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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第二章 永久冒険者になる。
18/39

7話 昼食とやっとでたよダンジョンの話し

 次回の更新で第2章も終わりになります。

 

 クリシア夫人の言葉から始まった食事会。

 かっこよく言ったが、詰まるところただの昼食だが。


 「それほどの犠牲者がいたのか・・・・・・(´・ω・`)」


 食事中に話すことではないと言ったのだが、ベルフォード氏に押し切られてしまいゴブリンの巣(地獄)の光景を話すことになってしまった。

 捕らわれた女性(犠牲者)のことを聞いたベルフォード氏の悲しみはなんと言えばよいのだろうか・・・・・・。


 「捕まっていたのは、20人ほどで”精神が崩壊していたのは過半数の15人”くらいだった。精神的に無事だった1人がエリスティナ嬢だ」


 クロードが息を飲んだのを感じながら・・・・・・


 「無事とは言っても、彼女を含め全員”死ぬこと”を選んだ。エリスティナ嬢に関しては、”ゴブリンキング(災厄の種)を宿されてしまった為に・・・それ以外の選択がなかった」


 俺はまた重い気持ちになる。直ぐには乗り越えられないと思っているが流石にキツい。

 今の所、悪夢に(うな)されることが無いのが救いだろう。この世界(ヴェラリーズ)に慣れ、気が抜けた時・・一気にクルのかもしれない。それまでに、少しでも前に進みたい。


 「俺の行動を"偽善(・ ・)"と言う冒険者は多いだろう。それでも、連れ帰った(そのこと)に後悔や恥じる気はない」


 実の所本人は心の中で思っているつもりだが、バッチリ言葉に出ている。それを聞いたクーリッシュ家(面々)は何やら感動しているようだ。


 「トワ、口から出ているぞ・・・・・・」


 クロードが呆れた口調で話しかけてきた。トワの表情は変わらないが、”やっちまったぜΣ( ̄□ ̄)!”である。時たまこの男はこんな事をする。


 「感心感心。トワ君の様な若者が増えてくれると良いんだがね(。・∀・。)ノ」


 相も変わらずテンションが高い。実はただ気付いたら(・ ・ ・ ・ ・)言っていた(・ ・ ・ ・ ・)のが正解だ。


 「昨日の今日で、親族の方は来れるのか?」


 「基本的に、"貴族の葬儀は3ヶ月後(・ ・ ・ ・)に行う"と貴族法(・ ・ ・)で国家から決められているんだ」


 俺の疑問に答えてれたのはクロードだった。


 「それは情報の伝達速度と、移動時間が関係するんだよな?」


 この世界の移動手段は基本的に徒歩か馬車(・ ・ ・ ・ ・)になる。極一部の王侯貴族が”転移陣のある設備”を持っているらしい。

 この国には王城にのみ設置されているが、コスト面で存亡の関わる危機以外は使わないらしい。


 「王都と辺境領だと馬車でも片道40日(・ ・ ・ ・ ・)くらい移動時間が必要なのだよ(;・д・)」


 片道40日とは恐れ入った。安全性や確実性を取るなら2ヶ月は余裕を持った方がいいようだ。

 今はまだランクが足りず受けられない依頼も、その内受けるようになるのだろう。その時に失敗しないように覚えておこうと心に決めた。


 「トワは今回の件(・ ・ ・ ・)も含め、”7級”になったんだよな?」


 「ああ。”緊急時の強制召集”のおまけ付きだがな・・・・・・」


 「話を聞く限りじゃ当然(・ ・)だろうね(ゝω・)

 聞くところじゃ生まれる前とはいえ”ゴブリン(・ ・ ・ ・)キング(・ ・ ・)を殺したのだろう?天災級のモンスターを殺した恩恵(・ ・)は伊達じゃないから、ギルドとしても捨て置け無いのさ(*ゝω・*)ノ

 クーリッシュ家(うち)としても欲しいくらいだしねヾ(o´∀`o)ノ」


 貴族としての本音までいわれた。普通の(・ ・ ・)冒険者(・ ・ ・)なら口から手が出るほどに好条件(・ ・ ・)だろう。俺としては、別にと言うかどうでも(・ ・ ・ ・)いいこと(・ ・ ・ ・)であり、行動の制限(・ ・ ・ ・ ・)の方が煩わしい。


