表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は神様にだって……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/136

そんな世界に転生したら俺は神様にだって……50

 自分が一体、何者なのか。

 そんなの、俺が聞きたいよ、と思ったのが素直な感想だ。

 しかし、彼女が聞きたいことはそういう事ではない。彼女の知りたがっている俺の秘密は、教えることだって出来るのだ。

 じゃあ、伝えるか? ライラに、本当のことを。

 俺には、こことは違う世界の記憶があって。ティマリール神は、その世界にいた俺の大好きな存在にそっくりで。マキラにはそれを持ってして敵対視されていて。

 そして、ヴァーレ国王にもその記憶があり、ライラもまた、その世界に存在していたかもしれないと。

 あまりにも荒唐無稽な内容だが、今のライラなら信じてくれるかもしれない。いや、信じられなくても良いのだろう。今の俺に必要なのは、腹を見せて安心させることなのだ。

 いっそのこと、全てを話せたらどれだけ楽になるだろうか。

 話した方が事態が好転するということはないか? 例えば……今ですら、強い神信力を使える彼女が、国木原たまりを思い出すことで、神信力がより強力になったりしないだろうか。

 それに、ライラの前世の記憶が、ユウナを助けるヒントになるかもしれない。国木田鞠の父がライラを知っていたのだ、俺よりも近い存在である可能性が高い。

 しかし、それらを話すことによるリスクはどうだろうか。俺が知らないだけで、誰かの、何かに、大きな影響を及ぼすことが無いと、言い切れるだろうか。

「……どういう質問か分かりません。僕は……ただの村人ですよ」

 俺は、打ち明けることができなかった。

 これが何かの契機になってしまうかもしれない。そんな漠然とした不安と責任から逃れようと、誤魔化すような返事をしてしまった。

 視線を外しながら返事をした俺を、ライラはどんな目で見ているのだろうか。俺には、それを確認する勇気もなく、戻せない視線の行き場に迷ってしまう。

「そう……ですか……」

 期待していた回答ではなかったと、ライラは力なく漏らした。

「……マルコさんが神信力を使うようになってから、色んな事がありましたよね。覚えていますか?」

 それでもライラは、ぽつぽつと話をし始めてくれた。

「ロッカ村の教会でも、ダリルさんからみんなを守ってくれて、魔王城でも私を庇いながら魔王神と戦ってくれました」

 彼女の声色は、少し明るくなってくれたようにも聞こえる。

「それに……マルコさんだけは、教会に毎日通ってくれましたし、……私も結構、楽しかったんですよ?」

 そんな彼女の振る舞いが、無理をしているようにも見えて、俺は居た堪れない気持ちになってきた。

「だから私は、マルコさんのことを……親しい友達であり、一緒に戦ってきた戦友だと……本当にそう思ってるんですよ……?」

「ライラさん! あのっ……!!」

 何か言葉にしないと、そう思った矢先に、ライラは勢いよく立ち上がった。

「ホント……何言ってるんですかね、私……! こんな事言うつもり、無かったんですけど……ごめんなさい、今日はもう部屋に戻りますね……!」

 そう言ってライラは振り返って扉を開けると、俺の声掛けに応じることなく、そのまま自室へと走って行ってしまった。

 彼女の姿はすぐに見えなくなってしまい、後悔が襲ってきたのも遅くはなかった。

 ライラさん、俺もなんだ。

 俺も、この世界に来て、ティマリール神を見た事で記憶が鮮明になって、そこで初めて話したのがライラさんだった。

 彼女が、この世界で最も親しい友人だったのだ。

 そんな彼女に、あんな顔をさせてまで、俺は何を守れているのだろうか。

 今にも泣きそうな顔をしていたライラに、何をしてやれるのか。考えても考えても、答えになるものを俺は見つけることができなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