眠気と事情と適当な祖父
花宮の家でバイトをした翌日。
「うう…眠い…」
花宮の言った最後の言葉が頭から離れず俺はほとんど眠れずに一夜を明かした。
突然自分のことを狙っていると言ってきたのだ。
そりゃ健全な男子高校生なら眠れるわけがない。
「それにしても俺のことを本気で狙ってる女子がいるって…」
そう、花宮はそのうちの一人であると言った。
つまり他にも俺を狙っている女子がまだ居ると言うのだ。
「なんで…なんで俺なんだ…」
もちろんこの学校に男子が俺しかいないことは分かっている。
それでもまだこれから転入する男子がいるかもしれないという話を聞いたことはある。
第一俺がこの学校にいる時点で普通ではないのだが。
俺がこの学校に通っている理由は簡単だ。
実は俺の両親はすでに他界している。
とは言っても俺が小さいころに事故で亡くなっているため特に悲しいということはない。
その後は祖父の家に引き取られて育てられた。
ちなみに祖母もすでに亡くなっている。
つまり祖父との二人暮らしだった
そして高校生になると一人暮らしをするように祖父に言われた。
生活費は祖父が負担してくれているので特に困ることはなかった。
そして高校二年になるとき、祖父から突然今の高校に転校するように言われた。
理由は分からなかったがとりあえず言われるがままに転校した。
女子しかいない高校だとは知らされずに。
そして転校初日にその事実を知り、もちろん祖父に訳を聞いた。
返ってきた言葉は、
「ああそのことか、わしがあの学校の理事長やっとるんじゃ」
もはや言葉が出なかった。
なんて適当な祖父だろうか。
もとよりそう言う性格であることは知っていたが、
まさかそこまでぶっ飛んだじいちゃんだとは思っていなかった。
第一その言葉では女子しかいないことや俺がこの学校に転校させられた理由が分からない。
祖父はどうやら前から理事長をやっていたらしい。
そしてこの学校を共学化することになった、
しかし現在女子しかいない高校にわざわざ一人で乗り込む勇気を持った男子はいなかったらしい。
男子が一人でもいれば気にせずに来れるかもしれないという理由で俺を転入させたのだ。
だから俺はこの学校の女子たちのように金持ちの家の人間ではないのにここに通っているのだ。
「はあ…元はと言えばじいちゃんのせいだな…」
もちろん学校のことをほとんど聞かずに来た俺も悪いのだが。
俺は眠い目をこすりながら学校への道を急いだ。




