そんな世界に転生したら俺は神様にだって……56
「どうして、二人だけなんですか?」
俺は思い切って、話を遮った。マキラはほんの少しだけ驚いた様子だ。まさか俺が、余計な口を挟んでくるとは思わなかったのだろう。
「……どうしても二人でなくてはいけない、ということはないぞ? しかしその娘、其奴がいては並の魔術師たちは役に立たんぞ? それに、我と対峙したあの娘とか、な」
マキラは再び余裕の表情を浮かべて頬杖をついている。一瞬、ライラの話題が出て、俺の中でチクリと刺さるものもあったが、今は置いておこう。
「レ、レオンなら大丈夫だ! 神信力は使えないけど、あの人の判断力は絶対に必要になる!」
それでも、俺は必死に提案をしていく。
「それに、ユウナを外に連れ出すなんて……、せめてレオンを通しておかないと無理だし、必ずついてくることになるはず!」
マキラの提案した二人だけで神穴に向かう、これは避けなければならない。
マキラは何かを企てている。それに関して、俺たち二人だけで動いてくれた方が、彼女の都合が良いはずなのだ。
「……確かに、あの男ならば問題ないだろうな」
しかし、マキラは腕を組んで考えるような素振りをする。
「ただ……神穴についてきたところで、あの男に出来ることなどないぞ」
マキラはそう断言し、再び妖しい笑みを浮かべる。
「それに、我としてもあの男が同行するのは許せん。……何故とは言えんがな……」
マキラは決して言い淀んでいる風ではなかった。間違いなく、こちらに何かを隠しているのが分かる。
手がかりが希薄なのは重々承知だ。しかし、本当にコイツを信じていいのだろうか?
「……疑うのは構わんが、覚えておけよ? マルコ……お前が判断を誤ると、その娘は死ぬぞ?」
俺は、心臓を掴まれたような気分になった。
マキラの口調は、俺を脅すようなものではなかった。まるで、出来の悪い生徒に物を教える教師のように、丁寧なアドバイスといった物言いだ。
それもまた、マキラがユウナを心配しているのではない、という認識に繋がる。やはりマキラは、ユウナを助けるために、この席を設けているわけではないのだ。
「────良いんじゃないでしょうか?」
突然、ユウナが口を開いた。その瞬間、マキラの口角がグッと上がった。
「私は構いませんよ、マルコ様と二人でその……神穴? に向かえばよろしいんですよね?」
あっけからんと言い放つユウナに、マキラは身を乗り出して喜ぶ。
「流石は大国の姫君! なかなかに肝が据わっているじゃないか!」
そして、その視線を俺へと向けるマキラ。
「さて、姫君は快諾してくれたが、……お前はどうだ、マルコ?」
俺は右手で頭を抱えた。正直、この話に乗るしかないのは分かっている。
さっきのレオンもそうだった。マキラが少しでも協力的であることを覆さないためにも、ある程度は言う通りに動くべきである。
レオンへの報告をどのようにするべきか、全然検討もついていないが、とにかくここは了承するしかない。
マキラも、それを分かっているかのように、ニヤニヤしながら俺の返事を待っていた。




