンドールは頷いている。
「ここから先は、向かう世界を決めてから話そう」
クランドールの言葉に、久遠はどうしても確認しなくてはならないことを思い出した。
「俺たちが話を受けて、鏡面世界に行ったらこの世界ではどんな扱いになるんだ?」
『そういえば!!』と言う顔の永久と、『神隠しは嫌だぞ』と言う久遠に対し、アテンドールはこう言った。
「安心できるかは分からんが、『最初から存在していなかった』ことになる。
お主たちの存在を知るのは、ワシたちとお主らのみだ」
「家族に心配をかけなくて済むなら安心だな」
そういう久遠の側で永久は決めたらしい。
「久遠。俺はフェブリーズに行って、冒険したい」
「わかった。俺はラグドリーズに行こう」
「「感謝するぞ!!お主たちの選択に!」」
2神には笑顔が浮かんでいる。
「永久はワシ、アテンドールが導こう!」
「久遠はワシ、クランドールが導こう!」
2神の言葉に、二人の意識は薄れていく。
「「元気でな!また、会おうぜ!!」」
そう、白無の空間に響いた。
プロローグはこれで終わります。
次話から、久遠・ダンジョンマスター編になります。
次回更新は、1月10日を予定しています。