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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
第一章 久遠ダンジョンマスターになる
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7話メイド母娘の再会とクオンの考え

 初めて評価をいただきました。

 評価ありがとうございます。

 今回も世界設定の一部が出てきます。


 4月29日 本文の改稿をしました。

 ルクレシア王女とした話で,現実逃避をしてしまったクオンだが、寝室(ここ)に来た理由を思い出した。ルクレシア王女と会話を打ち切り報告をする。手を叩き3人の注意を引き付ける。


 「3人に報告することがある。クランドールの尽力で一人、ラグズ王国の関係者を、救出することに成功した」


 先程までココの相手をしていたルルミナ王女には分からなかったようだが、今まで俺と話していたルクレシア王女には話の内容が分かったのか喜色を浮かべている。


 「ルクレシア王女には分かったようだが、救出できたのは『ミネット(・ ・ ・ ・)』と言う名前の娘だ。

 ルクレシア王女に確認してところ、ココ・・君の母親との話だが、君はそれでもクランd・・・・・・・!!」


 ドゴガァァン!!!

 

 寝室内に一際大きな音が響いた。発生源は俺の体で、起こした犯人はココだ。ココの動きに全く反応出来なかった自分に呆れると共に、『ココ(・ ・)』と言う異常個体の脅威を少し感じた。


 「母様は何処ですか!!?はやくd・・・・・・・」


 バコォォォン!!・・・・・・ボフン(ベッドの上に落ちた音)


 隣に現れたミネットを横目に、俺の服は冷や汗によりびしょ濡れになった。ココから感じた数倍以上の威圧を感じた。これが、あのときのミネットと同一人物なのかこの目で見たが、全く信じられない。あの時(・ ・ ・)とは違う”何か”に囚われているような、異質な感じがした。

 隣にいるクランドールを見ると、信じられないものを見た顔で真っ青になっていた。


 「ココ・・・・いつも教えているでしょう?どの様な時でも冷静に、礼儀正しく、清楚に行動なさいと」


 温かみの全く感じない、恐ろしいまでに冷えきった言葉が発せられた。

 このときのクオンとクランドール(助けたもの)の心は一つだった。


 『えらいもの助けた(汗)一人でも逃げられたんじゃねえの?コイツ・・・・・・』


 1フロアのボスですら、裸足で逃げ出しかねない『威圧感』『恐怖』がある。オーガだタイラントオーガだとかは意味の無い存在に思えた。クランドール()の脚が生まれたての小鹿のように震えていたのは、”見なかったことにしよう”とクオンに思わせるほど神としての威厳がなかった。そう思ったクオン本人も怖かった。


 「自身の命を助けてくださった、神に対し”暴言を吐き”さらに私の恩人足るクオン様に”飛び掛かる”とは、貴方に教えてきたことはすべて無駄だったのでしょうか?」


 チラリとクオンが姫姉妹を見ると、『やっぱりこうなりましたか』的な顔をしていた。彼女たちの顔には恐怖などの色は見えない。ただ、いつもの事が起きたような顔色だったことにクオンは驚いた。


 後にクランドールはアテンドールに語ったそうだ。


 『ラグドリーズには、恐ろしいメイドがおった・・・・・・女、コワイ・・・・・・』


 そう泣きながら、しみじみと語り「ビクッ!!」と身体が跳び跳ねたそうだ。


 逃げ出したい自分を奮い立たせ、ミネットに声をかけた。


 「説教(ソレ)は後にしてくれないか?今のうちに、今後のことをきちんと決めたいんだ」


 「もの足りませんが、優先順位を間違える訳にはいきません。申し訳ありませんが、お願いいたします」


 ベッドの上から動かないココを片目に、姫姉妹とミネットと向かい合う。恐怖が混じっていても仕方ないよね?


 「さて、まずは俺の知っていることから確認しようか?最初は俺がこの地に降りダンジョン(拠点)の作成を行った。更に周辺の土地を支配下に置いたとき、ルクレシア王女が帝国?も追っ手に追われ死にそうになった」


 「はい・・・」その返事には、暗さしかない。落ち込んでいるのだろうが、現時点で甘やかせて、確認作業を怠ってはいけない。

 ここは心を鬼にて、話を進めよう。


「救出後、ダンジョン(拠点)にルクレシア王女を連れてきて、話を聞きながら俺が呼ばれた理由である『魔族』に関して確認していた。

 クランドールにも別ルートで調べて貰っていたら”国王たちの処刑と、ルルミナ王女の追っ手”に関する情報が手に入った」


 俺の言葉にルクレシア王女が肯くのを横目に確認する。ルルミナ王女は、自分が助けられたときの状況を思い出しているのだろう。


 「ルルミナ王女もルクレシア王女から聞いていると思うが、助けられるのは”どちらかのみで此方で選ぶわけにはいかなかった。ルクレシア王女の気性的に選ぶのは不可能(・ ・ ・)に思えたが、王家に直接(・ ・)関係のない俺たちが勝手に決め、動くことは出来ない。

