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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第二章 永久冒険者になる。
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4話 残された絆と緊急依頼?

 今回は、少し鬱展開?に感じる人がいるかもしれませんが、お許しください。


 4月30日 本文の改稿をしました。

 俺の話を聞いた4人の反応は、様々だ。

 クロードは、悔しそうな顔で拳を握っている。

 リヴィエルナ嬢は、涙をこらえ悲しみを出さぬように。

 受付嬢は、どう言えばよいのか悩んで。

 ガゼット(クマのおっさん)は、トワの異常性に頭を抱えている。


 簡単に言っても、混沌としている。原因の一端は、トワの出した大量のモンスター素材にある。


 「よくもまあ、こんなことを行ったものだ」


 色々と含んだ言葉であった。

 本来、初心者だと確実に『死んでいる』はずの状況えあるのだが、当のトワ(本人)は素知らぬ顔で素材共の中央で立っている。


 「最初はホーンラビットを、狩ろうとして”ユルイエの森”に向かったんだが・・・・・・」


 トワはそう言うが、現状からして信じるものはいない。ソロでこれ程の量を狩ろうとしたら、”6級(・ ・)”クラスの実力が必要になる。


 「お父さん・・彼の言葉は本当よ・・・信じられないけど」


 依頼の受付をした受付嬢ですら、トワが持ってきた素材(厄介)が信じきれない。200体もの量を4時間(2つの鐘)で狩ることになる、異常すぎる(・ ・ ・ ・ ・)状況が想像(・ ・ ・ ・ ・)出来ない(・ ・ ・ ・)


 「カードを見せて貰ったのに、この状況は受け入れられないね」


 クロードの言葉は、この場にいるトワ以外(・ ・ ・ ・)の心を代弁した。

 リヴィエルナ嬢は、「自分では、無理だろうな」と素直に思い、理不尽を感じた。


 「証拠があるのに、信じないとはいい根性だな・・このおっさんは・・・・・・。」


 トワは「ふぅ」と溜め息を付くが、それはこの状況に巻き込まれた4人の方だろう。


 「おっさん、おっさんと言うな!俺はまだ『38』だ」


 「十分おっさんだろ?いい加減に受け入れないと、”淋しく(・ ・ ・)”するぞ?

 そんなことより、この素材共は買い取ってくれるんだよな?」


 現金のほとんどないトワにとって、この依頼の褒賞金(・ ・ ・)と素材の売却額(・ ・ ・)が、暫くの間の生活費になるからだ。どのくらいの金額になるかは分からないが、一週間の生活費と必要品の購入分は欲しい。


 「そうですね。”ホーンラビットの討伐”だけでも、10回分になるので「10000リム」になります」


 取り出したモノは、現在はアイテムボックスの中に入れた。ボックス内の時間は”かなり(・ ・ ・)ゆっくり(・ ・ ・)”になる。トワのボックスは、アテンドールの特製で時間経過(・ ・ ・ ・)はない(・ ・ ・)。劣化しないことは、冒険者にとってとても大きなアドバンテージになるので知られてはいけない。


 「素材の解体は、どうなさいますか?解体の指導は、如何いたします?」


 「今日は無理だから、明日の昼くらいに頼む」


 時間的な面でも無理そうだが、状況的にも無理だろう。なにせ数が多い。


 「トワ・・・済まないが、例のもの(・ ・ ・ ・)を見せてくれないか?」


 「クロ坊”例のもの”って、何のことだ!?」


 「出す前に、悪いと思うがクロードとの関係(・ ・)を聞いてもいいか?話すべき”真実(こと)”もあるから・・・・・・」


 拳をきつく握り締めたまま、無理矢理深呼吸をクロードはした。


 「彼女は私の婚約者(・ ・ ・)だ・・・」


 悲しみを堪えながらも、教えてくれた。


 「すまん。配慮が足りなかった」


 予想はしていたが、落ち込むトワ。


 「おっさんは邪魔だから、暫く部屋から出て行ってくれ・・・むしろ残る気なら目を抉るぞ」


 「おい!なんn・・「お父さんは、出て行ってください!私が代わりに対応しますので!!」・・の・・・・・・わかった」


 受付嬢からも”出ていけ”と言われた、ギルドマスター(クマのおっさん)は肩をガックリと下げ「ギルドマスターなのに・・・」と呟きながら部屋を出て行った。


 「おっさんて、”空気読(・ ・ ・)まない(・ ・ ・)”人?」


 受付嬢に話かけると、「信じられないくらい、よくあります。」との返事が来た。色々最低な、おっさんである。


 「じゃあ出すぞ?気を強く持ってくれよ?」


 俺は深呼吸すると、アイテムボックスから彼女の遺体(・ ・ ・ ・ ・)を取り出した。服が破けて、所々から肌が見えている。暴行をされた(あと)と、口から血の泡(・ ・ ・)を吹いた後がある。


