そんな世界に転生したら俺は神様にだって……23
「さっきも言ったけど、今日はユウナ姫のこれから、の話をするつもりだ。実際どうだい? ユウナ姫を助けてくれるんだろ?」
答えの分かり切った質問に、俺も当然の様に答えたいところだが。
助けたい気持ちは大いにある。しかし正直なところ、未だ明確な解決策は見出せていない。
俺に出来ることは頑張りたいんだけど…………いや、そういえば昨日の夜に一つあったな、思い付いたことが。
「この城の近くにも、ティマリール教の教会ってあるんだっけ?」
「教会か……魔術師が集う講堂なら、城から少し離れたところにあるよ。……何かヒントがあったかな?」
少しばかりの期待をしているようなレオンを前にして、俺は居心地が悪くなるばかりだ。
前回ヴァーレに来て修行した時には、道場のような場所に通っていたので、他の兵士たちと交流することはなかったが、やはりそういった場所があるんだな。
他所者の俺たちが入ることができない理由もあると思われるが、マルコ修行編が何の成果も無かったの、ここに原因があるのではないか?
講堂……そこにもきっと、立派なたまりるの像が鎮座していることだろう。たまりるがいるのといないのとで、やる気も実力も変わってくるのは当然といえよう。
「そういえば、シスターライラも今日はそこに向かっているんじゃないか? そんな話をメイがしていたような……」
なんと、ライラは俺に黙ってたまりるに会いに行っているというのか。どうして声をかけてくれな…………い、かぁ。いや、何度でも言うが、喧嘩している訳ではないのだけれど。
まぁ、後から一人で向かえばいいか。礼拝にどれだけ時間がかかるか分からないし。
「…………すぐに何かを掴めたのは、神信力の違いなのかな……」
ふと聞こえたレオンの呟きに、俺は僅かながら違和感を感じた。いつものレオンから溢れ出る余裕ではなく、羨望に近い何かがあったように思えた。
「ダメなんだ……俺には、神信力がないから。だから、床に長く伏せるようになったユウナ姫の容体も、ユウナ姫を目の前にした君たちの感覚も、俺にはそれが分からないんだ……」
今まであっただろうか。あのレオンが、自分の弱さを吐露し、あまつさえ愚痴るようなことが。
レオンも、心の底からユウナを助けたいのだと思う。そこにはきっと、兵士長としての立場や、敬愛するユージオ国王の身内、ということもあるだろう。
それでも、昨日の夜に彼女と話して感じた、あの人柄を思えば、助けてあげたいと思う気持ちになるのも頷ける。
「レオンも……ユウナを助けたいんだね……」
「…………ははっ、まさか俺が泣き言を口にするなんてね。自分でもびっくりだよ……」
いつもより乾いた笑いは、レオンのイメージからはかけ離れた、弱々しい印象を受けた。
「でも……レオンは、ユウナとの婚約を断ったんだよね? レオンだったら、あの子も喜んだと思うんだけど……」
俺は深く考えるでもなく、レオンに聞いてしまった。
昨日は、『政略的過ぎる』だのと言ってはいたが、それだけが理由だとは思えなかった。
「昨日言った話も嘘ではないけど、…………そうだね、もう俺にはあの方を、幸せに出来ないと思うんだ……」
そう言って、ため息混じりに椅子へもたれかかるレオンは、これもまた普段からは想像出来ない、何かへの反省をしているようだった。




