表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は魔王神にだって……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/78

そんな世界に転生したら俺は魔王神にだって……30

「とはいえ、我も油断したつもりは、なかったんだがな……」

 傾げていた頭がグラッと体からこぼれ落ちたのを、マキラは右手で受け止め、まるでバスケットボールのように横腹と手で抱えた。

 見るからにダメージは無さそうだが、今までの魔物との戦闘経験を、魔王神に当てはめていいものか?

「どうした? 手を止めていては、我を殺すことなぞ不可能だぞ?」

 抱えられた頭が喋るという異様な光景に、何とか勝機を見出そうと思考する。マキラを挟んで奥にいるライラも、構えはしているものの動き出す様子はない。

 再び切り掛かったとしてもダメージはないだろう、部位の問題か、神信力の問題か。

 そしてふと思い出す、先ほど遅れて感じた切断の感触。

 軽過ぎた。あまりにも、今までの魔物すら凌駕する感触の無さ。

 それを思い出した瞬間、マキラの姿がまるで映像の乱れのように鮮明さを欠いた。その瞬間、俺とライラの目線が合う。

「白魔法────視光迷明!」

 すかさずライラが詠唱すると、頭を抱えて仁王立ちしていたマキラの姿は、霧散していくかのように消えていった。

 では本体はどこにいるのか、を考える必要はなかった。俺のすぐ近くで強大な魔力を感じたから。

 飛び退いて離れると、玉座にはマキラが肘置きに寄りかかるように座っていた。

「ほぅ、意外と早く気が付いたな……それでも、遅過ぎるがの」

 マキラが人差し指を立てて払うと、目の前に俺を覆う程の火球が現れた。

「黒魔法────火波玉ファイガ

「マルコさんっ!!!」

 白魔法────、奉盾防護────

 ライラの悲鳴に近い呼び声に反応するように、どこからか詠唱が聴こえる。

「くっそ……っ!!」

 それが直撃した時に感じた熱は一瞬だった。見た目は火の玉のくせして、鉄球に吹っ飛ばされたような衝撃で、俺の体はそのまま壁に叩きつけられた。

 マキラの発した火球に押し込まれる形で壁にぶつかり、部屋に大穴が開いた直後、ライラが叫ぶ。

「白魔法────光矢弓・連っ!」

 ライラの詠唱で、彼女の前に二十近くの矢が並ぶが、マキラは一切物怖じせずに、手を振りかざしている。

「なるほど、小娘もそれなりに神信力を練られるようじゃ……」

 その全てがマキラに向かって放たれたが、それが彼女に届くことはなく、全てがへし折られて弾き落とされた。

「とはいえ、それしきで我に当たるとは思っておらんだろう? 魔力量の絶大なる差、分からんはずがない」

「ええ、流石は魔王神です、私では全く歯が立ちませんね……」

 白魔法────、光波流刃────

 俺は壁を蹴ってマキラの背後に回り込み、死角から首を掻っ切ろうとナイフを走らせる。ダリルの時と同じ、薄い光の線に沿うように身体が動いた。

「……おっと」

 見えていないはずの軌道だったはずだが、俺のナイフは軽く摘むように止められた。

「今のは悪くない。が、まだまだ遅いな……」

「…………っ!?」

 力んでいる様子は全くないのに、ナイフを押し込むことも引き抜くことも出来ない。

「うーむ、我に触れられて、なお消えないのか。本来ならとっくに消し炭にでもなっているんだがな……。やはりお主は……どこもかしこもイカれておるな!」

 片腕でナイフごと放り投げられた俺は、受け身を取りながらライラの近くに寄る。

「どうした! お主ほどの魔力なら、我の黒魔法など圧倒できるのではないか!?」

 マキラは大声で俺たちを煽る。ヤツがそう言うのであればそうなのかもしれないが、その忠告は余裕からなのか?

「……ライラさん、俺は攻撃に集中します。その間フォローをお願いしてもいいですか?」

「分かりました、可能な限りで……」

 誘われた攻撃になってしまうが、やってみるしかなさそうだ。

 両手を前にかざすと、まるで全てを分かっているかのように、どこからか聞こえる声が詠唱を始める。

 白魔法────、光波玉・連────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