第1局 邂逅
私立鈴乃出学園。
東京にある私立の中では1番有名な学校。部活に力を入れており、各方面のプロを多く排出する学校である。
そんな鈴乃出学園は数日前、新入生の入学式を行い、何らかの部活に入らなければならない鈴乃出学園では現在、部活動関連でこの学校に入ったわけではない生徒が、どの部活に入ろうかと、見学等で新入生が校内を駆け回っている様子が伺える。
そして、九曜 國子も入る部活を決めてる最中である。
「どの部活がいいかな」
鈴乃出学園では、部活に絶対に入らなければならないのだが、まだ決めることができていない。多数の部活がある故に、悩ましいのである。何かやりたいことでもあればよかったのだが、俺にはしたいことなどないので困っているのである。
考えながら歩いていると、廊下がT字になっている部分に着く。ここは文化部の中でもチェスや将棋などの娯楽系のクラブが集まっているところだ。
(とりあえず、将棋部でも見てみるか)
そう考え、右の道に曲がった時、
「うわ」
「あっ」
走ってきた別の生徒にぶつかる。
「あぁごめんね。あ、点棒が⋯⋯」
俺にぶつかった女性生徒、服に入ってる線が緑色だから二年生であろう人が、小さな棒、この人が言うにはテンボウというものを拾っている。
「すみません。手伝います」
「あ、ありがとう。ホントごめんね。もう少し気を付けてれば」
「いやいや、自分も不注意だったんで」
「あれ、島ちゃんどしたん⋯⋯って、点棒落としてるやん。何してん、ほんまドジやな」
そのような会話をしていると、後ろから男の人の声がする。振り返ってみれば同じく二年生の服を着た生徒が立っていた。
「ごめんな、うちのドジが迷惑かけて」
「あんたね、ドジドジうるさいわよ。ていうか、ドジじゃないし」
「箱を傾けて、点棒入れた途端落としとる奴をドジ以外のなんていえばええんや。あぉアホか。アホやな」
「アホっていうな、あぁ全部溢れた」
「島ちゃんはさき部室行ってな。拾っとくから」
「わかったわ。ありがと」
そう言って奥の方の部屋に入っていく。
「仲良いんですね」
「島ちゃんとか?まぁ幼馴染やしな。ていうか、自分一年やろ?入る部活は決まったん?」
「いえ、それがまだ」
「ほな、うちの部活はどうや?麻雀部」
「麻雀⋯⋯賭けるんですか?」
「賭け麻雀はせんよ。捕まるやろ」
「それはそうですね」
「興味あるんだったら、ついてきぃや」
そう言いながらテンボウを拾い終わり、部室の方へ向かう。
「おっ見てみるんか」
「気になったので」
「そうか、なら自己紹介やな。オレは辻 刻子、二年生や。さっきのは島津 鈴。あれでも、結構強いんやで」
「そうなんですね。あっ俺は九曜 國子って言います。難しい方の國に子供の子で國子です」
「ほんま?オレの名前も刻むに子で刻子なんよ。同じこくしって運命やな」
「そうですね」
そんな会話をしているうちに部室に着く。
「みんな、見学の子が来てくれたよ」
部室の中はそこそこ広く、刻子先輩も入れて12人いる。
「お、マジで?」
「マジや、九曜 國司くんや。麻雀については一切知らんらしいからこの後教えよ思っとる」
「よろしくお願いします」
「紹介するで、とりあえずさっき迷惑かけた島ちゃんに、おじいちゃん顧問が山本茂雄先生で、そこの短髪の姉ちゃんが蜂巣 朱雀」
「よろしく」
インナーが黄色の、赤髪の女性が反応する。
「そこの兄ちゃんが銀 耀哉、オレと同じ関西人や。まぁこいつは京都の奴やけどな」
「あんまり違いないですよ、京都も大阪も」
「違うわ」
「自分はそうは思いませんけどね。まぁよろしく」
白髪の、セミロングほどの髪の長さの男の人が刻子先輩とそんなやりとりをする。
「んで、長髪の姉ちゃんが天竺 葵」
「よろしくね」
青髪の女性が反応する。
「そこのメガネが色貫 宗介」
「よろしくな」
金髪の男性が。
「そこの長髪の男が新木 一輝」
「よろしく」
黒髪の⋯⋯どちらかといえば体育会系の男が。
「そこのヒゲが丹木 杏二」
「ども」
髭が生えた茶髪の男性が。
「そこのでかいのが西 不貴。で、そこのめがねが古川 銃十」
ガタイのでかい、ラグビー部と言われたほうが納得が行く見た目の人とメガネをかけた人が反応する。
「最後にそこのが、お前と同じ一年生。天威 夢峯」
え、天衣無縫?親はなんて名前つけてるんだ。
「少年誌ものなら、こういうところでお前のことを突き放したりするんだろうが⋯⋯生憎、ここは少年誌じゃないからな。同じ一年同士、仲良くしようぜ」
少年誌がどうとか、何言ってんだ?⋯⋯まぁとりあえず。
「よろしく」
終局




