そんな世界に転生したら俺は神様にだって……55
レオンが退出したことによって、俺とユウナとマキラ、この三人での会談となってしまった。
「それで…………お主がヴァーレの姫君か?」
映像越しにではあるが、マキラは玉座に座ったまま、身を乗り出すように前屈みになる。品定めをするように目を見開いている様子は、今にでも取って食ってやろうか? という風にも見える。
「初めまして。私、ユウナと申します。貴女様は……魔王神のマキラ様……でしょうか? お会いできて光栄で」
ベッドの上ではあるが、ゆっくりと丁寧に頭を下げるユウナ。その挨拶は、俺と初めて会った時と何ら変わらないもので、彼女の豪胆さに、俺は再び舌を巻いた。
「かっかっか! ……良いぞ、お主。我の好きなタイプじゃわい。……お前さんとは随分と違うなぁ、マルコ?」
マキラの視線が俺に移ったが、これには俺も苦笑いである。
いやいや、ユウナとかレオンとか、そういう例外中の例外みたいな人物と並べられるのがおかしいんだって。何故魔王神と会って尚、そのように飄々としていられるのだろうか。
「それはいいとして、だ。お主ら二人にしたのは、他でもない。……ヴァーレの姫君を救う手立てを教えてやろう」
「えっ!? それって…………方法、分かってるってこと?」
自信満々に腕を組んで宣言したマキラ。先日の時点では、当てはあるけど確証はない、と言っていたはずだ。
それをこの短い時間で、断言するほどの裏付けができるだろうか?
「……なんじゃ、我の言葉を疑うのか、マルコよ?」
「いや……そういう訳では、ないけれども……」
現時点では、マキラの情報を頼りにするしかない。しかし、レオンに任された以上、ユウナを危険な目に遭わせないようにするのが、俺の責務でもある。
「…………話を、聞かせてもらえますか?」
話を遮ってしまったと思い、俺から改めてお願いをした。
今のところ、マキラの機嫌は損ねていなかったらしく、彼女はそのまま話を続けた。
「ユウナ……と言ったか? お主にかかる祝福……いや、お主らは呪いと言っておったか。その呪いの原因は、お主とティマリール神との繋がりにある」
マキラの説明を、ユウナは静かに聞き続けている。
「何故、お主と繋がっているのかは分からん。しかし、原因がその繋がりであれば、解決方法はそれを断つことであろう。それを断つ為の場所だが……お主ら、神穴は知っておるな?」
神穴、初めて聞いた言葉だ。書庫での情報収集の際にも、そのような単語は出ていなかったと思う。
チラッとユウナの方を見ると、それに気付いたユウナと目が合った。そして、そのまま彼女は首を横に振る。
「神穴を知らんのか? マルコ……お主、神穴も知らずに 、あそこに足を運んでいたのか? 先日も、それに今日も、向かっておるだろう?」
今日も……? ……あ、あそこか。ティマリール神が現れた、とされているあの森。
「あそこは、ティマリール神と現世を繋ぐ通路のような場所だ。あそこであれば、ティマリール神と繋がることができるだろうし、その繋がりを断つこともできるだろう」
それを聞くと、あそこでティマリール神を見たという情報も、信憑性が高くなってくる。
「……ただし!」
突然マキラは語気を強くし、その短い一言を発してから間を空けた。
「……ただし、そこに向かうのはお主ら二人じゃ。二人だけで、神穴へ向かってもらおうかのぅ」