 「・・え・・・りー・・・・・・?」


 クロードは膝まずいて涙を、流している。かける言葉がない・・・。慰めはない。


 「二人とも・・大丈夫か?」


 「・・・・・・これ程のモノとは・・・思いませんでした」


 「エリー・・・・・・」


 リヴィエルナ嬢はあまりの状況に言葉がないらしい。この状態の姉弟に遺言(・ ・)を伝えるかどうかを、迷ってしまう。最悪、恨まれるだろう。甘んじるしかない。自分の甘さゆえに。


 「クロード、リヴィエルナ孃・・二人に話さなくてはならないことがある。落ち着いたら・・・聞いてほしい」


 そう言うと俺は、部屋の角に行って座り込んだ。彼女の手に自分の手を重ね、泣き続けるクロード。そんな弟の肩に手を置き背中で泣くリヴィエルナ孃。

 受付嬢は、俺の隣に座っている。姉弟より俺の状態の方が、悪く見えたのかもしれない。


 「俺は・・・残酷なことを、しているのかも知れないな・・・・・・」


 「私には、どうすればいいのかは分かりません。ですが、トワさんの行動は少しくらい、二人の心を前に歩ませるのではないでしょうか?」


 「俺自身、今回の行動に後悔はない。けど、恨まれるかもしれない」


 俺が泣きそうに思えたのか、俺の肩に頭を乗せた。ちょっとした重さと、温もりに体を覆っていたモノが軽くなった気がした。そっと彼女の頭を撫で、「ありがとう」と言った。



 どれ程経ったのか、二人は落ち着いたらしく、俺に向いた。彼女の真実(・ ・ ・ ・ ・)を話さないと。


 「説明する前に、これを聞いてほしい」


 俺が懐から取り出したのは、彼女の”ステータスカード”である。貴族用の特別製(・ ・ ・)らしい。


 『彼にこの言葉を託します・・・。

 クロード様、幼き頃よりのお約束を果たせず・・申し訳ありません。

 リヴィエルナ姉様、出会った頃より”実の妹”の様に可愛がっていただき、感謝致します』


 「「・・・・・・・・・」」


 二人とも、言葉なく聞いている。


 『この遺言を聞いている時、私はこの世にはおりません。お許し下さい。

 ”今の私”は、お二人様と私の命(・ ・ ・)を天秤にかけております。私が、自身の命を優先してしまえば、フィーレンの皆様の命が亡くなってしまいます。遺言を聞いている以上、この時点で私が生きていたことはわかるでしょう。

 私のお腹の中には”災厄の種(・ ・ ・ ・)”の命を宿されて(・ ・ ・ ・ )います』


 「・・・・・・」


 受付嬢の表情は、引き吊っている。災厄の意味が理解できてしまったのだろう。


 『トワ様よりは、「俺がなんとかしてやる!」と言われましたが、コレは世に出ては『悲劇(・ ・)』しか生みません。それに私は間違いなく、命を失うでしょう。クロード様がコレのせいで、命を懸けるのは私が(・ ・)許せ(・ ・)ません(・ ・ ・)

 聖人のようなことは、私には言えません。私だって・・・クロード様との未来を楽しみにしています。

 それ以上に、コレを世に出してしまっては、フィーレンは近い将来”滅んで(・ ・ ・)しまう(・ ・ ・)”でしょう』


 クロードも、リヴィエルナ孃も、顔色が悪い。後に続く言葉が分かったのだろう。


 『その”災厄の種”は伝承にある『ゴブリン(・ ・ ・ ・)キング(・ ・ ・)』です。コレが世に出てしまっては、フィーレンに災いが訪れ・・・男性は死(・ ・ ・ ・)女性は絶望(・ ・ ・ ・ ・)と悲劇(・ ・ ・)が起こってしまします。それは、”貴族の一員(・ ・ ・ ・ ・)”として避けなくてはいけません。

