掃除と一人とじゅもん
「…帰りたい」
俺は広い、広すぎてプールと見間違えるレベルの風呂を掃除していた。
「なんで…こんな広い風呂を一人で掃除しなきゃならんのですか…」
「文句を言ってないで、早く動け」
後ろにはフレデリックさんが仁王立ちで見ている。
「フレデリックさんはやらないんですか…」
「うむ、我は腰を痛めているのだ」
我って言ったよ!この人!
「それで俺がバイトさせられているんですか」
「そうだ」
「でも…こんなに大きな屋敷なら他にもお手伝いさんは…」
「おらぬ」
「え?」
「おらぬと言ったのだ」
「ええええ!?」
衝撃の事実!
この家にお手伝いさんや執事はフレデリックさんだけ!
「じゃあいつも掃除は…」
「我が一人で全てこなしている」
何と言う事だ…確かに毎日一人でこの巨大な屋敷を掃除していればあの体になるのもうなずける。
待てよ、フレデリックさんが毎日屋敷中を掃除していると言う事は…
「もしかして…俺が掃除するのって…」
「決まっているだろう、この屋敷全てだ」
「やっぱり!…ああ…急にめまいが…」
ようは めのまえが まっくらに…
「小僧…そんなに眠りたいなら我が永遠に眠らせて…」
「全力でやらせて頂きます!」
フレデリックさんが全部言う前に目を覚ます。
…この人なら本当にやりかねない。
最早「ふっか〇のじゅ〇ん」レベルの一言だ。
俺は必死にブラシで風呂の底をこするのだった。