 今回のことは、もしもの為にクランドールに国王たちに連絡をとって貰っていたので最悪のケースには到らなかった。まあ、国王たち(・ ・ ・ ・)に決めて貰っただけだが・・・・・・」


 あまり誇れるような手段()ではないので、偉そうなことは言わない。最終的な判断は俺が下した様なものであるが、ある意味では意見を(・ ・ ・)尊重した(・ ・ ・ ・)とも言えなくはない。


 「そこで出てきたのは『奇跡の巫女』と言う言葉だった。それが何なのかをルクレシア王女に確認し、ルルミナ王女の救出に向かった。細かいところは省くが、ルルミナ王女を救出して王女たちの『秘密基地』に隠されていたココを引き連れてダンジョン(拠点)に帰ってきた。

 姫姉妹の再会時、クランドールの紹介をしたら・・・ああなった」


 俺はココを指差す。いまだに気絶から回復していない。


 「簡単すぎるが、これまでの状況確認としたい。何か質問はあるか?」


 三人を見回すとミネットが手を挙げた。


 「クオン様はこれからどの様に、お動きになられるのですか?」


 「ルクレシア王女に話したが、最後の王族(・ ・ ・ ・ ・)である姫姉妹たちが協力してくれるなら、ラグズ王国の関係者・国民の受け入れをダンジョン(ここ)で行っていいかと思っている。現状では不可能だが、明日(・ ・)で百人くらいの寝床なら準備できると思う。

 ・・・・・・あくまで寝るスペースだが、個人で与えられると思っている」


 俺の言葉に三人は驚いたようだ。俺は”ダンジョンマスター”だと言ったよな?

 実際の作業を見せるわけにはいかないので、完成後に見せて納得させるしかないのかな?


 「一応、ルルミナ王女の救出の際にルクレシア王女は協力を申し出てくれたが、今一度全員で話し合って決めてくれないか?時間的には20時間後、この机の上にある砂時計で時間は分かるから使ってくれ」


  俺はそう言って砂時計を人差し指で叩き、時間の設定をする。自分の寝室だが、ココが気絶から回復していない以上俺が出ていくしかないし、部屋数自体が少ない。彼女たちの判断で、この住居を拡張するのかを決めようと思う。俺が寝室を出ると、クランドールが何か言いたそうな顔をしていた。






 「ココという娘、お主のそばに置いておいて大丈夫なのか?万が一、命を狙いかねん・・・・・・」


 クランドールは心配性らしい。俺は笑顔で返事した。


 「十中八九、起こらないと思っている。そうなったら、外の”迷宮領域(ダンジョンフィールド)”内での生活くらいはさせてやるさ。ただし、物資などの支援は行わないし、護らない。

 連帯責任で姫姉妹もミネットも、ココと一緒に追い出すから俺としては問題ない」


 クランドールには、”慢心”などは感じられなかった。現に今のクオンは全ステータスが『A+』を軽く越えている。原住民ではA+が成長における”最上限を越えた先になる。このランクはヴェラリーズの住人が自分たちで決めたものに他ならない。ソレだけにクオンがA+の壁を突破できたのである。

 所謂”天才”ですら、Aランクが最上位のステータスになる。現状、A+であるが人(神以外のもの)にとっての最終限界値なのだが、そうは問屋が卸さない。個人により『延びやすい』モノと『延びにくい』モノがある。

 人族は『平凡』、獣人族(ビースト)は『STR』『AGL』、土人族(ドワーフ)は『STR』『DEX』、妖精族は『INT』『MP』の伸びがよい。種族的に見てもこれだけの波がある。

 『STR』『VIT』『AGL』『INT』の伸びは、人族は25:25:25:25で個人差では1~2の振り幅がある。ビーストは35:20:35:10で個人により4~5に近い振り幅が存在する。ドワーフに関しては35:15:40:10とかなり凸凹な素質になる。エルフは20:20:30:30になる。ドワーフにエルフはかなり振り幅があり5~10になるらしい。ただ、そういう設定と言うだけだからあまり気にするなとのこと。


