そんな世界に転生したら俺は神様にだって……37
俺とユウナ、二人きりになってしまった途端、妙な緊張感を覚えてしまう。
それに対して、彼女は全く動じることなく、レオンの注いでくれた紅茶を堪能していた。
その振る舞いはあまりに優雅であり、どちらかといえばラフ寄りな格好ではあったが、頭の先からつま先にわたって気高さが滲み出ている。
この子、多分俺よりも年下だよね? 姿勢の良さもあるからか、座った時は特に大人っぽく見えてしまう。
「…………? どうかされましたか?」
俺がジロジロと見ていたことに気付いたのか、首を傾げながらこちらに視線を向けた。
「あーと、いや、…………レオンも忙しい中、こんなことしてて良いんですかねーって!」
誤魔化すように話題を出そうとして、レオンの名前が出てしまった。
「ええ、そうですね。あの人は、いつもそうなんです……」
ユウナの言葉は、どこか自国の兵士を自慢げに誇るようでもあり、どこか寂しさを感じる口調でもあった。
そういえば、レオンが言っていた。ユウナとは、彼がこの国に来た頃からの知り合いだった、とのことである。
『ユウナ姫には、俺のそういった……余裕の無い部分も見られているからね。怖がられることはあっても……好かれるだなんて……』
その頃のレオンがどれだけ尖っていたのか、俺にはあまり想像できない。しかし、ただのすれ違いなのであれば、解消してあげたいとは思う。
「ユウナは、レオンと仲が良くなかったり……するの?」
少し唐突過ぎただろうか、とも思ったが、当のユウナはその質問に驚いた様子もなく、静かにカップをおいた。
「……あの方は、とても優しい方です。ですが、私は、あの方の本心を聞いたことがありません。……私はこれでも国王家の者ですから、そういった余談はしてくださらない、ということでしょうか……」
彼女は目を伏せたまま、言葉を続けた。
「マルコ様には、レオンがどのように映っているのでしょう? 是非お聞かせくださいませんか?」
彼女が聞きたいのは、俺が持つレオンの印象ということなのだろうか。
「そうですねぇ……、とても優秀でー、偉い人でー、尊敬されてて、イケメンで、あとはー……」
口を開けばひらくほど、レオンの話は褒め言葉しかでてこな。スゲェな、あの人、
「そうですね、それらには大いに賛同いたしますわ」
その言葉とは裏腹に、彼女の表情はどちらかといえば重い寄りである。
「だから、ですかね。私は、あの方に見てもらえていないのではないか、と思うんです」
そして、彼女は真っ直ぐに俺の目を見て、口を開いた。
「少しだけ、昔話をして良いでしょうか?」




