そんな世界に転生したら俺は神様にだって……16
密談を終えて国王は自室に戻り、俺はベッドに倒れ込んだ。
ちなみに、未だに俺は牢屋に収容されている。曰く、
『可愛い娘の縁談を断る男を、素直にもてなす訳ないだろう?』
とのこと。これには俺も思わず苦笑いだよ、ハハハ……。
収容されていると言っても、もう牢に鍵はかかっておらず、自由に出入りできるようになっている。朝には城の兵士さんが来て、そこからはちゃんと客人扱いしてくれるらしい。この人、冗談が重いよね。
城内に詳しくないので、暗い中を歩き回る気も起きない。俺はベッドの上で、これからのことを考えていた。
ユウナにかかっている短命の呪い、ティマリール神こと国木原たまり、その父であるユージオ国王。
メイとライラは、国王の前世で縁のある人物だったらしい。ここが糸口にならないのだろうか?
二人とはどう言った関係だったのだろう。国王との関係……いや、二人は恐らく国木原たまり、もしくは国木田鞠の知り合いだったのではないだろうか。国王の使った親和性という言葉を思うと、そちらの方がしっくりくる。
たまりるの関係者、友達や同業者とか? これを国王から聞くのは……倫理的な引っ掛かりもある。プライバシーとか、そんなの気にしてる場合じゃない、といえば道理が通るかな。
そう言えば、レオンの名前が挙がらなかったな。彼が神信力を全く使えないのも、前世でのたまりるとの関係性がなかったから?
そうなると、神信力を使える人間は、何かしらたまりると関係がある、ということか? であれば、ヴァーレ国王軍魔術師ほどの人物たちはほぼ全員、国王が知っている顔ということもあり得る。さっきの口振りだと、そうは聞こえなかった気もするが。
それに、俺のようなただのファンでも、魔王神と戦う程度に神信力を使えることもあるので、それは極論過ぎるか。
むしろ、レオンが全く神信力を使えないのも異様に思えてきた。もしや、レオンが黒幕説ある?
「…………わっかんねぇー!」
どれだけ考えても、想像の域を出ないものばかりだ。なんだ、レオン黒幕説って。近くに真犯人がいるって、ミステリー小説の定番かよ。ただでさえ、俺はそういう読み物で犯人や推理が当たったことがないのに。
動き出すにしても明日からだ。しかし、明日起きてからどう行動すればいいのやら。
情報を集めるなら……図書館とか? いやいや、俺にこの世界の文字は読めない。たまにチラッと見かけるが、完全にお手上げだったね。今から覚えるのも厳しい気がする。
全く、転生したらすぐ世界に慣れるような能力などないのだ。俺なんか、この世界に来てやれたことって、たまりるへのお祈りくらいだぞ。
「…………あっ」
そうだ、あるじゃん。お祈りが。
ヴァーレにもティマリール教が根付いているはず。少なくとも、ヴァーレ国王軍に魔術師がいるのだから、近くに関連施設があるはずだ。まずはその辺から……。
「────────あのっ」
「……っうぉおいっ!!」
誰もいないはずの通路から声がかけられ、激しく動揺した声が出てしまった。
えっ? 誰? 知らん声だ、国王のものではない。俺、変な独り言とか言ってないよね?
「あのっ、驚かせて申し訳ございません。先ほどご挨拶しました…………ユウナです」
弱々しい明かりでも顔が判別できるくらいに、格子に近付いてきたのは、こんな薄暗い獄には似つかわしくない華のある少女、ユウナ姫であった。




