そんな世界に転生したら俺は神様にだって……48
マキラとの密談を終えると、メイは俺を連れてレオンへと報告に向かった。
「そうかい、そんなことが……。ありがとう、よく対応してくれた」
報告を受けたレオンは、深く息をついたが、部下を労う際の笑顔は忘れていない。
「いえ、私も何が正解か分からず……」
報告を終えたメイは、姿勢を真っ直ぐにして立っているも、僅かに肩を震わせていた。
魔王神との交渉を終えたばかりで、まだ落ち着いてないのだろう…………いや、これ違うな。レオンからお褒めの言葉をいただいたことによる感激だろ。
相変わらず、レオンへのクソデカ感情が隠しきれない人である。これで魔王神相手には動揺を見せないの、逆に凄いな。
マキラは、自身が伝えたいことを言い終えると、一つ目の魔物がその場で消失したことで退散する形となった。
『今後も動向は把握させてもらうぞ? その上で、姫君に会わせてもらえるならば、何らかのサインを出すことだな』
そう言い残したマキラは、今も同様の方法で、俺たちを観察していることだろう。
「魔王神の気配を感じたのは偶然でした。マルコさんとの雑談から、ではあるんですけど。そもそもヴァーレ城での感知は、一切機能していなかったはずなんです。もしかしたら……」
「ユウナ姫の容体が原因で、状況が変わっている、ということかな……」
三人の間に沈黙が流れる。レオンも考え込んでいるし、メイもまた、レオンからの言葉を待っているように見えた。
「……マルコはどう思う?」
「俺は……いや、ちょっと……どうですかねぇ……」
唐突にレオンから話を振られた俺は、何の意味もなさない相槌をしてしまった。
俺も俺なりにユウナの呪いについて調べてみようと思ってはいたが、調査が難航しているのも事実だ。
しかし、マキラは間違いなく、何かを企んでいる。
『それに、ここで恩を売っておけば、マルコも我の元に来てくれるだろう?』
マキラは元々、何故か俺に執着しており、同棲を促されたこともある。しかし、今のマキラの真意がそれだとは思えなかった。
もっと別の……例えば、俺との再戦とか? それの為に、ユウナが人質に取られるなんてことも考えられるわけで。
「僕は、この提案を呑んでも良いと思っている」
そんな中、レオンのその発言に、俺は密かに驚愕した。
「最悪のシナリオは『ユウナ姫の死』だ。現時点で、ユウナ姫の呪いを解くヒントが無い以上、魔王神とコンタクトを取るのは有用だと思う」
レオンは腕を組み、話を続ける。
「それに、魔王神は自身が楽しむことを目的としているのは間違いない。であれば、マルコやユウナ姫はそのファクターになり得る存在だ。その存在を、魔王神がそうやすやすと諦めるだろうか?」
「ユウナ様の息を繋ぐことに関して、我々と魔王神は、協力関係だということでしょうか?」
すかさずメイが口を開いたが、レオンは優しい笑顔を向ける。その笑顔は、肯定の意だろうか。
「更に言えば、魔王神には、より大きな力を得ようとする欲求がない。敵わない相手なんていないからね。そう考えると、ユウナ姫やマルコを取り込んで……なんてことも無いだろう」
レオンは視線を外して立ち上がり、「最も、そんなことが出来るのかは不明だけどね」と溢した。
そのまま窓際まで歩み寄ると、外の景色を眺めながら呟く。
「魔王神は今も、我々の動向を監視しているんだろうね。心強いのか、不気味なのか……」
そして、レオンは振り返って、再び俺たち二人に視線を向けた。
「どちらにせよ、ユウナ姫が次に起き上がって来てからだ。それまでは引き続き、呪いについての調査を頼む」
こうして、レオンへの報告を終えた俺は、食事の席へと向かい、ライラと合流することとなった。




