そんな世界に転生したら俺は神様にだって……47
メイは慎重に言葉を選びながら、口を開いた。
「それでは単刀直入に、……貴女のお話ししたいことを、お聞かせください」
「ほぉ? 我がお主らに言いたい事があると、そう思うのか?」
メイの質問に対して、早速回答を焦らすマキラ。
「貴方であれば、この状況を如何様にも抜け出すことができますでしょう。こうしてお話しいただいていることが、貴女が私たちに話がある証左です」
彼女の言う通り、一つ目の魔物が追われた時点で、マキラは一度手を引くことが出来たはずだ。
更に言えば、一つ目の魔物がメイに見つかったことも、マキラの狙いだったまである。
「……それならば、この拘束は無意味であると思わないか?」
一瞬、マキラの気が変わったかのような声色であったが、メイは毅然とした態度で臨む。
「それでも、ヴァーレ城内である以上は、多少の抑制をかけておきたい。私は貴女のことも、私の推理も、百パーセント信用していませんので……」
ライラの回答に少しばかりの間を置いて、マキラが返す。
「ふむ……悪くない。ただ、ひとつ挙げるならば、以前伝えたことを忘れるなよ? 我に危害を加えることがなければ、こちらも決して敵対はしない」
「……ありがとうございます。我々も同様、貴女様と敵対しようなどとは、一切考えておりませんので……」
レオンとマキラが言葉を交わしていた時とは違う、異様な緊迫感で会話が進む。
「では、こちらの要望を言おうか。……ヴァーレの姫君に会わせてほしい」
俺の心臓が跳ね上がったのを、何とか表に出さないように平静を装う。
「……私の独断では決めかねますし、現時点では許可がされることはないでしょう」
メイは未だに変わった様子はない。彼女はこの話が来ることを、想定していたのだろうか。彼女の内心は分からないが、全てを隠して臨んでくれている。
「……ただし、結果的に姫君の呪いを解くことができるならば、話は別でしょう。…………マキラ様には、その見当がついている、ということでしょうか?」
「……勿論だ」
この質問に即答されたことに、俺もメイも過剰に反応してしまった。
「見当はついておる……が、我はヴァーレの姫を見たこともないのだ。確信を持っているわけではない」
マキラがユウナを見たことがないのは、ティマリール神の寵愛による影響なのか。
それを今、ユウナの睡眠時間がどんどん長引いている今、この話を出してきた。
ティマリール神の影響が弱まっている、ということなのだろうか?
「……もし許可が出るのであれば、どのような手筈を?」
「お主が今捕まえておる魔物だがな、本来は音声だけでなく、互いの姿が見える性能がある。それを媒介にしてくれればよい。これについては、マルコが良く分かっているはずだ……ククッ」
メイが俺の方を横目で見る。マキラの含み笑いは、たまりるの姿を模倣した時のことを思い出しているのだろうか。
そんなことを掘り返されたくないので、俺は静かにコクコクと頷き返す。
それを見て、メイはすぐに視線を魔物へと移す。
「……貴女の行動原理が見えませんね。そちらを教えていただくことはできませんか?」
彼女の問いに、マキラはまた気味の悪い間を持って、こう告げた。
「我はただ、楽しいことを求めているだけだ。それに、ここで恩を売っておけば、マルコも我の元に来てくれるだろう?」




