表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は神様にだって……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/155

そんな世界に転生したら俺は神様にだって……66

 彼女からの拒絶は、なかなか止むことはなかった。

 彼女はこちらを一瞥もせずに、見えない力で俺を押し返すが、こちらも神信力を駆使して持ち堪える。


「まずは話を聞いて欲しい! 俺は、君の敵なんかじゃない!」

 彼女からの返事は一向にないが、俺は叫び続けた。

 彼女の神信力は勢いをそのままに俺を襲った。俺はとにかくそれを避けつつ、少しでも彼女に近づこうと試みる。


「たまりる、なんだよね!? 君のファンなんだよ、俺!」

 夢にまで見た初対面が、まさかこのような形になろうとは想像もしなかった。

 オスマンは、この世界のたまりると出会っているらしい。こんな出会い方であったら、ティマリール教になど触れてこなかったであろう。


「『up to UP』! あれ聴いた時は、歌詞にスゴい励まされてさ!」

 正直に言えば、悲しさもある。どれだけ気持ちを伝えても、聞いてもらえるどころか突き放されて、味方であることを信じてもらえないなんて。


「ファルコホールまで聴きに行った! ライブのコーレス、最高に盛り上がったよ!」

 もしも、君にとって記憶になんか残っていなかったとしても。数多のファンですら、その心から消えてしまっていても。


「全国ツアーもさ! 全部は行けなかったけど、千秋楽は行った! バックサウンドも凄かったよね!」

 あの時に叫んだのも、喜んだのも、救われたのも、紛れもない事実で。

 君の事が大好きで、心から応援していたから。


「だから……! 俺は君の味方だっ!」

 こんな奴だけど、助けを求めてほしい。俺は、君を助けたいと思っているんだ。


「あなた……私のことを知ってるの?」


 遂に彼女から、俺への反応が出た。

 彼女は頭を抱えるように、両手で耳を塞いでいるようだったが、俺の声が届いていたようだ。


 そしてやっと、彼女が国木原たまりであることを肯定する発言が出たのである。

 今までは、彼女がたまりるであるという、俺の認知でしかなかった。否定がないのは肯定である、というのは短絡過ぎるだろうか。


 そして、憧れのアイドルと対面しているという事実に、自分でも分かるほどに色めき立っていた。

「……うん、そうだよ。だから俺は、君の力に────」


「だったら、もう終わらせてよ」


 それは、俺が予想していなかった、ドスの効いた声であった。

 彼女は相変わらず、頭を抱え込んだまましゃがんでおり、こちらを見向きもしていない。


「終わらせるって、どういう……?」

「そのままの意味。もう全部……全部……!」

 そう言ってたまりるは、今度は頭を掻きむしり始める。


「もう嫌……、もう何も見たくない! 全部全部っ! 全部終わらせてよっ!」

 悲痛な叫びを響かせ、そのまま彼女はうな垂れるようにして、地面に両手をついた。


「もう嫌……何もかも終わらせて…………消えたい……!!」


 その言葉を聞いてしまった俺は、遂に足が止まってしまった。発動していた神信力も、この時点で消えていたように思う。


 再び押し寄せる風は今までのそれよりも強く、俺の体を簡単に掬い上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