 「他の冒険者なら飛びつくのだろうが、俺としては目的(・ ・)が有るから勘弁だな・・・・・・」


 キッパリと言うのは、トワの美点であろう。相手のことは考えていないけど・・・。


 「目的とはダンジョン(・ ・ ・ ・ ・)か?」


 「それも目的の一つ(・ ・ ・ ・ ・)になる。大まかな目的の一つとしては、各国を巡り(・ ・ ・ ・ ・)自分の目で世界を見ることだ・・・・・・そして何時か最高のメンバーで史に名を残すことだ」


 壮大に聞こえるだろうが、トワにとっては不可能ではない。アテンドール()からのチートは伊達ではない。


 「夢が大きいことは良いことだ(*´ω`*)

 しかし、貴族と仲良くなる方がやり易くないのかい?」


ベルフォート氏の言うことは理解しているが、それ以上のマイナスをトワは感じてしまっているのだ。人は善意で何かを行わない。必ず見返り(バック)を期待しているものだ。トワが自身の行動を偽善(・ ・)と言ったのにも、きちんとした理由(バック)だってあったのだ。

 "リスク&リターン"これが両者を取り持っている。ただトワの場合貴族からの(・ ・ ・ ・ ・)支援より(・ ・ ・ ・)貴族から(・ ・ ・ ・)求められる(・ ・ ・ ・ ・)対価の方が(・ ・ ・ ・ ・)多くなる(・ ・ ・ ・)のがトワ自身には分かるのだ。


 「個人として仲良くする分に対しては問題ない。ただ俺の場合、貴族側のリスクがかなり低くならないか?」


 「なるほど。トワは相手側が(・ ・ ・ ・)一方的に(・ ・ ・ ・)有利になる(・ ・ ・ ・ ・)のを危惧しているわけか・・・・・・」


 クロードのセリフは、トワの危惧していたことを言い当てた。最もトワ自身、貴族相手に(・ ・ ・ ・ ・)交渉する気(・ ・ ・ ・ ・)は最初から(・ ・ ・ ・ ・)ないのだ(・ ・ ・ ・)。だからこそこの事をハッキリと話しているわけだ。


 「ベル様にシア様、リリスティナ嬢に対して失礼だと思うが『貴族という交渉が得意(・ ・ ・ ・ ・)で腹黒さを(・ ・ ・ ・ ・)出さない(・ ・ ・ ・)人種(・ ・)』を信じるには俺は世間知らず過ぎる」


 このトワの言葉に爆笑が起きたのは必然か?爆笑したのはベルフォート氏である。


 「にゃハハハハh・・・・・・(≧▽≦)

 そんなことを”気にする(・ ・ ・ ・)トワ君を(・ ・ ・ ・)世間知らず(・ ・ ・ ・ ・)”とは言わないYoヾ(≧∇≦)」


 かなりツボにハマったらしい。お腹を抱きしめて笑っている。涙目になりながら、トワを見ている。

 クリシア夫人は「あらあら」と笑っている。本当に似た者夫婦だ。


 「よくそんなことを言えたね・・・・・・」


 苦笑しているクロードに対し、トワはハッキリと言い切った。


 「いくつか理由があるけど、一番の理由は”この家の衛兵や、街にいる一般兵では俺に危機感(・ ・ ・ ・ ・)を与え(・ ・ ・)られない(・ ・ ・ ・)”と言うのが理由だな(・ ・ ・ ・)


 ハッキリと”相手じゃ(・ ・ ・ ・)ない宣言(・ ・ ・ ・)?”をされてしまったクロードたち兵士。


 「”一般兵”と区切ったにはどうしてだ?」


 己の”武”に少なからず自信を持っている以上、トワの真意は知りたい。


 「現にクロードは”俺を(・ ・)殺せるか?(・ ・ ・ ・ ・)”」


 「何とも言えん・・・・・・」


 クロードはそう返されて返事に困ったが、トワに勝てるかは分からない。

 現在トワのLVは40を越え、オールアベレージ”A-”のステータスになる。アテンドール()のチートは既に”1級冒険者(・ ・ ・ ・ ・)”の高みにステータス上はトワを押し上げていた。

