そんな世界に転生したら俺は神様にだって……43
神様は、いつも人間を見守っている。
その人の善行も、悪行も、全て見ておられる。
だからこそ、人々はその行いが正しいものかどうか、神に許されるかどうか、常に問答をし続けるのです。
正しい行いには、必ず清き神が宿るだろう。
人の道を外れた行いには、必ず悪しき神が宿るだろう。
正しきとは、清き神が定めたものである。人が定めたルールは社会性が重視されており、人本来の性質から大きく乖離したものも含まれている。人間の正しさとは、人間の性質をより根源的な観点で────
「────あの、マルコさん? ついてこれてますか?」
「あー、うん。大丈夫大丈夫、任せて」
聞いた感じ、理解不能な話はしてないはず。オーケーオーケー、途中までは分かってるから大丈夫よ。
「それにしても…………実物とは全然違いますね、魔王神は」
ライラは、手元の本に記載されている魔王神のイラストをまじまじと見ている。
「私も、まさか本物と出会えるとは思っていませんでしたが……、これらの記録は一体誰が、どのように残したんですかね?」
彼女は魔王神に特に厳しいようで、珍しくジト目で睨みつけるように本を見ている。
魔王神の絵と実物が違うのは、これもまた時代の移り変わりによって変容するものなのだろうか。
「……そもそも、ティマリール神の姿が時代によって違うっていうのも、不思議じゃないですか?」
ティマリール神を見た人間といえば、オスマン村長がまず挙がる。
『……ただ、後に文献を漁ったところ、彼女の姿はティマリール神のそれと全く同じだったのだ』
以前、教会で話した時に、そんなことを言っていた気がする。
オスマンが見たとされるティマリール神は、少なくとも誰かが観測し、記録された姿と同じであったようだ。
「観測者が違えば、ティマリール神のお姿の表現も違ってくるかと思います。それこそ、魔王神マキラの容姿が違うのも、彼女から発せられる圧力から、このような姿で表現したのかもしれませんよ?」
ライラはそのままページを進めて、じっくりと読み込んだ。その先にも豊富な挿絵が盛り込まれていたが、抽象的なものも多く、何が記載されているのかは俺には分からなかった。
「どうですかね? 何かヒントになりそうなもの、ありました?」
俺の質問にライラは、静かに読み進めていた本を閉じて俺を見た。
「……気になることが記載されてましたが、ユウナ様の件には繋がらなさそうでした。後で読むことにしますね」
そういって持っていた本を横に避け、ライラは再び本棚へと向かった。
「やはり、ティマリール教に関する本を調べた方が良いのかもしれませんね」
そう言って本棚を吟味するライラに、どこか違和感を覚えてしまった。