 「俺は基礎値からして、以上だったってことになるんじゃないのか?」


 と俺が苦言と言うと


 「基本的に”英雄召喚(コール・エタニティ)”で喚ばれたものは、ラグドリーズに住人より高い。

 まあ、お主の数値が高いのはワシらの餞別(小)(チート)に加えて、元々の身体能力が高かったのが理由だろう」


 との返答をくれた。本当に光と闇の神(この2神たち)は考えているのか?と疑いたくなる。


 「ま、念のために裏切らない(契約した)悪魔でも召喚するか?」


 そう言いながらクオンは、ボスルームに歩いて行った。




 ◆ボスルーム


 クオンはクランドールと対面し話しかけた。


 「頼んでいたアレを出してくれないか?」


 「くれぐれも注意してくれ・・・・・・」


 クランドールが取り出したのは、20歳くらいの美女だ。この女は、先程の敵地襲撃の際に生きて(・ ・ ・)いたのを引っ張ってきたものだ。一応、生きている。死んでしまっては、依り代(生け贄)といての価値(・ ・)が少し下がる。悪魔召喚(サモン・デーモン)の術式で使うものは生きている肉体のが悪魔に好まれる。

 悪魔はヴェラリースでは実体のない魂だけ(・ ・ ・)の存在だ。だからこそ肉体となる(・ ・ ・ ・ ・)為の肉体(・ ・ ・ ・)が必要となる。言い方としては可笑しいがそんな感じだ。

 生きた人族を使うのは、肉体に魂がある(・ ・ ・ ・)と言うのがポイントだ。基本として悪魔は魂だけに存在であるが、『他者の魂を好んで吸収する』と言う特性がある。夢魔系は例外的に『他者の精気を吸収する』と言う生存に関わる特性が加わる。

 こまで言えば分かるだろうが、今回召還するのは”サキュバス”に連なる下位悪魔”リリム(・ ・ ・)”である。俺のLVなら高位のサキュバスですら楽に(・ ・)従えらせられるが、長い目で見るなら二つの意味でリリスになる。


 1・俺という(・ ・ ・ ・)存在(・ ・)による対象悪魔(リリム)の絶対服従化がサキュバスに比べかなり容易なこと。


 2・下位淫魔(リリム)上位淫魔(サキュバス)への進化及び最上位淫魔(リリス)への進化も可能(・ ・)でありより強くなる。


 以上の2点より、リリムに長期的に見ると軍配が上がる。その前にやることがあるが・・・。


 「どんな事を考えているんだ?」


 クランドールの問に俺は、


 「まず『錬金術』で彼女の肉体、主に五感の内の『触覚(・ ・)』を変化させる」


 そう言って錬金術を発動させる。肉体(容姿)的な変化はない。


 「次に変化させるのは『精神系(・ ・ ・)』だ」


 隣にいたクランドールはなにかに気づいた。


 「お主・・まさか・・・・・・・・・」


 「ああ、その通りだ。彼女の肌を『俺が触ったときは快感・安堵』を、『俺以外の男が触ったときは嫌悪・不快感』を増幅するようにした。

 精神系、どちらかというと『内面的』な方を変化させた。内容は同じと言えるが、至福などの『多幸感』の増幅、被支配感どちらかと言うと『服従願望』で魂が飢えていて|俺の命令《・ ・ ・ 

》に対して従うことによる『命令される(・ ・ ・ ・ ・)ことの悦び(・ ・ ・ ・ ・)』で魂が充たされるようにした」


 淡々と話すクオンに寒気を感じるクランドール。


 「俺が・・魔族を救うってことは、『魔王(・ ・)』になることも同然だ。この程度のことで、気後れするならそこまでってことさ・・・・・・」


 クオンの瞳から”孤独に耐える覚悟”をクランドールは感じ取った。自分が巻き込んだ少年はもう王として(・ ・ ・ ・)の覚悟(・ ・ ・)を自覚し始めている。その事に気付いた。


 「すまん・・・・・・。本来なら時間をかけてゆっくりと自覚するはずなのに・・・」


 クランドールには謝ることしかできなかった。


 「気にするな。俺が地球(向こう)で”天災”と親戚に忌避されたくらい俺は異常なんだよ。

 俺は『真理を感じ取り』、永久は『無自覚でトラブルを引き寄せる』だからこそ俺たちは”親友であり真友”なんだ。似たり寄ったりだからこそ、永久(アイツ)と共に歩む女には同情するがな(笑)」


 「(真友・・・真の友か。ある意味でワシ等に似ておるな・・・・・・)」


 クランドールは一柱(一人)そう思った。


 お読みいただきありがとうございます。

 少しでも、お楽しみいただければ幸いです。

 誤字・脱字ありましたら連絡お願いいたします。

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