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ダブル・サイド  作者: 四宮 皇季
序章・神に喚ばれてみた
1/39

プロローグ・共通部 全ての始まり

 1月3日 誤字を修正しました。

  教えていただきありがとうございます。

 4月10日 本文の改稿・修正をしました。

 何も無い空間・・・白一色の白無の部屋。

 このままだと発狂するだろうその空間には二人の少年がいた。

 雰囲気は全くの正反対だ。彼らを見ている存在と同じように・・・。


 「ここは、どこだ?」


 パッと見、天然の入ってる少年が言葉を呟く。


 「さあな。とりあえずさっき始めたVR-MMOのキャラクターメイクでは無いよな・・・」


 眼光が強く、厳しい印象を与える少年が話しかける。

 パッと見正反対の印象を与える少年たちの仲は。良さそうに思える。


 「楽しみにしていたゲームがこんなのだったら最低を通り越すな・・・」


 天然で優しく見える少年は冷たく切って捨てた。

 ここで初めて会った人なら不思議に思うのだろう。


 「たぶん違うんじゃないのか?こんな空間なんかはバグではすまないだろう?」


 理性的な考え方なのだろうか?

 少年たちは顔を突き合わせて考えている。

 ふっと感じる微かな違和感。眼光の強い少年は天を見回した。


 「なぜ浮いている?」


 少年の視線の先には天に浮いている人の姿だった。


 「一応確認しておきたい・・・。あんたたちは、何者だ?」


 白い肌の人物が話しかけてくる。


 「想像はつくと思うが、お主たちの感覚で言うなら『神』と言える。正確に言うと少々違うがな」


 黒い肌の人物が話す。


 「お主らと同じ立ち位置で言うなら『先生』が近いかの」


 少年たちより一つ上の立ち位置らしい。


 「ゲームで言う”運営”ってやつなのか?」


 「もしそうなら、俺たちにどんな用なんだ?」

 

 眼光の強い少年に、恐れと言うようなものはないようだ。

 もしくは、思考が追い付いていない可能性も否定できない。


 「お主らの世界に”ラノベ”とやらがあるのが調べでわかっておる。

 実のところはそれと変わらんとも言える状況が起きてな・・・・・・」


 用件がつかめない。

 天然っぽい少年が二人組に突っ込む。


 「神とやらがラノベを読むのか?」


 白い肌の男が慌て出した。何かあるらしい。


 「まさか・・・・・・ラノベにうつつを抜かして、ミスを起こし尻拭い(後片付け)とか言わないよな?」


 少年の言葉に白い肌の男の肩が跳ねたような気がした。

 見かねたのか黒い肌の男が少々あわて気味に口を挟んできた。


 「そうではない。説明しやすいようになにか比較対象が無いか調べたのだ」


 胡散臭い。いや、嘘臭い。騙す気があるならもう少し内容を捻れと言いたい。

 パッと見だがこの二人にはかなり無理難題だろう。


 「まあいい。内容を聞かせてくれないか?

 それだけだと、内容までは推測できないからな・・・」


 奴等の思惑に乗るのは少々癪だが、話が進まないことには状況が進まない上、時間の無駄だ。


 「わかった。先に自己紹介をしないか?

 ワシは光の神・アテンドール。創造も司っておる」


 先程うろたえていた白い肌の男がそう言った。


 「ワシは闇の神・クランドールじゃ。破壊も司っておる」


 黒い肌の男がそう名乗った。

 次はこちらの番だろう。先に名乗ったのは天然っぽい少年だ。


 「倉敷 永久(くらしき とわ)、17才になった」


 かなり単調な話し方だが、いつものことだ。


 「俺は、遠峰 久遠(とおみね くおん)。同じく17才で、永久とは幼馴染みだ」


 お互いの自己紹介が終わった。クランドールが二人に話しかけた。


 「永久・久遠とは”永遠”に意味を持つ言葉でよかったか?」


 「近いと思うが・・・少々違うと思う」


 クランドールの言葉をやんわりと否定した。詳しくは知らないし。

 アテンドールは髭を撫でている。


 「で?話しはなに?」


 あくまでマイペースな永久。無神論者である永久に二神に対する優しさはない。

 無論、久遠にもない。情け容赦のない二人である。


 「ある世界が崩壊の危機にある。今すぐではないが、このままではあと数千年で消滅する」


 時間感覚がおかしく感じるのは、時間感覚の違いだろうか?

 

 「そんなに時間があるなら、対処の時間はないか?」


 久遠の言葉は、ある意味真実だ。人間の寿命からしたら、有史以来の時間になる。

 100年が最長と言っていい人間としては・・・。


 「ワシらからすると4~5000年はあっという間といえるのだ」


 「現にワシもアテンドールも、150億年位は生きておる」


 「気の滅入る話だな」


 「悪い冗談と思いたいな」


 二人とも引いた。

 桁が違うのだ。8桁くらい。


 「お主らの年でいうなら150位かの?」


 「それでもって・・・長生きレベルじゃない・・・・・・」


 最高齢は聞きたくない。景(数字の桁)越えていても不思議ではないのだから。

そんな二人の心境は置き去りにして状況は進む。


 「それで、話内容だがワシらが管理する世界に行ってほしいのだ。

 その世界は”鏡面世界ヴェラリーズ”と言う。

 鏡面と言うように、地図のようにまっ平らな世界が互いに向かい合っている世界だ」


 クランドールが空中に映像を投影した。

 そこには向かい合うような二枚の世界があった。

 その姿は二人に納得させた。


 「どのような世界なのかはこの映像で理解しておおらえたと思う。

 それで・・・この世界に起ころうとしていることなのだが、この二つの世界が衝突しようとしておるのだ」


 「原因は?」


 「人口の激変による”世界バランスの崩壊”と言える」


 永久の問いにアテンドールが答えた。

 アテンドールの話を詳しく聞くと3000年位前から両世界間の”魂バランス”とでもいうものが狂いだしたらしい。


 「原因の一つは映像の上の世界”ラグドリーズ”でお主らの世界にある『勇者召喚(コール・エタニティ)』を完成させた」


 クランドールの言葉にアテンドールの顔は暗くなった。少なからず関わっているようだ。


 「・・・確認したい。上の世界死んだ魔物の魂はどうなるんだ?