 現状のトワは、戦闘経験こそ乏しいが”恩恵(チート)”と元々持っていた”規格外さ(素質)”により、常人の数倍に及ぶ”戦感(・ ・)”を養ってきている。時間が経つほどトワは強くなる。


 「なるほど・・・それがトワ君の”強み(・ ・)”と言うわけだね(-ω-;)・・・それが本当なら(・ ・ ・ ・)恐いね(・ ・ ・)


 「別に最初から敵対はしないさ。現にクロードたち姉弟やクーリッシュ家の面々は”気に入って(・ ・ ・ ・ ・)いるんだ(・ ・ ・ ・)


 その言葉を聞いて一番安心したのはベルフォート氏であろう。出会い頭から”貴族(・ ・)”としてではなく、”家族(・ ・)を連れ帰ってくれた恩人”としてトワに接していたことが此処でプラスに働いていた。


 「確かにトワが問題に思うような貴族だっている。私もこの国に連なる者(・ ・ ・ ・)の一人だし、姉さんも同じだからな・・・・・・」


 クロードの言葉に”言いたいこと”があると感じ取れたが、経験上面倒事(・ ・ ・)だと感じ取れた。


 「トワ・・・もし、姉さんが”助けを(・ ・ ・)求めた時(・ ・ ・ ・)”は手を貸して貰うことは出来るのか?」


 その質問に正しい答えなどない。トワは少し考えてからこう答えた。


 「ハッキリ言って”状況次第(・ ・ ・ ・)”だな。モンスターの討伐くらいなら、すぐに返事して答えるが・・・それが”二人の実家(・ ・ ・ ・ ・)”が関わってきたら返答は難しいな」


 二人の実家・・・この国の”王族”が関わってくることになる。十年後なら簡単に答えられそうだが、現状では問題しかない。

 本音を言うなら『関わりたくない』であるが、リヴィエルナ嬢が心の底から助けを求めてきた時『断れる自信がない』のが厄介だ。


 

「今はその答えで満足だ。私たちの”血”故に姉さんを”国の為の政略結婚(イケイエ)”としなくてはいけない。それだけ”姉さんには(・ ・ ・ ・ ・)利用価値(・ ・ ・ ・)がある(・ ・ ・)”のさ」


 吐き気がするが”王家の常”である。国王とは”国を(・ ・)統べる王(・ ・ ・ ・)でありながら、国の奴隷(・ ・ ・ ・)”であるのが真実であり、国王は”王=奴隷(・ ・ ・ ・)”と言うのではないか・・・それがトワの考えになる。


 「特権階級(貴族)義務の一部(・ ・ ・ ・ ・)になるが、平民階層(君たち)には理解しがたいモノなのかもね・・・・・・(*´д`*)」


 「ベル様には悪いけど・・・『ハッキリ(・ ・ ・ ・)言って虫唾(・ ・ ・ ・ ・)が走る(・ ・ ・)』それ以外に言葉はないかな?」


 本当に不貞不貞しい態度である。本来なら護衛の兵士などが取り押さえるだろうが、トワに向かう様子はない。


 「トワが何かしているのか?」


 クロードが護衛士を指差す。衛士の顔色は悪い。


 「それか?”殺気(・ ・)”を放っている」


 淡々と語るトワに、寒気を感じたクロードである。しかし、自身は何も感じて(・ ・ ・ ・ ・)いないこと(・ ・ ・ ・ ・)を不思議に思った。


 「対象の区別くらいは、出来るだろ?」


 その言葉に恐ろしくなった。指向性のある(・ ・ ・ ・ ・)殺気(・ ・)を使う事など姉さんにも出来ない。リヴィエルナ嬢の強さは”近衛騎士(・ ・ ・ ・)”クラスの強さになる。この国の近衛騎士は少数精鋭(・ ・ ・ ・)を良しとしているので全員で100人しかいない。

 その100人の近衛騎士に次ぐ実力を持っているのだ。その姉ですら出来ないことを平然と行うトワの異常性(・ ・ ・)をまざまざと見せ付けられた。


 「トワが私たちのことを、気に入っていると言ってくれたことがこれ程の安堵になるとはな・・・・・・」


 「確かにね・・・トワ君の言葉が本当ならこれ以上に心強い(・ ・ ・)ことはないね」


 ベルフォート氏は大きく溜め息を吐いた。それほどまで、酷いことをしたのだろうか?


