表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は神様にだって……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/148

そんな世界に転生したら俺は神様にだって……61

 支度を終えて部屋を出ると、この時間相応の静けさが俺たちを包んだ。


「さあ、こちらへ……」

 ユウナは俺の手を握り、迷いなく歩き出した。

「私の記憶通りなら、この時間の警備をかわすことができます」


 彼女の言葉通り、俺たちは目立たないように気を付けながらも、廊下を通って裏口へと、難なく城の外へ出ることができた。

 外の空気も、早朝の特別な静けさと、どことなく冷たさを感じる空気に、妙な緊張感が生まれる。


「……無事に外へ出られましたね。マルコ様、神穴とはどちらにあるのでしょうか?」

 両手を伸ばしてストレッチの姿勢を取りながら、ユウナは俺を見た。


「……あっ、そうだね。……こっちだよ」

 いつの間にか離されていた手を、少し寂しく思いつつも、俺は彼女を案内する。


 前回向かった時に思った通り、ヴァーレ城から神穴までは非常に簡単な道のりだ。ただし、分かりやすくとも森道である。決して平坦な道ではない。

 事実、ユウナは慣れない悪路に、若干ふらふらと足を進めている。


 先ほど離してしまった手を、もう一度握って上げた方がいいのだろうか。でも、俺から手を取るのは違うというか……。いや、ここは素直に言おうか、恥ずかしいと。


 勇気が出ないまま、俺は彼女の数歩前を先行して歩いていた。

 彼女は何故、あんなにも自然に異性の手を取れるのだろうか。いや、俺が余計なことを考えすぎているのか?


「────あっ……」

 悶々とした状態で進んでいると、ユウナの小さな悲鳴が聞こえた。

 即座に振り向くと、彼女はしゃがみ込んで自身の足首辺りをさすっていた。


「だっ、大丈夫!?」

 俺の動揺に気付いてか、ユウナはすぐに笑顔を向けてくれた。

「大丈夫ですよ、少しバランスを崩しただけですので……」


 駆け寄って足の様子を見ると、確かに血などは出ておらず、捻挫などの怪我をした様子もなければ、痛みを訴える表情もない。

 しかし、これは一緒に歩いていた俺の落ち度である。恥ずかしいだの何だのと言い訳を抜かして、結局ユウナが怪我をするところだったのだ。


「ゴメン、一緒に歩けば良かったね」

 俺がそう言うと、彼女は「大丈夫で……いや……」と、歯切れの悪い返答をした。

「……そうですね、それではお言葉に甘えてお願いしたいことが……」


 ユウナも危うさを自覚しているのか、なんとか俺を頼るところまできてくれた。

 俺も快く引き受けて、緊張しながらも彼女の手へと────。


「お……お姫様抱っこ、というのを……」

「へっ? お……お姫様……抱っこ?」


 彼女の手を掴む直前、予期せぬお願いを耳にして固まってしまった。

「何でそんな……あっ、もしかして本当は歩けない怪我してる!?」

 それとも、体調の悪化でそもそも歩くのが大変とか、焦って確認すると、ユウナは申し訳なさそうな表情で返事をした。


「いえ……、私、お姫様抱っこというものに憧れがございまして、今がその好機ではないかと思いまして……」

 あ、これはマジだ。冗談ではなくマジのやつ、マジの自己都合。


「私はこれでも一国の姫ですのに、お姫様抱っこもしていないのでは、末代までの恥となりましょう」

 何も言えない俺に追撃するようなユウナの呟き。いや、俺も思ったよ? お姫様がされるからお姫様抱っこ、される側としてこれ以上相応しい人はそういない。


「……〜っ!! ……分かった、やってみるよ」

 一人で歩くのは危険、という話題は俺の発言からである。それを踏まえてされているお願いを断るのは失礼であり、何よりもダサい。


 俺はユウナを抱えるため、彼女の横に寄り添う様にしゃがみ込む。

 急に体が熱くなってきた気がした。これはアレだ、日が昇ってきたのだ。きっとそうだ、だから手汗なんかは出てないだろうし、顔だって赤くなってない。絶対に、だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