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推しが神様の世界に転生したのならば俺は……  作者: 大坂オレンジ
そんな世界に転生したら俺は神様にだって……

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そんな世界に転生したら俺は神様にだって……49

 ライラにだけは、事の顛末を少し説明しようとしたところ、就寝前に彼女が俺の部屋へ来ることとなった。

 就寝前、異性が、俺の部屋に来る。

 決して、決してやましい気持ちがあるわけではない。が、俺が生まれた国にこんな言葉がある。『据え膳食わぬは男の恥』と。これはまぁ、あれだ、お残しは許しまへんでぇ、という意味合いである。

 もし、目の前にご飯が出されたのならば、その時は……というね。そう、これは心構えの話だ。

 部屋を訪れたライラは、俺も同様に衛兵から借りた部屋着を着ており、普段よりも一層の上品さを漂わせている。

 入口付近に置かれた椅子の一つに座ってもらっているが、そんな彼女の近くに身を置けるわけもなく、俺は奥にあるベッドに腰掛けていた。この位置関係が正しいのかは、俺には分からん。頼む、誰か教えてくれ。




 とまぁ、冗談はさておき、今からここで話す内容は、食事の場や廊下などで話すものではない。

「それは……マルコさんも、本当に災難が続きますね……」

 マキラとの邂逅について話すと、さすがのライラも、俺の不憫さを憐れんでくれている。

「……それで、レオン様はどうされると?」

 やや暗い面持ちでライラが訊ねた。

「レオンは……二人を会わせても良いんじゃないかって……」

「えぇっ!?」

 するとライラは、信じられないといった様子で、一瞬腰を上げたものの、すぐに元に戻った。

「…………し、失礼しました。それで……マルコさんは止めたんですよね?」

「止めてはないんだけど……いや、ごめんなさい、分かりますよ、言いたい事は!」

 彼女の言い回しから、何となく非難される気配を察知した俺は、両手のひらを前に出した。

「考えられるリスクは色々あると思います。でも、今のところユウナを助ける方法が見つからない以上、魔王神と協力……ではないですけど、利用するといいますか……」

 ライラが疑問に思うのも当然だ。レオンは『最悪なのは、ユウナの死』とは言っているが、次点で避けるべきはユウナへの危害であり、何事もなく、が理想なのである。

 それでも、ライラは未だに怪訝な顔つきである。よほどユウナへの危険性に納得がいっていない、ということか。

「……以前のマルコさんだったら、絶対に止めていました……。最近のマルコさんは、様子が変わってしまったように思います……」

「えっ? そ、そうですか……?」

 ライラの指摘について自覚は全く無かったが、色んな事が次から次へと起こっているので、考え方が変わった……とか?

「マルコさんといい、ユウナ姫といい、私にはもう…………」

「ラ、ライラさん? どうかしたんですか? なんか、すごく追い詰められてるみたい、ですけど……大丈夫です?」

 気がつくと、ライラは両手で顔を覆って伏せてしまっていた。

 えーっと、急にどうしたの? 俺の話になったと思ったら、急に自己嫌悪に陥ったように見える。俺、なんか気付かない内に地雷踏んでた?

 ライラは顔を伏せたまま、ゆっくりと話し出す。

「……マルコさん、魔王城で戦ってた時、震え慄く者(クェーカー)と呼ばれていましたね?」

「……ああ、そういえば、そんな感じで呼ばれたかも……?」

 あの時は確か俺自身……なのかな? 内なる自分みたいなヤツと話をして、原理は分からないけれど、その辺りから全身が震え出したのだ。

 その際にマキラから震え慄く者(クェーカー)と呼ばれたし、ライラの神信力で震えを抑えてもらったところも記憶にある。

 ぶっちゃけ言えば、知らん単語だなって思ったね。生前も聞いた覚えがない気がする。

「先ほど、ヴァーレ城の書庫に、震え慄く者(クェーカー)に関する記述を見つけました。……非常に珍しい記録の様で、私も初めて知りましたよ」

 顔を上げたライラは、真剣な表情で俺を見つめた。

「マルコさん……あなたは一体、何者なんですか?」

 声のトーンも低く、絞り出されたかのようなその言葉に、俺は返す言葉が見当たらなかった。

 それでも彼女は、ひたすら俺の言葉を待っていて、その沈黙は随分と長いこと部屋に流れ続けた。

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