 「それほどのことか?」


 そうとしか言えなかった。本人に自覚は全くなかった。


 「トワはどれくらいのことをしたのか、理解していないのだな・・・・・・」


 呆れ顔でクロードに言われた。


 「この国でも極少数しか使えないらしいんだよ」


 ベルフォート氏の耳と尻尾はペタンとタレ下がっている。


 「まあそれは横に置いといて・・・・・・」


 「置かない・・・。彼らの拘束を解いてくれないか?」


 クロードの言葉に、忘れていたことを思い出した。トワは放っていた殺気を消した。

 護衛士の彼らは、『ゼイゼイ』と呼吸を乱していた。鍛練が足りないとは言わないでやって欲しい。


 「ダンジョンについて、幾つか話を聞かせてくれないか?」


 「ダンジョンの場所は”王都(ここ)”から、東に向かって3日の距離にある”カクスの町”のギルドが管理しているものがあるぞ。無論フィーレンにもあって。数は2コあり”一つ目は西に『2つの鐘半』の距離”にあるのと、”もう一つは南に『5つの鐘』の距離”にある」


 「ワシも知っているぞ(*ゝω・*)ノ

 『マリスの迷宮』と『カカルの遺跡』でよかったかな?

 『マリスの迷宮』は地下に潜るタイプで、『カカルの遺跡』は上下に移動するタイプだったかな?」


 ベルフォート氏が元気よく答えてくれた。


 「しかし、フィーレンのギルドが2つのダンジョンを管理していたのは好都合だな」


 「私の知っている範囲だと、『マリスの迷宮』は地下30階まで攻略されてたと思う。

 『カカルの遺跡』はここ数ヵ月で発見された新造のダンジョンと言える」


 クロードの話によると、ダンジョンのタイプはいくつかの種類に別れているらしい。

 『マリスの迷宮』のような”深層型”、『カカルの遺跡』のような”建造物型”、横に広がる”平面広域(メイズ)型”、塔のように上る”登塔(タワー)型”以外のダンジョンも存在するらしい。


 「結構ダンジョンのタイプがあるんだな。当分の間探索(潜る)のは、『マリスの迷宮』の方かな?」


 「”固定型(・ ・ ・)ダンジョン(・ ・ ・ ・ ・)”になるから、初心者には安心して探索出来るから人気は高いぞ。仕事中に聞いた話によると、各フロアに『小ボス』がいて、5フロア毎に『中ボス』、10フロア毎に『大ボス』が居るらしい。

 私も話で聞いただけだから、詳しいことはギルドに聞いて欲しい」


 「トワ君がダンジョンに潜って何かの”魔導器(・ ・ ・)”を見つけたら、持ってきてくれないか?

 ワシはこう見えても、”魔導器”には詳しい。トワ君が要らないものであったら買い取らせて欲しい。もちろん買い取り金額は”ギルド価格(・ ・ ・ ・ ・)”より高額買い取り(勉強)させて貰うから(≧▽≦)」


 「知っていると思うが、”魔導器”は『武器型』『防具型』『アクセサリー型』とあり、そのままの言い方だが『日用品型』の4種類に大別される。ただ魔導器自体、かなり希少な部類になるからあまり無理はしないでくれよ?」


 この日は、食事会とダンジョンの話で夜遅くまで話してしまった。

 実際にダンジョンに潜れるようになるのは、3日後になったのは仕方ないのかもしれない?

 お読みいただき有り難う御座います。

 誤字・脱字有りましたら連絡をお願いします。


 次回の更新は3月30日なります。

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