 まさか・・・・・・」


 久遠の顔に確信に染まっている。

 その顔を見たクランドールは頷いた。


 「そのとおりだ久遠。"鏡面"とは”共面”ともいえる。

 片側で死んだ魂は、反対側で再び命を授かり生活する」


 久遠のやな予感は的中した。さらに最悪の事実が告げられた。


 「久遠、お主には予想出来ておるようだな・・・」

 

 沈痛な面もちのアテンドールに頷く。


 「確認の為に聞いてくれ。

 この世界”鏡面世界(ヴェラリーズ)”は根幹のシステムとして『魂輪廻の共有化(ソウル・リンク)』がある。

 良くも悪くも今までは魂の総量が一定で、ほぼ両世界間に差わ生まれなかった」


 一度話を区切り、2神と永久を見る。

 3人は頷いた。話を進めよう。


 「それは先程のアテンドールの『勇者召喚(コール・エタニティ)』が、バランス崩壊の引き金となった。

 恐らく最初の召喚は偶然の産物だったと思う。

 だが其処が人間。1国がそれで利益、もしくは領土拡大を行えたとしたら・・・」


 チラリと永久を見ると、次の言葉が分かったのか指を鳴らした。


 「なるほど!成功に味をしめたき国もしくは国王は更に利益を求めて、更なる召喚に賭ける。それが更なる加速を生む」


 久遠は永久の言葉に『我が意を得たり』と頷いている。

 此処までの話を聴いていただけの、クランドールとアテンドールの2神は驚いていた。彼らの世界の創作物を調べてはいたが、これほどまでとは思っていなかったのだ。


 「そんなことを他国は許さない。自国には利益がないのだから。

 そうなれば後は簡単だ。情報の奪い合いが起き、諜報合戦だ」


 久遠と永久の二人の脳裏には同じ光景が浮かんでいたのだ。

 その後は、各国がの召喚合戦だ。

 ラグドリーズの魔物が激減する→魂が『魂輪廻の共有化(ソウル・リンク)』により下の世界に流れる→下の世界で魔物の魂は再誕を受ける→迷宮(ダンジョン)などの魔物が発生するポイントで迷宮の許容量ダンジョン・キャパシティを超える→大海嘯(オーバーフロー)のようなものが起きた。


 「下の世界は魔物で溢れてくる」


 「そうなれば下の世界は人が亡くなり、その魂はラグドリーズに転生する。

 人と魔物のバランスは、両世界で真逆になる」


 そう言うと、久遠と永久の二人は2神を見る。

 アテンドールは沈痛な顔で答えた。


 「お主らの言う通りじゃ。本来なら世界恒常矯正(ホメオスタシス)が働き元に戻るはずだった。

 だが、それの発動よりバランス崩壊の方が速かったのだ・・・それ故の現状だ」


 「ワシとアテンドールが気付いたのは偶然の産物だった。

 2000年ほど前に崩壊の可能性に気付いたのだ」


 「それまでの間にどんなことをしたんだ?」


 永久が確認を行う。必要なことだ。


 「鏡面世界(ヴェラリーズ)には魔族がおる。

 ラグドリーズにいる魔族に能力を与え"魔王"を生まれさせたりした。

 下の世界"フェブリーズ"にも"英雄や勇者"を産まれさせたりもした」


 「それで失敗してきたってことは鏡面世界(ヴェラリーズ)の人間の能力値は・・・

 両極端になったってことだろう」


 「それだけとは思えないが?」


 クランドールの話を聞いた久遠はそう判断したが、永久には不思議に思えた。


 「人口の激増により文明が進み、技術が次々と産まれた。

 人口の激減により文明が滅び、次々と技術が失われた」


 「そりゃあ、スペック以前の問題だな」 


 久遠は切って捨てた。実際にスペック以外に一番の問題がある。


 「”魂の総量=魂の可能性”と考えると、ラグドリーズは魂の総量が多い=限界値が高い。

 そう考えると、フェブリーズは魂の総量が少ない=限界値が低い。

 それで、人と魔物が真逆になるわけだ。永久はどう言うことか分かるか?」


 永久は少し考える。

 限界値が低い=レベルが高くても能力値が低い。そうなる。


 「かなりやばくない?」


 「実際その通りだろ。片方が極端に高く、もう片方が極端に低いこれほど酷いものはないだろう」


 「久遠の推測はほぼ当たっておる。

 それ故に、両者の文明には恐ろしいほどの”差”が生まれている」


 クランドールの言葉には悲痛さがある。

 この2神は反対のモノを司っているが、仲は良さそうだし。


 「話の内容は理解したが、俺たちの寿命は100年くらいだぞ?」


 「ソコは理解しておる。

 ワシらの頼みを聞いてもらえるなら、相応の特典を付ける」


 アテンドールはどこからともなく杖を取り出し胸を張った。

 次回更新は、1月5日の予定です。


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