そんな世界に転生したら俺は神様にだって……41
レオンとの会談も終えた俺は、ヴァーレ城内にある書庫へと足を運んでいた。
『城の書庫も開放させるように指示をしたから、必要があれば使ってくれて構わないよ』
そんなレオンの気遣いには感謝するが、俺はこの世界の文字が多少しか読めないのだ。
一度は足を運びたいと思ってはいたが、有益な情報が得られるか、と言われると非常に怪しい。
誰か一人、文字が読める人間を横に置いてもらって調べるのか、誰かに読み方を教えてもらうのか。どちらにせよ、他人に頼らざるを得ない状況である。
まずは一人で足を運んでみたが、一体どれだけ情報が集められるのか……。
「……ユウナ姫は、一昨日から今日まで、丸一日以上眠っていたことになる」
レオンの表情からは、いつもの笑みが消えていた。
「……マルコがあの日の夜、ユウナ姫と話をしたと聞いた時は正直、安心したんだ。その日のユウナ様は、マルコたちとユージオ様との面会直後にはもう眠っておられた。つまり、数時間後には目を覚ましていたことになる」
レオンの言う通り、俺が昼間に国王様と面会してから牢屋で話すまでの間は、およそ半日ほどであった。
「ユウナ姫が眠りにつく時間が長くなっていることは話したね? 長さはまちまちではあるが、数時間後に目を覚ましていたのならば、比較的早い方だ。事態は少しばかり好転したと、思ったんだけれどね……」
「一日中寝てるって……、病気でもないのにそれって、マズいんじゃ……?」
俺も詳しくは分からないが、彼女の呪いが悪化していることだけは分かった。
「我が国の医療レベルは、他国と比べても高い水準であるはずだが、原因は一切分からないらしい。それに、メイを始めとした魔術師もいるが、神信力を持つ人間があれではね……」
医療では原因不明、神信力を持っている人間はユウナを前にしただけで体調不良、そして頼みの俺はコレときたもんだ。
「今のところは大丈夫ではあるが、これ以上睡眠が長くなるようだと、ユウナ姫の生命にも関わってくる。現に栄養が不足して、彼女の体はどんどん細くなってしまっているんだ」
最後にレオンは、真っ直ぐに俺を見た。彼らしい余裕や微笑みのない、気圧されるほどの視線。
「僕に何か出来ることがあったら、是非声をかけてほしい。とにかく今は、君だけが頼りなんだ」
そうは言われたものの、俺にはその期待に応える自信など、とうに無くなっていた。
書庫に案内してくれた城内の衛兵に声をかけて、ある程度置いてある本のジャンルを確認したものの、当てになりそうなものが見つからない。
最終的には誰かに内容を確認することにはなるが、イラスト付きの本で探しても、全然ピンと来ない。
この世界には写真なども無いので、イラストは全て手書きの絵となっている。イラストのみで繋がる本など、絵本くらいだ。そんなもの、ヴァーレ城の書庫にあるはずもない。
結果的に、俺は書庫のあらゆる文献の、挿絵のみを流し見するだけで、その日を終えてしまった。




