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推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は神様にだって……

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そんな世界に転生したら俺は神様にだって……52

 その後、俺は一人で講堂へ向かい、その足でティマリール神が現れたとされる森へと向かっていた。

 何かアイディアがあった訳ではないが、書庫に向かうのは気が引けた、というのが要因のひとつであった。

 それに、講堂のティマリール神像へ再び礼拝に行きたかった、というのも事実だ。気が晴れない時には、たまりるに会いに行くのが一番である。


 そう思っていたのだが、俺は早々に講堂を後にすることとなった。

 ホールのような講堂内は、一人で歩いていると非常に目立ってしまう。周りにはあまり人がいなかったが、ゼロではない。一人、二人が遠目に俺の様子を窺っているのは、なかなかに居心地が悪かった。


 それに、俺の中にあるモヤモヤは、たまりるに会いに行って払拭されるものではなかった。

 目の前にそびえるティマリール神像は、いつかのライブを思い出す程に輝いており、いつだってたまりるはその麗しさで俺を癒してくれる。


 しかし、たまりるがいくら美しくあろうと、見ている俺の心にわだかまりがあるとダメなのだ。

 せっかく目の前に推しがいるというのに、余計なことを考えてしまう、そんな自分に嫌気と罪悪感を覚えながら講堂を後にした。

 ヴァーレ城から講堂、講堂から件の森に向かうルートは、メイに地図を用意してもらっていた。


『本日は諸用でご一緒出来ず、申し訳ございません。……そういえば、ライラさんを誘えば、来てくれるんじゃないでしょうか?』


 事情を知らないメイは何も悪くないので、愛想笑いで誤魔化した。


「それにしても…………、全然見つからない……」

 先日、三人で歩いたルートを同じように辿っているはずだが、どうにも記憶のある場所が見つからない。

 地図上では、ヴァーレ城からこの森に向かった方が圧倒的に分かりやすい道ではあったが、前回のルートの方が記憶にあると踏んで、その結果がこの有り様である。


 本当に、俺は一人では何も出来ない人間である。

 この世界に来てから、俺一人で成し得たことなど一つもない。両親は勿論、ライラやオスマン、レオンやメイなど、誰かがいたから、ここまで来れたということを痛感する。


 ……ダメだ、一人で歩いていると、余計な事ばかり考えてしまう。気晴らしも兼ねての捜索だというのに。

 それでも何とか、目的地までは辿り着くことができた。

 と言っても、その場所は前回と変わらず、何の気配も感じない。今まで散々歩いてきた最中も、神信力に繋がりそうなものは無かったし、感じもしなかった。


 そもそも、普段は感知など出来ない俺が、ここで突然閃くような期待もしてはいない。それでも、他に見当がつくような場所も無いわけで。

 どうせこの様子も、マキラは遠くからにやにやと眺めているのだろう。何を企てているかは分からないが、少しは助言してくれてもいいのに。


 こうして俺は、無駄な一日を過ごしたかのように思われたが、それでは話は終わらなかった。

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