 私の一族が仕える”守護神・デニス様”に、顔向けが出来ません。自害すれば、トワ様に重荷を背負わせないですむのですが、信徒故に自害することは出来ません』


 守護神・デニスを崇める”デニス教”は、『戦いの内で死ぬのは”尊き精神”であり、自害は”恥じるべき”ことである』と教義にある。故に、彼女は俺に『介錯《・ ・》』を頼んだのだ。


 『最後に、トワ様を恨まないで下さい。私が愛したクロード様は、きっと受け入れて(分かって)頂けると思います。

 リヴィエルナ姉様、『一日でも早く、意中の殿方』を見つけてください。あの世で再開したとき、そのお話が出来るのを楽しみに待っております』


 クロードは俺の近くに来ると、俺の”服の襟”を握りしめ泣きながら言った。


 「・・・なんて言えばいいか分からんが、私ではエリーの魂を”救えない(・ ・ ・ ・)”のは確実だ。

 『ありがとう』でも生きていて貰いたかった・・・・・・」


 「私からも、妹分(エリー)の魂を守ってくれて感謝する」


 その言葉に俺はあの時(・ ・ ・)と同じ様に、涙を流した。地球(向こう)ではクオンと同様”天災(・ ・)”と呼ばれていたが、俺たちは感情のない人形ではなく、皆と同じ人(・ ・ ・ ・ ・)である。ただ、俺たちが皆とは違う考えを持ってしまうのは『天才(・ ・)』と言われる人種で、他の天才たちも当時話せば同じ考えを持っていた。

 地球(向こう)にはモンスターはいないが、『環境問題』で人類は絶滅に向かっていた。話がそれた。

 俺たちは断じて”強い人間(・ ・ ・ ・)じゃない(・ ・ ・ ・)”。他の人と違い『当時の天才たちは、感情すら(・ ・ ・ ・)理性で制御(・ ・ ・ ・ ・)してしま(・ ・ ・ ・)っていた(・ ・ ・ ・)』だけであり、そうならないといけないくらい『環境問題』は深刻だった。


 流す涙な俺を苦しめていた”罪悪感(・ ・ ・)”を溶かしていく気がした。


 「悪い・・・取り乱した・・・」


 俺は彼女のカードを渡そうか少し悩んだが、今日ではなく明日彼女の家族に一緒に渡そうかと考えて二人に話した。


 「明日、彼女と一緒に家族(・ ・)も元に帰そうと思うんだが、クロードたちはその事をどう判断する?」


 「私の方は問題ない。エリーの家族への連絡は姉さんに任せて、明日の準備の為にギルドマスター《ガゼットさん》に話を通した方がいいんじゃないかな?」


 「そうですね。ギルド側としても、伯爵家(・ ・ ・)の御令嬢の最後になるのである程度(・ ・ ・ ・)しっかりと手配させていただいた方が、ご家族と言っても見栄(プライド)もありますので`ギルド《こちら》側としても安心できます。

 貴族の方を蔑ろにして、それが善いことであっても”恨まれる”ことになってしまうのは、私としても避けた方がいいと判断致します」


 受付嬢の表情は、とても真剣だ。俺としては依存はない。避けようとした”厄介(・ ・)”を、わざと招くようなことはしたくない。


 「リヴィエルナ孃、彼女の両親への説明は宜しく頼む。俺は、クロードと受付嬢(+おっさん)で明日の準備を行っていこうと思う。クロードはそれで問題ないか?」


 「そうしてもらえると・・ありがたい。婚約者(・ ・ ・)として、最後くらい華やかに送ってやりたい」


 「私はエリーの両親に説明したのち、父上たちにも説明に行ってくる。

 終わったとき時間に余裕があれば、一度こちらに顔を見せに来る」


 やはり、リヴィエルナ孃は騎士をしている以上、こういったことは経験があるのだろう。


 「トワさん・・・・・・わたし・・・・・・・」


 受付嬢が何か言っているようだが、それを(・ ・ ・)気にしている余裕がない。生まれて初めて、葬儀の作業に加わるのだ。

 やることは沢山ある。まずは、ギルドマスター(おっさん)に説明して協力を仰がなくてはいけない。


 



 おっさんへの説明に思った以上に、手間取り時間が予想以上にかかった。このおっさんの空気の読まなさと、いじけていたことで余計に腹がたった。


 緊急依頼的なもので、『ハルティナの花』を朝イチでクロードと町中の花屋から集めるように言われた。

 明日は朝イチから、忙しくなりそうだ。

 今回の話は、この様な形になりました。

 受け入れられるものか、少し心配しています。


 誤字・脱字ありましたら連絡お願いします。

 次回の更新は、3月15日の予定です。

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